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容貌
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きりょう
ふりがな文庫
“
容貌
(
きりょう
)” の例文
「あいにく病気だと云うのですよ、でも大丈夫ですよ、すこし
容貌
(
きりょう
)
はよくないが、縫物が上手で、手も旨いし、人柄は至極柔和だし」
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
容貌
(
きりょう
)
も悪く、身体も弱く、心持まで少し発育が遅れて、七つといっても、せいぜい五つぐらいにしか見えなかったと言っております。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
生みました。その長三郎が当年
二十歳
(
はたち
)
になりますから、おかみさんは三十八で、
容貌
(
きりょう
)
も悪くなく、年よりも若く見える方でございます
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さして目に立つほどの
容貌
(
きりょう
)
ではないが、
二十
(
はたち
)
を越したばかりの
艶
(
なまめか
)
しさに、大学を出たばかりの薬局の助手が
忽
(
たちま
)
ち誘惑しようとしたのを
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
容貌
(
きりょう
)
は、親の慾目で見ても三人とも、そう人並み
優
(
すぐ
)
れたほどでもない。ただ政子だけは、幾ぶん亡き先妻の容色を
偲
(
しの
)
ばせるものがあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
菊五郎のお蔦、
両吟
(
りょうぎん
)
の唄にて花道の出は目の
醒
(
さ
)
むるほど美しく、今度は
丸髷
(
まるまげ
)
にて
被布
(
ひふ
)
を着られしためもあらんが、
容貌
(
きりょう
)
は先年より
立優
(
たちまさ
)
れり。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
天公
(
てんこう
)
はいたずら者で、世間並みでないところへ世間並み以上の者を作る、お杉お玉の
容貌
(
きりょう
)
もそれで、米友の俊敏なる天性もそれであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「その宝はそなたの
容貌
(
きりょう
)
じゃ、世の万人に立ち越えたその美くしさじゃ、かてて加えてそなたはそのように若いのだからの」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そこで、あの
容貌
(
きりょう
)
のよい、
利発者
(
りはつもの
)
の娘が、お
籠
(
こも
)
りをするにも、
襤褸
(
つづれ
)
故に、あたりへ気がひけると云う始末でございました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
江戸時代には一と口に痲疹は
命
(
いのち
)
定
(
さだ
)
め、疱瘡は
容貌
(
きりょう
)
定めといったくらいにこの二疫を小児の健康の関門として恐れていた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
容貌
(
きりょう
)
は
佳
(
よ
)
し性質もこんな温厚な娘だったが、玉にも
瑕
(
きず
)
の例でこの娘に一つの難というのは、肺病の血統である事だ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
仲人は私に向って先方が
容貌
(
きりょう
)
が悪くても、ほかに美しい女を囲えばよいではないかといって私に頻にすすめました。
猫と村正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
今の若い者はこんなことが好きでなさそうですよ。この
家
(
うち
)
に幾月か前から来ておいでになる姫君も、
容貌
(
きりょう
)
はいいらしいが、少しもこうしたむだな遊びを
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
月の光に化粧された、その女の
容貌
(
きりょう
)
が、余りにも美しく余りにも
気高
(
けだか
)
く、あまりにも
﨟
(
ろう
)
たけていたからである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
容貌
(
きりょう
)
は梅子と比べると余程落ちるが、県の女学校を卒業してちょうど
帰郷
(
かえ
)
ったばかりのところを、友人
某
(
なにがし
)
の奔走で遂に大津と結婚することに
決定
(
きまっ
)
たのである。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
手跡はお家流をよく書き、腰折れの一首もものし、貧乏の中に風流を解するゆとりもあり、
容貌
(
きりょう
)
は木魚の顔のおじいさんの娘なりに、似てはいたが醜くはなかった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私はあなたが
許嫁
(
いいなずけ
)
をしていないことを知ってるのですが、あなたのような
容貌
(
きりょう
)
を持ち、才能があり、立派な家柄があって、何も身分の
貴
(
たか
)
