“向方”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
むかう33.3%
むかふ22.2%
むこう22.2%
あつち11.1%
むき11.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼の声が腹の底で低かつたので光子には聞えなかつたのかも知れない、光子は此方などには頓着なく(それも仕方がないとは思つたが、)一心に向方むかうを見て居るので、「チエツ」と自分は思つた。
若い作家と蠅 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ちよいと、爪先きをあげると、僕の爪先きは遥か彼方の波がしらを蹴つてゐる! ぴよんと飛びあがると僕のあたまは、遥か向方むかうの、月の光りで斑らになつてゐる松林にとゞいてゐるではないか。
センチメンタル・ドライヴ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「ずつと向方むかふに見ゆる島は、浮島といふんださうだ、三マイルしかないといふ話だ。」
環魚洞風景 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
——向方むかふを見ると老人は、もう仕事を終へて桟橋を上つて行く処でした。
晩春の健康 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
窓の下はまだ朝霧が立ちこめていたが、いも畑の向方むこう側にあたる栗林の上にはもう水々しい光がして、栗拾いに駈けてゆく子供たちの影があざやかだった。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
——そのうちに向方むこうの社殿のあたりから、妙に不調和な笑い声とも鬨の声ともつかぬどよめきが起って、突然二十人ちかい一団がわッと風を巻いて森を突き走り出た。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
「此方のボン/\は何故とめて置かないのさ、で、なければ向方あつちのでも——二つが間違つてゐるんぢや……気にすると、全く時間の観念が妙になつて来る!」火鉢の前に胡坐をして天井に向つて煙を吹いてゐた正吉が独言めかしく呟いた。
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
からだ向方むきをも知らずに彼は歩み出した。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)