“向方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むこう30.0%
むかう30.0%
むかふ20.0%
あつち10.0%
むき10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
窓の下はまだ朝霧が立ちこめていたが、いも畑の向方むこう側にあたる栗林の上にはもう水々しい光がして、栗拾いに駈けてゆく子供たちの影があざやかだった。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
臺地だいちはたけ黄白くわうはくあひまじつて地勢ちせいまゝになだらかに起伏きふくして鬼怒川きぬがは土手どてちか向方むかうひくくこけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ずつと向方むかふに見ゆる島は、浮島といふんださうだ、三マイルしかないといふ話だ。」
環魚洞風景 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「此方のボン/\は何故とめて置かないのさ、で、なければ向方あつちのでも——二つが間違つてゐるんぢや……気にすると、全く時間の観念が妙になつて来る!」
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
からだ向方むきをも知らずに彼は歩み出した。あとずさりをして居るのかと見える程僅かづつ前に出た。夜は暗い。と、彼の鼻先に、巨大な真黒なものが彼を圧して立ちはだかつた。彼ははつとした。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)