“寂(ひつ)” の例文
出窓の前の青桐(あをぎり)を透(とほ)して屋根庇(やねひさし)の陰に、下座敷の寂(ひつ)そりした障子(しやうじ)の腰だけが見えた。其処(そこ)からは時々若夫人の声が響いて、すぐに消えるのだつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
それが秋(あき)の日(ひ)に醉(よ)つて重(おも)く下(した)を向(む)いて、寂(ひつ)そりと重(かさ)なつた葉(は)が一枚(まい)も動(うご)かない。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下座敷の寂(ひつ)そりしたあの謎が、今では却つて平凡なものにうち変つたやうな気さへした。……
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)