“かんばせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
56.1%
顔容12.3%
容顔7.0%
容貌5.3%
5.3%
花顔3.5%
顏容3.5%
1.8%
貌容1.8%
1.8%
(他:1)1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
臣子の分として、九原きゅうげんもと、板倉家累代るいだいの父祖にまみゆべきかんばせは、どこにもない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と扇をきりりと袖を直す、と手練てだれぞ見ゆる、おのずから、衣紋の位に年けて、瞳を定めたそのかんばせ
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道ばたの朽木くちき柳に腰をかけ、一行が近づいて来ると、俄に、脱いでいた市女笠いちめがさをかぶッて、その顔容かんばせを隠していた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その渦まく煙りのなかに浮き出している円満具足ぐそくのおん顔容かんばせは、やはり玉藻の笑顔であった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
眼に涙をためていう言葉であった。産後の痩せのまだ回復していない容顔かんばせに、危険な感情の血がまざまざ逆上のぼっているのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なお問うと、袁煕は遠くへ逃げたという。——曹丕はつと寄って、むすめの前髪をあげて見た。そして自分の錦袍ひたたれの袖で、娘の容顔かんばせをふいてやった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泥濘をよけつつ、それと、すれちがう時、小次郎は、簾のすき間から、チラと見えた麗人の白い容貌かんばせと黒髪に、胸が、どきっとした。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芙蓉はもう返事もしない。ぐったりと鬣に顔をうつ伏せている。その容貌かんばせの白さはおののく白芙蓉びゃくふようの花そのままだった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてや、あでやかなる彼れがかんばせは、浮きたる色をづる世の中に、そも幾その人を惱しけん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
温泉いでゆけむりに、ほんのりと、ゆきなすかんばせ黒髮くろかみまげ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこをいま、を片手からげに、抜けるほど白い花顔かんばせの人が、素足で静かにどこかへ消えて行った。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、叫びかけて、おもわずはしたない驚きの目をしばらく彼女の花顔かんばせから離しえなかったものだった。それほど彼女の眉目みめは若き日のかの草心尼に似て美しくまばゆくもあった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あゝ、涙、あゝ情深なさけぶかき心、あゝ、涙はふり落つるこの顏容かんばせかな。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
顏容かんばせいとも麗はしき樣を示せ
歌よ、ねがふは (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
殿下、又しても、お詫び言上に罷り出ました。今朝以来失態の連続でありまして、もはや、お合わせ申すかんばせもないのでございますが、仮面をつけ、低頭して御前に進み出たのでございます。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人は、肩をすくめて貌容かんばせくれないの光に染めた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、そうとばかりは云えん。——彼等には、選ぶべきを選ぶ知識がない。——たとえば、徳川内府の如き老獪ろうかいに、われらは天下を渡すわけには参らぬ! 秀頼公をさしおいて、のめのめと、内府の思うつぼへ天下を差し出して、何と、故太閤殿下へ、あの世で会わすかんばせがあるか」
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その容姿うるはしくして都はづかし、三絃さみ胡弓こきゅうならぬ歌うたひて、余念なく居りけるを、参詣の人、彼が麗はしき顔色かんばせに心をとられて銭を投掛くること雨の降り霧の飛ぶが如くなるを、かいふりてあてらるることなし」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)