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函
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はこ
ふりがな文庫
“
函
(
はこ
)” の例文
お島はその間を、ここでも針仕事などに坐らせられたが、どうかすると若い美術学生などの、
函
(
はこ
)
をさげて飛込んで来るのに出逢った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「どうして子供なんてものが生れるのかな。余計な事だと思ふんだけど。」と、青木さんは
函
(
はこ
)
の巻煙草を取つて火をお付けになる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「
待
(
ま
)
てこら」とホモイのお父さんがガラスの
箱
(
はこ
)
を
押
(
おさ
)
えたので、
狐
(
きつね
)
はよろよろして、とうとう
函
(
はこ
)
を
置
(
お
)
いたまま
逃
(
に
)
げて行ってしまいました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのとき彼の眼についたのは、器械棚と並んで大きな棺桶を壁ぎわに立てかけたような
函
(
はこ
)
の中に納まっている鋼鉄製の人造人間であった。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
市場にやられる日には私は、まず、家の者の気づかない時を
見計
(
みはか
)
らって、そっと押入れの
小遣銭
(
こづかいせん
)
の
函
(
はこ
)
の中から銅貨を七、八ツ盗み出した。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
また、決して許そうともしない範宴なのである。鉄で作られた虚偽の
函
(
はこ
)
のように範宴の膝はいつまでも
痺
(
しび
)
れを知らずに真四角なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「じゃア、一しょにおいで!」といって、
継母
(
ままはは
)
は
部屋
(
へや
)
へはいって、
函
(
はこ
)
の
蓋
(
ふた
)
を
持上
(
もちあげ
)
げながら、「さア
自分
(
じぶん
)
で
一個
(
ひとつ
)
お
取
(
と
)
りなさい。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
六頭の馬に
挽
(
ひ
)
かれた砲車の列が丁度その町を通った。一砲車
毎
(
ごと
)
に弾薬の
函
(
はこ
)
を載せた車が八頭の馬に挽かれてその後から続いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
与
(
く
)
れ!」と
渠
(
かれ
)
はその
掌
(
てのひら
)
を学生の
鼻頭
(
はなさき
)
に
突出
(
つきいだ
)
せり。学生は
直
(
ただち
)
にパイレットの
函
(
はこ
)
を投付けたり。
渠
(
かれ
)
はその一本を
抽出
(
ぬきいだ
)
して、
燐枝
(
マッチ
)
を
袂
(
たもと
)
に
捜
(
さぐ
)
りつつ
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、グレゴリ警部は四角い小さなブリキの
函
(
はこ
)
を取出し、鍵で蓋をとっていろいろな品物を私達の前へ並べてみせた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
彼は黙って扉を押すと、僕を一室に導く。僕は黙って彼の後についてゆく。ガラス張りの大きな
函
(
はこ
)
の前に彼は立留る。函の中には何も存在していない。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
革命前から池のそばに住んでいた瀬戸物つくりの老人から彼がかつて聞いた話だそうだが、ここの水底には鉄の
函
(
はこ
)
があり、自分もそれを見たそうである。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
やっととにかくどうにか収まったらしいが、そちこちの形勢がまだ蜜蜂の
函
(
はこ
)
の穏かならぬ呟きをひそめていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
郵便物をポストに入れる場合に、大きな雑誌や何か、
函
(
はこ
)
の口に差入れられない物は、その
儘
(
まま
)
函の下の道端に置いて行っても、盗まれるおそれが無いのでした。
亜米利加の思出
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
坐舗の
一隅
(
いちぐう
)
を顧みると古びた机が一脚
据
(
す
)
え付けてあッて、筆、ペン、
楊枝
(
ようじ
)
などを
掴挿
(
つかみざ
)
しにした筆立一個に、
歯磨
(
はみがき
)
の
函
(
はこ
)
と肩を
比
(
なら
)
べた
赤間
(
あかま
)
の
硯
(
すずり
)
が一面載せてある。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
どうだね、一つやってみないかね。
御褒美
(
ごほうび
)
をつけよう。君がその中へうまく這入れたら、チョコレートの
函
(
はこ
)
を
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手前は只今は修行者の身の上になり
下
(
さが
)
り零落いたしましたが、これは親父が
上
(
かみ
)
より拝領したもので、
替箱
(
かえばこ
)
が有り、二重三重の
函
(
はこ
)
へ
箱書付
(
はこがきつけ
)
も附いて居たものが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
パッキングされた
函
(
はこ
)
は、二階からエスカレーターに乗って、運河の岸壁に横付けにされている船に、そのまゝ荷役が出来る。——昼近くになって、罐が切れた。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
