“はこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハコ
語句割合
27.1%
22.9%
16.3%
12.4%
4.1%
3.9%
3.1%
車室1.0%
0.8%
0.8%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
得意0.6%
0.6%
客車0.4%
木箱0.4%
三絃0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
十八番0.2%
千両箱0.2%
0.2%
0.2%
棺箱0.2%
0.2%
特得0.2%
0.2%
0.2%
藐姑0.2%
0.2%
車台0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さうして座敷ざしきすみ瞽女ごぜかはつて三味線さみせんふくろをすつときおろしたとき巫女くちよせ荷物にもつはこ脊負しよつて自分じぶんとまつた宿やどかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
爐端ろばたもちいたゞくあとへ、そろへ、あたまをならべて、幾百いくひやくれつをなしたのが、一息ひといきに、やまひとはこんだのであるとふ。洒落しやれれたもので。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
トラック三台ではこびつけたのだつたが、工事は中途から行き悩みで、木山が気をみ出した頃には、既に親方も姿をくらませてゐた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「どうして子供なんてものが生れるのかな。余計な事だと思ふんだけど。」と、青木さんははこの巻煙草を取つて火をお付けになる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「パンドラのはこ」という題については、明日のこの小説の第一回に於て書き記してあるはずだし、此処ここで申上げて置きたい事は、もう何も無い。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ひも売り、花売り、ちまき売りなど、はこかごを、髪の上に、乗せていた。女たちが、物を頭へのせて歩く習慣は、見なれていた。
きょうは止そう、きょうこそ通うことは止そうと、いまのいままで考えていながら身はすでに房の内に、花桐の衣裳のはこのかげに坐っていた。
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
いざ車室はこに乘り込むと、何か歌を唄いだしたんですが、それからめそめそ泣きだしちまって——いやどうも胸糞が惡くなっちまいましたよ。
再びしずしずと牛車のはこにはいって、そうして、牛車を戻せと低い声で命令すると、牛はやがてのそのそと動き出して、ながえは京の方角へむかって行った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その寺に、今から三、四代前とやらの住職が寂滅じゃくめつの際に、わしが死んでも五十年たったのちでなくては、この文庫は開けてはならない、と遺言ゆいごんしたとか言伝えられた堅固な姫路革ひめじがわはこがあった。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「この亀は神のごとくで、物なども食いません。これを枕のはこのなかに入れて置けば、うわばみの毒を避けることが出来ます」
東の国の博士たちはクリストの星の現はれたのを見、黄金や乳香にゆうかう没薬もつやくを宝のはこに入れて捧げて行つた。が、彼等は博士たちの中でもわづかに二人か三人だつた。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
人びとは一緒に王母子のしがいしらべた。窓の上に一つのはこがあった。開けて見ると庚娘の書いた物があって、くわしく復讎ふくしゅうの事情を記してあった。皆庚娘を烈女として尊敬し、金を集めて葬ることにした。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
日本にも『書紀』二五、大化改新の際朝廷に鐘を懸け、はこを設け、憂え諫むる人をして表を匱にれしめ、それでも聴き採られざる時は憂訴の人、鐘をくべしと詔あり。
と、そばに居る者に直ぐもうお得意はこの押売をしようとする。
一体あんな馬鹿野郎を親方の可愛がるというがわっちにはてんからわかりませぬ、仕事といえば馬鹿丁寧ではこびは一向つきはせず、柱一本鴫居しきい一ツで嘘をいえばかんなを三度もぐような緩慢のろまな奴
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なんしろ、あんたの毎日のお客様を、それとなく拝見しているに、どうも、時間といい、客車はこといい、切符といい、荷札といい、どれもこれも三の字にひどく関係の深い御婦人達のように思われてね。
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
細い長い木箱はこが、月光で銀箔のように光っている水に浮いて、二、三度漂い廻ったが、やがて下流の方へ流れて行った。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すきな事、嬉しい事、床しい事も忘れていて、お暇乞いとまごいをしたあとで、何だかしきりに物たりなくって、三絃はこを前に、懐手でじっ俯向うつむいているうちに、やっと考え出したほどなんですもの。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大江匡おおえただす。」と答えた時、巡査は手帳を出したので、「ただすはこに王の字をかきます。一タビ天下ヲ匡スと論語にある字です。」
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我らは順序を整え論理を辿たどりて組織的に結論に導き、彼らは前後の関係を顧慮せずして続々として真理を提示する。あたかも宝のはこを開きて手当り次第に宝石を取り出すが如くである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
小翠は悲しそうな顔もせずに、平気ではこの中からいろいろの模様を取り出していじっていた。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
そのたびに春ちゃん——これが例のカフェ・ネオンの女給で「カフェ・ネオンの惨劇マーダー・ケース」の一花形はながたであるわけだが——から「またオーさんのお十八番はこよ。そんなに心配になるんなら、岩田の京ぼんに頼んで、いっそと思いに、感電殺かんでんころしを ...
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、おめえには、御苦労だったが、おれが達者で出かければ、千両箱はこの二つは欠かすこッちゃあねえ。……江戸の御金蔵からさえ、千両箱の四つも担ぎ出した刑部だが、ああ、病気にゃてねえ」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水戸みなとの神のひこ櫛八玉くしやたまの神膳夫かしはで二一となりて、天つ御饗みあへ二二獻る時に、ぎ白して、櫛八玉の神鵜にりて、わたの底に入りて、底のはこひあがり出でて二三、天の八十平瓮びらか二四を作りて
裸の妻ははこび出される良人の血だらけの頭を、双つの乳房のあいだに強くひき緊めながらぞっとするような声で泣き喚いた。草の上へ寝かされた茂吉は知覚を失った大きな瞳孔どうこうを瞠いたまま
蛮人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
親というものが無かったならこの時に私は、ほかの連中と一所に棺箱はこへ入れられて、それなりけりの千秋楽になっておりました訳で……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あゝこれらのいとも富めるはこに——こは下界にて種をくにふさはしき地なりき——收めし物の豐かなることいかばかりぞや 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
俺は、それお特得はこの、「親々おやおやいざなはれ、難波なにわうら船出ふなでして、身を尽したる、憂きおもひ、泣いてチチチチあかしのチントン風待かぜまちにテチンチンツン……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
毒薬と甘露とは其のはこを同じくし
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
いつの間に入ってきたのか少年がはこへ新しい衣服きものを入れて持ってきていた。杜陽はそれを受け取って着更えをしたが、不安でたまらなかった。
陳宝祠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さかえ溢るる藐姑はこの山
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
来るはこも来るはこもが、他々よそ/\しい眼つきでこの小柄な重役を見かへしながら、逃げるやうにさつさと駈けて往つた。小林氏はべそを掻き出さうとした。
彼はそれに気がついて、注意を促したので、わたしはぷいと立ち、また自分の車台はこへ帰りました。
しかれども苦海塵境を脱離して一身を挺出せんとするは、人間の道にあらず。苦海塵境に清涼の気をはこび入るゝにあらざれば、詩人は一の天職を帯びざる放蕩漢にして終らんのみ。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)