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容色
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きりょう
ふりがな文庫
“
容色
(
きりょう
)” の例文
が、
串戯
(
じょうだん
)
ではありません、
容色
(
きりょう
)
、
風采
(
とりなり
)
この人に向って、つい(巡礼結構)といった下に、思わず胸のせまることがあったのです。——
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの時には、私も
容色
(
きりょう
)
に自信があったのだ、それでも蓮香姉さんを見ると恥かしかったが、今、かえってこんな顔になったのだ」
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
静かに一礼して上げた顔は、その辺の商売人にも滅多にない
容色
(
きりょう
)
で、髪形、
銘仙
(
めいせん
)
の小袖、何となくただの奉公人ではありません。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お熊さんの
容色
(
きりょう
)
に眼を付けて嫁にくれいと申し出たものらしゅう存じますが、そのうちに横着者の継母のお艶が、欲と色との二筋道から
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これは中々の美人で、日本などへ来るには
勿体
(
もったい
)
ない位な
容色
(
きりょう
)
だが、何処で買ったものか、
岐阜
(
ぎふ
)
出来の絵日傘を得意に差していた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
俺は一度か二度その娘を見かけたが、そう悪くない
容色
(
きりょう
)
だぜ。それがなんでも、監獄の
差入屋
(
さしいれや
)
とかへ
嫁
(
かたづ
)
いているという話だ。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
僕の口から言うも変ですが、里子は美人というほどでなくとも随分人目を引く程の
容色
(
きりょう
)
で、丸顔の
愛嬌
(
あいきょう
)
のある女です。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一人の
女
(
むすめ
)
が
婢
(
じょちゅう
)
を
伴
(
つ
)
れて、枝に着いた梅の花をいじりながら歩いていた。それは珍らしい
佳
(
い
)
い
容色
(
きりょう
)
で、その笑うさまは手に
掬
(
すく
)
ってとりたいほどであった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
自分の細君がすっかり
老
(
ふ
)
けこんで、
容色
(
きりょう
)
が落ちて、身体じゅう
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の
臭
(
にお
)
いが
滲
(
し
)
みこんでしまってい、いっぽう自分の方はまだ若く、健康で、新鮮で
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「お前の
容色
(
きりょう
)
なら一躍スタアになれるに違いないが、その代り貞操を
賭
(
か
)
けなきゃならないんじゃないかね。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
百合子は相当
容色
(
きりょう
)
に自信があったもんですから、女優になりたい、と、口癖のように言っていたんですよ。
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
ある時などは写真を送れと言って
遣
(
や
)
ろうと思って、手紙の
隅
(
すみ
)
に小さく書いて、そしてまたこれを黒々と塗って了った。女性には
容色
(
きりょう
)
と
謂
(
い
)
うものが是非必要である。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
探そうにも、探しだす手だてがなかったのである。彼はいま妻を迎えようとしていた。そして自分の妻になる女を両親に引き合わせた。気だての優しい、
容色
(
きりょう
)
もなかなかいい女だった。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「さようなあ、悪いとは言えねえ。お寺の娘さんにも、お武家の娘御にも、商売人にも食い飽きた親玉が放さねえのだから、悪い
容色
(
きりょう
)
の女じゃねえのう。百姓の娘にしてあれだからのう」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
当世は金のある所に玉がよるんだ。それが当世って云うんだ。篦棒奴、娘が可愛ければこそ、己れだってこんな仕儀はする。あれ程の
容色
(
きりょう
)
にべらべらしたものでも着せて見たいが親の人情だ。
かんかん虫
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あれほどの
容色
(
きりょう
)
は江戸にもないと言って、通る旅の衆が評判したくらいの人だったぞなし。あのお袖さまが
煩
(
わずら
)
って
亡
(
な
)
くなったのは、あれはお前さまを生んでから
二十日
(
はつか
)
ばかり過ぎだったずら。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
...