『
用意
(
ようゐ
)
!。』と
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
が
叫
(
さけ
)
ぶと、
二名
(
にめい
)
の
水兵
(
すいへい
)
は
車中
(
しやちう
)
の
大旅櫃
(
だいトランク
)
の
中
(
なか
)
から、
一個
(
いつこ
)
の
黒色
(
こくしよく
)
の
函
(
はこ
)
を
引出
(
ひきだ
)
して
來
(
き
)
た。
此
(
この
)
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
には、
數
(
すう
)
十
個
(
こ
)
の
爆裂彈
(
ばくれつだん
)
が
入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
るのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その——
三稜鏡
(
プリズム
)
の
函
(
はこ
)
に入ったような光明の乱舞が、四人の盲人には、いっこう感知できないのも道理であるが、いつかの日艇長と死生を共にしたこの
室
(
へや
)
の想い出は
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
されどそは予が語らんとする所にあらず。予は馬車中子爵の胃痛を訴ふるや、手にポケツトを
捜
(
さぐ
)
りて、丸薬の
函
(
はこ
)
を得たり。而してその「かの丸薬」なるに一驚したり。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこへお宮は二階から
金唐紙
(
きんからかみ
)
の小さい
函
(
はこ
)
を持って降りて来た。その中には手紙が一ぱい入っている。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そこで思ひ切つてホープの
函
(
はこ
)
をポケットからとり出すと、ふと小声で独りごちたのである。——
三つの挿話
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「えゝさうです。何んでも気合一つで鳥獣を眠らせたり、
函
(
はこ
)
の中にあるものをあてたり、又は刀で腕の上に載せた大根を切つたり、ビール
罎
(
びん
)
を額に打ちつけて割つたりするんです。」
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
帝はまたかれに命じて
丹陽公主
(
たんようこうしゅ
)
(公主=皇女)の枕を取って来いと言った。それは金をちりばめた
函
(
はこ
)
付きの物である。かれは夜半にその寝室へ忍び入って、手をもって睡眠中の公主の顔を撫でた。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
化粧品を買ってここで
函
(
はこ
)
をあけて、それだけ捨てて行ったのだろう。相手がおとなしい雅子でなかったら、からかわれたと腹の立つところだ。とにかく、これでは雅子と話をする材料にはならない。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
私は
桟橋
(
さんばし
)
の上に立っていた。向側には途方もない大きな汽船の剥げ汚れた船腹が横づけになっている。傘のように開いた荷揚器械が間断なく働いて大きな
函
(
はこ
)
のようなものを吊り揚げ吊り降ろしている。
夢
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
下し
置
(
おか
)
る有難く
頂戴
(
ちやうだい
)
せよと
函
(
はこ
)
を出せばおかぢは
押戴
(
おしいたゞき
)
拜見
(
はいけん
)
して涙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ロイドさんは、またかぎ煙草の
函
(
はこ
)
を取り出した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
槌
(
つち
)
に
鑢
(
やすり
)
の
音
(
ね
)
もかすれ、言葉悲しき
木
(
き
)
の
函
(
はこ
)
よ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
函
(
はこ
)
が、独りで歩いて行くのはいいね。」
ロボットとベッドの重量
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「何だ! この
函
(
はこ
)
は?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
兎
(
うさぎ
)
のおっかさんまでが
泣
(
な
)
いて、前かけで涙をそっとぬぐいながら、あの美しい玉のはいった
瑪瑙
(
めのう
)
の
函
(
はこ
)
を
戸棚
(
とだな
)
から取り出しました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こういわれて、
男
(
おとこ
)
の
子
(
こ
)
が
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
へ
頭
(
あたま
)
を
突込
(
つっこ
)
んだ
途端
(
とたん
)
に、ガタンと
蓋
(
ふた
)
を
落
(
おと
)
したので、
小児
(
こども
)
の
頭
(
あたま
)
はころりととれて、
赤
(
あか
)
い
林檎
(
りんご
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ちました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
庸三は少しうとうとしかけたところだったが、目をあげて見ると、彼女は青いペイパアにくるんで
紐
(
ひも
)
で結わえた
函
(
はこ
)
を
枕元
(
まくらもと
)
へ持ち込んで来て
