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白梅
読み方 | 割合 |
しらうめ | 60.0% |
はくばい | 40.0% |
伊勢は
戦といううわさだが、京都の空はのどかなものだ。
公卿屋敷の
築地には、
白梅の
香がたかく、
加茂川の
堤には、若草がもえている。
小さい毛糸の靴下が、伸した手にひっかかった——
白梅の入った
莨入の代りに。
また
岩の
隙き
間には、
青紫のちしまぎきょう、いはぎきょう、
花は
白梅に
似て、
葉は
豆のように
厚ぼつたいいはうめ、
鋸齒のある
腎臟形の
葉を
根元に
出して
風もないのに、
紅梅や
白梅の花びらが、
釣り
橋の水に
点々とちって、そのにおいがあやしいまで
闇にゆらぐ。