“あつち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼方69.1%
先方5.9%
彼地5.9%
彼所2.9%
那方2.9%
佛國1.5%
向方1.5%
外国1.5%
彼処1.5%
彼室1.5%
彼處1.5%
東京1.5%
那地1.5%
那裏1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「何んやこんなもん、こんなとこへ持つて來るんやない。彼方あつちへ置いといで、阿呆あほんだら。」とめづらしくお駒を叱つて、眼にかどてた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
『それでなす、先方あつちア着いてから、一緒に行つた樣でなく、後から追驅けて來たで、當分東京さ置ぐからつて手紙寄越す筈にしたものす。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
唯今ただいま絆創膏ばんそうこうを差上げます。何しろ皆書生でございますから随分乱暴でございませう。故々わざわざ御招おまねき申しましてはなはだ恐入りました。もう彼地あつちへは御出陣にならんがよろしうございます。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼所あつちつててもいよ。ようがあればぶから」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『何莫迦をするのだ! 靜は那方あつちへ行け!』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いつか佛國あつちでお話した時とは大部全體の調子を變へて通俗にしてしまひましたよ。序文だけは然しふるつたつもりです。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
「此方のボン/\は何故とめて置かないのさ、で、なければ向方あつちのでも——二つが間違つてゐるんぢや……気にすると、全く時間の観念が妙になつて来る!」
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
まへ彼処あつちなくなつたのは、だれきなひとができて、一しよになつたからだとおもつてゐたんだ。こんなところかせぎにてゐるとはらなかつたヨ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
女組は一先ひとまづ別室に休息した。富江一人は彼室あつちへ行き此室こつちへ行き、宛然さながら我家の様に振舞つた。お柳はあさつから口喧しく台所を指揮さしづしてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うまいがコロンブスは如何どうだ!』などいふこゑ彼處あつちでも此處こつちでもする。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
司は素人になつても美しいだらう。しやぐまと丸髷とどちらがよく似合ふ? 兎に角こゝいらでまごついてゐるのはよせよ。早く東京あつちへ歸つたらどうか。丁度商館の方に人が入用なんだ。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
那地あつちへ着いたら松魚のうまいのを鱈腹たらふく食はせるぞ。」
さうなんですけれど金ゆゑで両個ふたりが今死ぬのもあんまり悔いから、三千円きつと出すか、出さないか、それは分りませんけれど、もし出したらば出さして、なあに私は那裏あつちへ行つたつて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)