はこ)” の例文
忽ち髪をもしゃもしゃにした子供の首がはこふたをもちあげて出て来て、北の方を向いてお辞儀をした。それは彼の子供であった。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「この亀は神のごとくで、物なども食いません。これを枕のはこのなかに入れて置けば、うわばみの毒を避けることが出来ます」
李はそれでも、いい話相手を見つけたつもりで、ふくろはこを石段の上に置いたまま、対等なことばづかいで、いろいろな話をした。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこではこけて一束の縄を出したが、その長さは二、三十丈もあった。彼の男はその端を持って、空中へ向って投げた。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
鼠を入れて置くふくろが一つ、衣装や仮面めんをしまって置くはこが一つ、それから、舞台の役をする小さな屋台のような物が一つ——そのほかには、何も持っていない。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼の男は承知して、うわぎをぬいではこの上にかけ、物を怨むような所作しょさをしていった。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)