当家こゝ)” の例文
旧字:當家
山「いゝえ見ず知らずの者に馳走になるべきものでは有りませんから、お母様っかさんわたくしと藤の料理代だけは当家こゝへ別に払いをして参ればそれで宜しい」
望月刑事が当家こゝへ訪ねたのは、日ももうトップリ暮れた頃だった。栄吉は稼ぎに出ていて未だ帰らず、三十そこ/\と思われる狡猾こすそうな顔をした女房が留守番をしていた。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
下婢「本当に当家こゝは客を大切にするが、此の位に致しませんではお客が殖えますまい……貴方はお一方ひとかたですが、御新造をお連れなさいませんのですか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甲「斯う致そう、当家こゝでも迷惑をいたそうから、表へ出て、広々した飛鳥山の上にて果合はたしあいに及ぼう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちいさい時分に両親ふたおやなくなってしまい、知る人に連れられて此の美作国みまさかのくにめえって、何処どこと云って身も定まりやしねえで居ましたが、縁有って五年あと当家こゝへ奉公にめえりまして、なげえ間お世話になり
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)