“三絃”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さみせん33.3%
さんげん23.8%
しゃみせん9.5%
いと4.8%
ごま4.8%
さみ4.8%
しゃみ4.8%
しやみ4.8%
はこ4.8%
ぺんぺん4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ねえ、花世さん、路考ろこうの門弟の路之助ろのすけが、また新作のはやりうたを舞台でうたっているが、三絃さみせん妙手があるのか、いつみても妙だぜ」
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
長唄において「せりふ」に三絃さんげんを附したところでは両者のリズムが一致している。その他でも両者のリズムの一致している場合には、多くは単調を感ぜしめる。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
みちの右側にある小料理屋から三絃しゃみせんが鳴って、その音といっしょに女の声もまじって二三人の怒鳴どなるような歌が聞えていたが、彼の耳には余程遠くの方で唄っている歌のようにしか思えなかった。
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この容色きりょう三絃いともちょっと響く腕で——ころ同然な掃溜はきだめへ落ちていると分りますと、一夜妻のこの美しいのが……と思う嬉しさに、……今の身で、恥も外聞もございません。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝風呂の濡れ手拭をさげて、小鍋立ての人生もそこらにあるし、隅田川に雪見船を浮かせて、忍び三絃ごまをながす人生も河の中にまである。江戸座の俳句の運座は、夜毎にあった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その容姿うるはしくして都はづかし、三絃さみ胡弓こきゅうならぬ歌うたひて、余念なく居りけるを、参詣の人、彼が麗はしき顔色かんばせに心をとられて銭を投掛くること雨の降り霧の飛ぶが如くなるを
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自体拙者は気に入らないので、しきりと止めてみたが、もともと強情我慢な母親おふくろいもと我儘者わがままもの、母に甘やかされて育てられ、三絃しゃみまで仕込まれて自堕落者に首尾よく成りおおせた女。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あの二階でも此の二階でも三絃しやみ、太鼓の花々しい響か、それとも爪弾とやら、乙に気取つたたのしみの音が洩れるのです。
夜の赤坂 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すきな事、嬉しい事、床しい事も忘れていて、お暇乞いとまごいをしたあとで、何だかしきりに物たりなくって、三絃はこを前に、懐手でじっ俯向うつむいているうちに、やっと考え出したほどなんですもの。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「捻平さん、お互に年は取りたくないてね。ちと三絃ぺんぺんでも、とあるべき処を、お膳の前に按摩が出ますよ。……見くびったものではないか。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)