いざ車室に乘り込むと、何か歌を唄いだしたんですが、それからめそめそ泣きだしちまって——いやどうも胸糞が惡くなっちまいましたよ。
やがて彼女が急行列車の車室に席を占めて、二度目のベルが鳴ったとき、彼女はこう言うのだった。——
凄い飮み助だ! 車室のなかで何やら歌を唄っていましたっけが、やがてあんたのことを思い出して、ちょいと投げキスをして、あんたに宜しくと言いましたぜ。
私の車室にいた三人の乗客——老紳士と、若い男と、ごく若い女——は、誰も眠らなかった。