い婿がなくっても好いでしょう。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
何だか
容貌
(
きりょう
)
自慢のようですが
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
下碑が鍋尻を洗う
容貌
(
きりょう
)
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
お関は
容貌
(
きりょう
)
も好し、遊芸ひと通りも出来るので、番
町
(
ちょう
)
の
御厩谷
(
おうまやだに
)
に屋敷をかまえている五百石取りの旗本福田左京の妾に所望された。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蒼白い顔が少し弱々しく見えますが、粗末な
身扮
(
みなり
)
に似合わぬ美しさで、存分に装わせたら、お喜多に劣らぬ
容貌
(
きりょう
)
になるでしょう。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
遠くからで
能
(
よ
)
くはわからないが、お雪よりは年もとっているらしく
容貌
(
きりょう
)
もよくはないようである。わたくしは人通りに交って別の路地へ曲った。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これほどのお大尽でも、あればかりはどうすることもできませんね。それだからお君さんのような
容貌
(
きりょう
)
よしに生れついた者は、お金で買えない
幸福
(
しあわせ
)
を
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
謙作は
背後姿
(
うしろすがた
)
も
好
(
よ
)
かったが、
好
(
い
)
い女だなと思ってちょっとその
容貌
(
きりょう
)
に引きつけられた。と、洋服の男が顔をあげた。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すると突然縁談が
起
(
おこ
)
ったというのは、何でも、その娘を
或
(
ある
)
男が外で見染めたとかで、是非というつまり
容貌
(
きりょう
)
望みで直接に先方から
懇望
(
こんもう
)
して来たのである。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
「毒婦だな、貴様は。——その美しい
容貌
(
きりょう
)
を持って生れながら何という情けない心だろう。
薊
(
あざみ
)
の花だ。
茨
(
ばら
)
の花だ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「人情がわからない方ね。引っ込み思案でばかりいらっしゃる。あれだけの
容貌
(
きりょう
)
を持っておいでになりながら」
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
瀟洒として粋であり、どうやら
容貌
(
きりょう
)
も美しいらしい。月を仰いだ顔の色が、白く蒼味を帯びていて、鼻が形よく高いのだろう、その陰影がキッパリとしている。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ
容貌
(
きりょう
)
はあまり立派ではございません、鼻の丸い額の狭いなどはことに目につきました。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
仮に
容貌
(
きりょう
)
が悪いにしても、容貌の
好悪
(
よしあし
)
で好き嫌いをするのは真に愛する
所以
(
ゆえん
)
ではない。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それに、
容貌
(
きりょう
)
も立ちまさっているのではないが、人柄が立ちまさって見える点など、私は、彼女にそんな事をいったこともある。彼女もその評は、嬉しくないこともなかったのだ。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
家主は別の
母屋
(
おもや
)
に住んでいたが、男らしい者は一人も見えず、三十ぐらいの
容貌
(
きりょう
)
のよい女と唯ふたりの女中がいるばかりであった。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
才覚も
容貌
(
きりょう
)
も十人並に優れていながら、まことに心掛けの悪い女で、自分の腹に生れたお七という娘可愛さに、
継娘
(
ままこ
)
のお染を、隣土地の悪者で
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大柄な女はいかほど
容貌
(
きりょう
)
がよく押し出しが立派でも兼太郎はさして見返りもせず、ああいう女は昔なら
大籬
(
おおまがき
)
の
華魁
(
おいらん
)
にするといい、当世なら女優向きだ
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「わたしたちなんぞはいずれもこんな
御面相
(
ごめんそう
)
だから、誰もかまってくれる人はないけれど、君ちゃんは
容貌
(
きりょう
)
よしだから、忽ち旦那が附いちまったんだよ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
年も三十過ぎだし
容貌
(
きりょう
)
も悪いが心だては目明きにない正直さだった。こんな女にも、誰か手を出す男があるとみえて、子をかかえているのが