容色
(
きりょう
)
も
好
(
よ
)
いそうです。中川さんよりもっと
良
(
い
)
い位だと申しました」客「それならなおさらだ、年頃は」妻君「二十一、二位だそうです」客「どうでしょうその妹さんが僕の
処
(
ところ
)
へ嫁に来てくれましょうか。奥さん一つ僕の橋渡しになって先方の心を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夫人 いや、
容色
(
きりょう
)
はこちらからは見せたくない。力で、人を強いるのは、播磨守なんぞの事、
真
(
まこと
)
の恋は、心と心、……(軽く)薄や。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
神田の
悪戯者
(
いたずらもの
)
が娘番付を
拵
(
こしら
)
えて、東の関脇に据えた
容色
(
きりょう
)
、疲れと怖れに、少し青くはなっておりますが、誰が眼にも、これは美しい娘でした。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこにまた
御藤
(
おふじ
)
さんという娘があって、その人の
容色
(
きりょう
)
がよく
家
(
うち
)
のものの口に
上
(
のぼ
)
った事も、まだ私の記憶を離れずにいる。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その侍女のなかに小さな馬に乗った
容色
(
きりょう
)
のすぐれた女があったので、方棟は近くへ寄って往って覗いた。
瞳人語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
容色
(
きりょう
)
も悪くはなし年だって私と
同
(
おんな
)
じなら未だいくらだって嫁にいかれるのに、ああやって一生懸命に奉公しているんだからね。全く
普通
(
なみ
)
の
女
(
もの
)
にゃ
真似
(
まね
)
が出来ないよ。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「あれ程の
容色
(
きりょう
)
を持った女が無意味に死ぬものとは思われません。余程の事がなくては……」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
四ツ谷からお茶の水の高等女学校に通う十八歳くらいの少女、
身装
(
みなり
)
もきれいに、ことにあでやかな
容色
(
きりょう
)
、美しいといってこれほど美しい娘は東京にもたくさんはあるまいと思われる。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
陳は女を
伴
(
つ
)
れて帰り、
燈
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けてよく見ると、ひどく
佳
(
い
)
い
容色
(
きりょう
)
をしていた。陳は悦んで自分の
有
(
もの
)
にしようとした。女は大きな声をたててこばんだ。やかましくいう声が隣りまで聞えた。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
いつでも問題になるのはお君の
容色
(
きりょう
)
。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
... 拵えて二人で仲好くお
取膳
(
とりぜん
)
で食るけれども」雇婆「オホホお
楽
(
たのし
)
みでございますね」主人「楽みさ、この位な楽みはないの、
和女
(
おまえ
)
が見たってお登和さんは
好
(
い
)
い女だろう、あの位な女は
滅多
(
めった
)
にないだろう」雇婆「ホンに好いお嬢さんです。お
容色
(
きりょう
)
ばかりでありません。お気立がお優しくって御親切で
昨日
(
きのう
)
も私に
半襟
(
はんえり
)
を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それでもね、妹が美しいから負けないようにって、——どういう
了簡
(
りょうけん
)
ですかね、兄さんが
容色
(
きりょう
)
望みで
娶
(
と
)
ったっていうんですから……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔のお常の美しさを追う、若い男達は、お常の
容色
(
きりょう
)
の変化などには気も付かぬ様子で、相変らず店を賑わしております。
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
容色
(
きりょう
)
を生命とする女の身になったら、
殆
(
ほと
)
んど堪えられない
淋
(
さび
)
しみが
其所
(
そこ
)
にあるに違ないと健三は考えた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな綺麗な
容色
(
きりょう
)
を持ちながら、こんな気高い姿でありながら、もし
彼
(
か
)
の夢を見なければ、彼の低い暗い家の中に住んで、あの泥土を素足で踏んで、
彼
(
か
)
の
腥
(
なまぐさ
)
い
魚
(
うお
)
を掴むのを
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
新婦は
舅姑
(
しゅうと
)
に逢った。その新婦の
容色
(
きりょう
)
がきれはなれて美しかったので、主人は喜んだ。胡は一人の弟と妹を送ってきていたが、二人とも話すことが風雅で、それでまた二人ともよく飲んだ。
胡氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そっと起きて
覘
(
のぞ
)
いてみると、三、四人の
女郎
(
むすめ
)
が地べたへ敷物を敷いて坐り、やはり三、四人の
婢
(
じょちゅう
)
がその前に酒と肴をならべていた。女は皆すぐれて美しい
容色
(
きりょう
)
をしていた。一人の女がいった。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そこに、女中……いや、中でも
