顔形かおかたち)” の例文
旧字:顏形
蟠「まったくお町に相違ない、相違ないが、うして斯様こんな山奥へ来てるか、それが分らぬ、併し筆蹟と云い顔形かおかたちといい、確かにお町に相違ない」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
服装から顔形かおかたちまで寸分ちがわない、ふたりの老博士が、顔と顔を見あわせて、にらみあいました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
番士達も源助町も、こういうからくりはすこしも知らないのだし、それに、顔形かおかたちは勿論、表情から着付きつけから、刀まで同じなのだから、とっさに喬之助が、身をひる返して
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それと同じく人の容貌ようぼうを評するにも、よく十人なみという言葉を使う。これはすなわち美醜びしゅうの一人前という意味であるが、美醜の割り出しなどは、眼鼻めはな顔形かおかたちの寸法をはかって出来得るものでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
姿恰好すがたかっこうは継子にまさっていても、服装なり顔形かおかたちで是非ひけを取らなければならなかった彼女は、いつまでも子供らしく羞恥はにかんでいるような、またどこまでも気苦労のなさそうに初々ういういしく出来上った
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此様こん顔形かおかたちになると云うのも、やっぱり豐志賀がたゝしょうを引いて、飽くまでもおれうらむ事か、アヽ飛んだ処へ縁付いて来た、と新吉が思いますると、途端に、ざら/\と云う
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
能く見ると顔形かおかたちが違って居りまする故
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)