“きりょう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
縹緻35.7%
容貌34.5%
容色15.9%
器量6.3%
綺倆1.4%
縹致1.0%
標致1.0%
姿容0.5%
容姿0.5%
姿色0.2%
標緻0.2%
嫖致0.2%
容光0.2%
才貌0.2%
技倆0.2%
着料0.2%
緻容0.2%
緻致0.2%
美貌0.2%
美顔0.2%
面貌0.2%
鬼霊0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ことし十九になる惚々するような縹緻きりょうよしで、さすが血すじだけあって、こだわりのない、さっぱりとした、いい気だてを持っている。
容貌きりょうも悪く、身体も弱く、心持まで少し発育が遅れて、七つといっても、せいぜい五つぐらいにしか見えなかったと言っております。
「あの時には、私も容色きりょうに自信があったのだ、それでも蓮香姉さんを見ると恥かしかったが、今、かえってこんな顔になったのだ」
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
御覧ごらんのとおりわたくしなどはべつにこれともうしてすぐれた器量きりょう女性おんなでもなく、また修行しゅぎょうったところで、多寡たかれてるのでございます。
御自分たちの御綺倆きりょうと、学校の成績ばかりを一所懸命に争ってお出でになる方には、私が何となく劣等な、片輪者のように思われたのでしょう。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうせ縹致きりょうなんぞに望みのあるわけアねえんだがね。……その点は我慢するとしても、彼奴やつには気働きというものがちっともありゃしねえ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
もっとも、十八九はたちごろから、時々見た顔ですから、男弟子に向っては、澄ましていたのかも知れません。薄手で寂しい、眉のりんとした瓜核顔うりざねがおの……標致きりょう
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かのあいやまと申すところに、名物のお杉お玉と申すものがおって、三味をいて歌をうたい、客の投げ与うる銭を乞うていた、そのお杉お玉両女のうち、お玉と申すのがことのほか姿容きりょうがよい
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
同優は旧幕の末、踊の師匠坂東美津代の門に入り桂八と名乗ったが、容姿きりょうはよし、踊にかけては天才で、十五、六歳の折すでにお狂言師の頭となり、諸侯の奥向へ出入りしておった。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
我身の薄命をかこち、「何処かの人」が親をないがしろにしてさらにいうことを用いず、何時いつ身をめるという考も無いとて、苦情をならべ出すと、娘の親は失礼な、なにこの姿色きりょうなら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
姿色きりょうは少し劣る代り、遊芸は一通り出来て、それでいて、おとなしく、愛想あいそがよくて、お政に云わせれば、如才の無いで、お勢に云わせれば、旧弊なむすめ、お勢は大嫌だいきらい、母親が贔負ひいきにするだけに
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
さてその紳士その美人を娶れば娶り得るはずだったが、利に走る世の習い、その美人よりも富んでさほどの標緻きりょうを持たぬ女をめとったとは、歎息のほかなし。
かれ十二分の標緻きりょうなしといえども持操貞確、つくえを挙げて眉にひとしくした孟氏のむすめ、髪を売って夫をたすけた明智あけちの室、筆を携えて渡しに走った大雅堂の妻もこのようであったかと思わるる。
遊芸をみっちり仕込んだ嫖致きりょうの好い姉娘は、芝居茶屋に奉公しているうちに、金さんと云う越後産の魚屋と一緒になって、小楽に暮しているが、爺さんの方へは今は余り寄りつかないようにしている。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
花城は自分でむすめを送って来た。女は華やかに化粧をしていたが、その容光きりょうが人を照らすほどであった。羅夫婦はひどく悦んで、一家の者を呼びあつめて酒盛をした。翩翩はかんざしたたいて歌った。
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「お前さんのような才貌きりょうで、なぜ十七になるまでお嫁さんをもらわないね。嬰寧もまだ約束もないし、まことに良い似合だが、惜しいことには身内という、かかわりがあるね。」
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「処を、清く、恐入ってくれたというもんだから、双方無事で、私もおおき技倆きりょうを上げたが、いってみりゃ、こりゃ、お前方のおかげだよ。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よく召使めしつかい仕着しきせに、じぶんの着料きりょうよりもじょうとうな布をもちいるものがありますが、わたくしもじぶんの影を人間にしたててあるのです。
やはり秀八のずば抜けた緻容きりょうと、きゃんな辰巳肌のうちに、どことなく打ちしめっているやつれの美しさが、通船楼で見た時から受けたつよい魅力であった。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
打見うちみところ年齢とし二十歳余はたちあまり、かお丸顔まるがおほうで、緻致きりょうはさしてよいともわれませぬが、何所どことなく品位ひんいそなわり、ゆきなす富士額ふしびたいにくっきりとまゆずみえがかれてります。
年頃は三十をなかばほどとは考えさせるが、つくろわねど、この美貌きりょうゆえ若くも見えるのかも知れない。といって、その実はふけさせて見せているかも知れない。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「いいや、そうで無いよ。お前の様な美顔きりょうで、心立こころだての好い者は、どのくらい武家の方で満足に思うか分らない」
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
すっきり端然しゃんと構えたる風姿ようだいといい面貌きりょうといい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴あっぱれ小気味のよき好漢おとこなり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
禁厭まじない祭祝さいしゅく祓除はらいよけ、陰陽道、物忌ものいみ鬼霊きりょう占筮せんぜいなど、多様な迷妄の慰安をもたなくては、生きていられない上流層の人々だった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)