“ひつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒツ
語句割合
59.7%
14.7%
火放7.0%
5.4%
3.1%
3.1%
1.6%
飯櫃1.6%
0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
古いひつの上に枝付燭台が一つ載っているのを見ると、すぐにマッチを摺って蝋燭に火をつけてから、改めて室内の様子を見廻わした。
空家 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
おもつたる大形おほがた裕衣ゆかたひつかけおび黒繻子くろじゆすなにやらのまがひものひらぐけがところえてはずとれしこのあたりのあねさまふうなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「だって親分。あの日、仲吉が火放ひつけ道具を見つけて、あわてて焼いたじゃありませんか」
正に骨味ほねみけづるが如くあれほどひつ死に眞劍しんけんあらそたゝかはなければならないとは! さう言えば、むかしあらそ將棋せうきやぶれていて死んだわか棋士きしがあつた。
二十二年の七月廿にぢう三号の表紙をへて(桂舟けいしうひつ花鳥風月くわてうふうげつ大刷新だいさつしんわけつた、しきり西鶴さいかく鼓吹こすゐしたのはの時代で、柳浪りうらう乙羽おとは眉山びさん水蔭すゐいんなどがさかんに書き、寒月かんげつ露伴ろはん二氏にし寄稿きかうした
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「全く君子だ。古聖賢に恥じない徳人だ、」とそれまで沼南に対して抱いた誤解を一掃して、世間尋常政治家には容易にひつを求めがたい沼南の人格を深く感嘆した。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
それがあきつておもしたいて、ひつそりとかさなつたが一まいうごかない。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
畸形の子は、手離しでは置けないので、わらで編んだお飯櫃ひつ入れの中に入れて、食事も口へ入れてやるのであった。
ひつ大外記だいげき師行もろゆきどのとか聞えました。恒例こうれいの初雪の御文おんふみとかで、宮のお返辞をいただきたいとのことにござりまする」
「……いかがなされまするな。御使みつかいひつ大外記だいげきは、否やのお返辞を持ち帰りたいよしで、お待ちしておりまするが」
「ここに美玉あり。ひつおさめてかくさんか。善賈ぜんかを求めてらんか。」と子貢が言った時、孔子は即座そくざに、「これを沽らんかな。これを沽らん哉。我はあたいを待つものなり。」
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かれ現在げんざい自分じぶんゆるかぎりの勇氣ゆうきひつさげて、公案こうあんむかはうと決心けつしんした。それがいづれのところかれみちびいて、どんな結果けつくわかれこゝろきたすかは、かれ自身じしんいへどまつたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すくなくとも形の上だけはきんひつと相和したが、けれども十九ではじめて知つた悦びに、この張り切つた音に、彼女の弦は妙にずつた音を出してぴつたり來ない。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
翌、周の定王の十年、晋・楚の大軍がひつの地に戦い、楚軍は大いに敗れた。此の戦で、襄老は戦死した上、しかばねを敵に取られて了った。
妖氛録 (新字新仮名) / 中島敦(著)