車室はこ)” の例文
また汽車に乗って、一つの車室はこに自分一人っきりのことも数回あったが、そんなときは、警報器が引きたくて狂気きちがいになりそうだった。
ピストルの蠱惑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
いざ車室はこに乘り込むと、何か歌を唄いだしたんですが、それからめそめそ泣きだしちまって——いやどうも胸糞が惡くなっちまいましたよ。
やがて彼女が急行列車の車室はこに席を占めて、二度目のベルが鳴ったとき、彼女はこう言うのだった。——
凄い飮み助だ! 車室はこのなかで何やら歌を唄っていましたっけが、やがてあんたのことを思い出して、ちょいと投げキスをして、あんたに宜しくと言いましたぜ。
私の車室はこにいた三人の乗客——老紳士と、若い男と、ごく若い女——は、誰も眠らなかった。
……車室はこは大入り満員の盛況でね、眠ることなど思いも寄らん。そこで車掌に五十コペイカ玉をつかませた。……すると奴さん、僕の荷物を抱えてね、特別室クペーへ案内してくれたんだ。
接吻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
遙か彼方のほうで、車室はこの窓からパーヴェル・パーヴロヴィチを呼ぶ心配そうな金切聲が聞こえてきた。
それで大変不吉なお話だが、もしもその犯人がこの車室はこに乗っているとすれば、奥様マダムなり、諸君メッシュウなり、私なりが直ちに彼を認めて、次の停車場で警官に捕縛させることが出来るわけです