客車はこ)” の例文
と巡査は、その男の入つた客車はこの方へあたふた駈けて往つたが、暫くすると、ひどく恐縮した顔をして帰つて来た。そして二度三度、カアネギイの前でお辞儀をした。
なんしろ、あんたの毎日のお客様を、それとなく拝見しているに、どうも、時間といい、客車はこといい、切符といい、荷札といい、どれもこれも三の字にひどく関係の深い御婦人達のように思われてね。
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
でも次の停車場へ来ると、肥つた男は煙管パイプくはへた儘ろくに挨拶もせずほか客車はこへ移つて往つた。
「私は御注意しましたね、この客車はこでは煙草はめないつて。それにも頓着なくそんなにすぱすぱおりになると、次の停車場で巡査にお引渡しするかも知れませんよ。私はかういふ者です。」