不愍
(
ふびん
)
だった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
感じの悪い
容貌
(
きりょう
)
でもありませんでしたから、やきもち焼きのほうを世話女房にして置いて、そこへはおりおり通って行ったころにはおもしろい相手でしたよ。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
年齢
(
とし
)
はその頃十九だったが、
容貌
(
きりょう
)
もよし性質も至って温雅な娘でまた
箏
(
こと
)
の方にかけては
頗
(
すこぶ
)
る
天稟
(
てんりん
)
的なので、師匠の自分にも
往々
(
おうおう
)
感心する様なことがあったくらいだ。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
「お客さんのお
媽
(
かみ
)
さんなら、定めて背のすっきりした、面長の好い
容貌
(
きりょう
)
でございましたろう」
立山の亡者宿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
容貌
(
きりょう
)
は十人並で、ただ愛嬌のある女というに
過
(
すぎ
)
ないけれど、如何にも柔和な、どちらかと言えば今少しはハキハキしてもと思わるる程の性分で
何処
(
どこ
)
までも正直な、
同情
(
おもいやり
)
の深そうな娘である。
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
阪東
三津江
(
みつえ
)
というお狂言師は、
永木
(
えいき
)
三津五郎という名人の弟子で、まあ、ちょっとない名人だよ、高名なものさ。岩井半四郎は、
大杜若
(
おおとじゃく
)
と呼ばれた人の孫だったかで、好い
容貌
(
きりょう
)
の
女形
(
おやま
)
だった。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「人間の標準から見て、猫の
容貌
(
きりょう
)
が
好
(
い
)
いの悪いのというは間違ってる、この猫だって誰も褒めてくれ手がなくても猫同士が見たら案外な美人であるかも知れない、その証拠には
交孳
(
さかり
)
の時には牡猫が
多勢
(
おおぜい
)
張
(
は
)
りに来る、」
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「村では評判の
容貌
(
きりょう
)
好しで、おとなしい孝行者でしたが、十五夜の晩に
芒
(
すすき
)
を取りに出たばっかりに、あんなことになってしまって……」
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あの女は多勢の男へ付き合って、その一人一人を鏡にして、自分の才智や愛嬌や弁舌や
容貌
(
きりょう
)
を映して楽しんでいたんだね。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なかなかいい
容貌
(
きりょう
)
である。鼻筋の通った円顔は
白粉焼
(
おしろいやけ
)
がしているが、
結立
(
ゆいたて
)
の島田の
生際
(
はえぎわ
)
もまだ
抜上
(
ぬけあが
)
ってはいない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
容貌
(
きりょう
)
を命とするのは女ばかりではございませぬ。仮りに坂崎様が本多様のようないい男であってごろうじませ、天樹院様だっておいやとは申しますまいよ
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どう見ても、世評を裏切らぬうつけ者、
容貌
(
きりょう
)
はよし、
骨柄
(
こつがら
)
も
一通
(
ひととお
)
りじゃが、すこし足らぬ。……ここが」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「実際
容貌
(
きりょう
)
のよい猫だね。けれど私には
馴
(
な
)
つかないよ。人見知りをする猫なのだね。しかし、これまで私の飼っている猫だってたいしてこれには劣っていないよ」
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
遠くの
房
(
へや
)
にいる
良人
(
おっと
)
の来る
跫音
(
あしおと
)
を聞いているだろう、こんな美婦の良人であるから、良人になる人も
容貌
(
きりょう
)
の好い男だろうと思った。そう思うと李張は
妬
(
ねた
)
ましいような気になって来た。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
こんなところは面白くないと、江戸の兄をたよって出て来たのだった。小りんという名も、よい
容貌
(
きりょう
)
も疱瘡でお安くなったというのと、
屋寿
(
いえのことぶき
)
と祝って、祖父と家をもつときに取りかえたのだ。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“容貌”の解説
容貌(ようぼう)は、人の顔立ちのことである。ルックス(looks)と呼ばれることもある。
(出典:Wikipedia)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
貌
常用漢字
中学
部首:⾘
14画
“容貌”で始まる語句
容貌魁偉
容貌佳
容貌好
容貌望
容貌美
容貌俊知
容貌瀟洒
容貌肢体
容貌風采