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
軸の前には「佐伯家系図」と書いた細長い
函
(
はこ
)
が
三方
(
さんぼう
)
に載せて安置せられ、それと並んでは、叔母が古道具屋で買って来た
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
見ていると彼はそれを
函
(
はこ
)
の中の人造人間に読み聞かせている様であった。然し鋼鉄人間はピクンとも動かない。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
尾張
(
おわり
)
の
停車場
(
ステイション
)
で
他
(
ほか
)
の乗組員は
言合
(
いいあわ
)
せたように、残らず下りたので、
函
(
はこ
)
の中にはただ上人と私と二人になった。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そら、
函
(
はこ
)
が出来た。よろし。運搬台が来る。ガラガラガラガラガラガラ、走り出す。また紙包みが来る。パタパタ、トントン、すうっ、ガラガラガラガラである。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
それから、符表と文字盤を覆うている、鉄製の
函
(
はこ
)
を開く鍵を、真斎から借りて、まず鉄函を開き、それから文字盤を、右に左にまた右に合わせると、
扉
(
ドア
)
が開かれた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そのまた中を合乗で乗切る心無し
奴
(
め
)
も
有難
(
ありがた
)
の君が代に、その日
活計
(
ぐらし
)
の土地の者が
摺附木
(
マッチ
)
の
函
(
はこ
)
を張りながら、往来の花観る人をのみ
眺
(
なが
)
めて遂に
真
(
まこと
)
の花を観ずにしまうかと
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
図書館の
扉口
(
とぐち
)
に近い、
目録
(
カタログ
)
の
函
(
はこ
)
の並んでいる所へ、
小倉
(
こくら
)
の袴に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
紋附
(
もんつき
)
をひっかけた、背の低い角帽が一人、
無精
(
ぶしょう
)
らしく
懐手
(
ふところで
)
をしながら、ふらりと外からはいって来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると、すぐ足許のところを、白木の大きな
函
(
はこ
)
が流れており、函から
喰
(
は
)
み出た
玉葱
(
たまねぎ
)
があたりに
漾
(
ただよ
)
っていた。私は函を引寄せ、中から玉葱を
掴
(
つか
)
み出しては、岸の方へ手渡した。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
お千代はもう
逆上
(
のぼ
)
せたように顔ばかりか眼の中までを赤くさせ、
函
(
はこ
)
の中から取出す
指環
(
ゆびわ
)
や腕時計を、はめて見たり、抜いて見たりして、そのたびたびに深い
吐息
(
といき
)
をついている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは宝石のように小さな
函
(
はこ
)
にしまえる 小さな心にもしまえる
死の淵より
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
道誉は、手の切れそうな楮幣の
一
(
ひ
)
ト
束
(
たば
)
を
函
(
はこ
)
から取って
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
角
(
かく
)
なる
函
(
はこ
)
は
樫
(
かし
)
づくり、
焦茶
(
こげちや
)
の色の
框
(
わく
)
はめて
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
お母さんが
泣
(
な
)
きながら
函
(
はこ
)
を出しました。玉はお日さまの光を
受
(
う
)
けて、まるで天上に
昇
(
のぼ
)
って行きそうに
美
(
うつく
)
しく
燃
(
も
)
えました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あいよ。」とおかあさんが
言
(
い
)
って、
函
(
はこ
)
の
中
(
なか
)
から
美麗
(
きれい
)
な
林檎
(
りんご
)
を
出
(
だ
)
して、
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
にやりました。その
函
(
はこ
)
には
大
(
おお
)
きな、
重
(
おも
)
い
蓋
(
ふた
)
と
頑固
(
がんこ
)
な
鉄
(
てつ
)
の
錠
(
じょう
)
が、ついていました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そして警部を大きな脳波受信機の
函
(
はこ
)
の中へ押しこんで、ぱたんと
蓋
(
ふた
)
をした。警部は冠をかぶせられたときから後は、別人のようにおとなしくなってしまった。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“函(
箱
)”の解説
箱(はこ、函、筥、匣、筐)は、物を入れるための容器の一種。貨物輸送に関する国連勧告「Recomendations on the Transport of Dangerous Goods」では、箱は「金属、木、合板、再生木材、ファイバ板、プラスチックその他の適当な材料で作られた、完全な方形または多角形の面で構成された容器」と定義されている。
(出典:Wikipedia)
函
漢検準1級
部首:⼐
8画
“函”を含む語句
書函
函館
投函
函嶺
郵便函
空函
硝子函
函中
石函橋
石鹸函
弗函
小函
函数
函根
銭函
手函
紙函
函南
函迫
霧函
...