“かんばせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
54.7%
顔容10.9%
容顔6.3%
6.3%
花顔4.7%
容貌4.7%
3.1%
顏容3.1%
貌容1.6%
1.6%
顔色1.6%
香気1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ここに置かして頂戴よ。まあ、お酒のにおいがしてねえ、」と手を放すと、揺々ゆらゆらとなる矢車草より、薫ばかりも玉に染む、かんばせいて桃に似たり。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その渦まく煙りのなかに浮き出している円満具足ぐそくのおん顔容かんばせは、やはり玉藻の笑顔であった。阿闍梨は数珠を投げすてて跳り上がりたいほどにいらいらしてきた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いま上げませるおん容顔かんばせ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
むかしそう武帝ぶていむすめ壽陽じゆやう麗姫れいき庭園ていゑんするときうめはなりて一片ひとひらかんばせかゝる。おもかげまたたぐふべきものなかりしより、當時たうじ宮女きうぢよみなあらそつて輕粉けいふんもつかほ白梅しらうめはなゑがく、しようして梅花粧ばいくわしやうふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、叫びかけて、おもわずはしたない驚きの目をしばらく彼女の花顔かんばせから離しえなかったものだった。それほど彼女の眉目みめは若き日のかの草心尼に似て美しくまばゆくもあった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
牛輦うしぐるまが、前から来た。悪路に揺れて、輦の簾が、音をたてている。泥濘をよけつつ、それと、すれちがう時、小次郎は、簾のすき間から、チラと見えた麗人の白い容貌かんばせと黒髪に、胸が、どきっとした。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——弟子の未熟はいうまでもなく師の未熟。覚明の犯した大殺だいさつとがは、申すまでもなくこの善信の犯せる罪に相違ないのです。……なんのかんばせあって、弥陀みだ本尊のまえに、私は安坐しておられましょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顏容かんばせいとも麗はしき樣を示せ
歌よ、ねがふは (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
夫人は、肩をすくめて貌容かんばせくれないの光に染めた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば、徳川内府の如き老獪ろうかいに、われらは天下を渡すわけには参らぬ! 秀頼公をさしおいて、のめのめと、内府の思うつぼへ天下を差し出して、何と、故太閤殿下へ、あの世で会わすかんばせがあるか
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その容姿うるはしくして都はづかし、三絃さみ胡弓こきゅうならぬ歌うたひて、余念なく居りけるを、参詣の人、彼が麗はしき顔色かんばせに心をとられて銭を投掛くること雨の降り霧の飛ぶが如くなるを
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)