是処こゝ)” の例文
旧字:是處
男教員の述懐、女教員の蔭口、其他時間割と月給とに関する五月蠅うるさいほどのねたみと争ひとは、是処こゝに居て手に取るやうに解るのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「はてな、一晩是処こゝであかして仕舞つたか知らん」といふのが、リツプの最初の考でした。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
もう是処こゝ沢山たくさんだ——わざ/\是処まで来て呉れたんだから、それでもう僕には沢山だ。何卒どうか、君、生徒を是処こゝで返して呉れ給へ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
急いで蟹沢の船場迄行つて、便船びんせんは、と尋ねて見ると、今々飯山へ向けて出たばかりといふ。どうもよんどころない。次の便船の出るまで是処こゝで待つより外は無い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)