容色
(
きりょう
)
よしの仲居にも、ついぞ見掛けたことのないのが、むぞうさな
束髪
(
たばねがみ
)
で、襟脚がくっきり白い。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蒼
(
あお
)
い月の光に照されたところを見ると、年の頃は二十二三、少しふけてはおりますが、素晴らしい
容色
(
きりょう
)
です。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
次に、
容色
(
きりょう
)
だって十人並より
可
(
い
)
いじゃありませんかと梅子が云った。これには父も兄も異議はなかった。代助も賛成の
旨
(
むね
)
を告白した。
四人
(
よったり
)
はそれから高木の品評に移った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
併し美留藻の似せ紅矢はここが大切なところと思いまして、一生懸命になって濃紅姫の
容色
(
きりょう
)
を賞め千切って、
仮令
(
たとい
)
どんな女が来ても妹以上に美しい女は居ないから大丈夫だ。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そうか言うて、東京のお客様に、あんまりな人も見せられはしませずな、
容色
(
きりょう
)
が
好
(
い
)
いとか、芸がたぎったとかいうのでござりませぬとなあ……
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
オモヨさんも高島田に
結
(
ゆ
)
うて、草色の振袖に
赤襷
(
あかだすき
)
がけで働いておりましたが、何に致せ
容色
(
きりょう
)
はあの通り、御先祖の
六美
(
むつみ
)
様の画像も及ばぬという、もっぱらの評判で御座いますし
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「御縫さんて人はよっぽど
容色
(
きりょう
)
が好いんですか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よくしたもので、
上
(
うえ
)
つ
方
(
がた
)
はまあ少々はおでこでもそこは事が済みますが、
下々
(
しもじも
)
の
娘
(
こ
)
が出世をしようというには、さらりと打明けた処で
容色
(
きりょう
)
じゃ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白妙
唯
(
ただ
)
一人、(でも。)とか申して、
内々
(
ないない
)
思ひをほのめかす、大島守は勝手が違ふ上に、おのれ
容色
(
きりょう
)
自慢だけに、いまだ
無理口説
(
むりくどき
)
をせずに
居
(
お
)
る。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
以前にも両三度聞いた——
渠
(
かれ
)
の帰省談の中の
同伴
(
つれ
)
は、その
容色
(
きりょう
)
よしの
従姉
(
いとこ
)
なのであるが、従妹はあいにく京の本山へ
参詣
(
おまいり
)
の留守で、いま一所なのは
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それのかなわない
腹癒
(
はらいせ
)
に、商会に対する非常な妨害から
蹉跌
(
さてつ
)
没落さ。ただ妻の
容色
(
きりょう
)
を、台北の雪だ、「雪」だと
称
(
とな
)
えられたのを思出にして落城さ。」
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……芸も
容色
(
きりょう
)
もないものが、生意気を云うようですが、……たとい殺されても、死んでもと、心願掛けておりました。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
優等生で、この
容色
(
きりょう
)
であるから、寄宿舎へ
出入
(
ではい
)
りの
諸商人
(
しょあきんど
)
も知らぬ者は無いのに、別けて
馴染
(
なじみ
)
の
翁様
(
じいさま
)
ゆえ、いずれ
菖蒲
(
あやめ
)
と引き煩らわずに名を呼んだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妙齢
(
としごろ
)
で、あの
容色
(
きりょう
)
ですからね、もう
前
(
ぜん
)
にから、いろいろ縁談もあったそうですけれど、お
極
(
きま
)
りの長し短しでいた処
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘は、別に
異
(
かわ
)
ったこともありませんが、
容色
(
きりょう
)
は三人の
中
(
うち
)
で一番
佳
(
よ
)
かった——そう思うと、今でも
目前
(
めさき
)
に見えますが。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども、
脊恰好
(
せいかっこう
)
から、
形容
(
なりかたち
)
、
生際
(
はえぎわ
)
の少し乱れた処、色白な
容色
(
きりょう
)
よしで、
浅葱
(
あさぎ
)
の
手柄
(
てがら
)
が、いかにも似合う細君だが、この女もまた不思議に浅葱の手柄で。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一そんな安店に、
容色
(
きりょう
)
と云い
気質
(
きだて
)
と云い、名も白露で
果敢
(
はか
)
ないが、色の白い、美しい
婦
(
おんな
)
が居ると云っては、それからが嘘らしく聞えるでございましょう。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“容色”の意味
《名詞》
容 色(ようしょく)
顔かたち。
(出典:Wiktionary)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“容色”で始まる語句
容色好
容色望