“むき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムキ
語句割合
55.8%
方向16.3%
勃気2.0%
無記2.0%
真剣2.0%
2.0%
1.4%
1.4%
怫然1.4%
方角1.4%
無気1.4%
真面目1.4%
0.7%
0.7%
位置0.7%
勃氣0.7%
勃然0.7%
向方0.7%
向気0.7%
憤気0.7%
本気0.7%
本氣0.7%
正氣0.7%
無愧0.7%
熱心0.7%
牟岐0.7%
艴然0.7%
0.7%
露骨0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
五十人ごじふにん八十人はちじふにん百何人ひやくなんにん、ひとかたまりのわかしゆかほは、すわり、いろ血走ちばしり、くちびるあをつて、前向まへむき、横向よこむき、うしろむき
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから静かに刀を抜くと、それを下段に付けたまま悠然と体の方向むきを変え、グルリ背後うしろへ振り向いて辻斬の武士と向かい合った。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「年寄はまるで子供でございますわね。直ぐに勃気むきになりますから、梶を取るのにナカ/\骨が折れますわ。それに子供が何だだと始終世話を焼かせるのでございましょう?」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
(『犀浦沙弥訓さいほしゃみくん』にいわく、「死時の心は、これ八識はっしき無記むき心にして、六識ろくしき明了みょうりょう心にあらざるなり。すでにこれ無記、すなわち苦楽あることなし」と)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「ぢや僕の金なら何うしても貰へないといふんだね。」終ひに捨三は真剣むきになつて見せた。
質物 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
誰の命令も文字通りに拝承した事のない代りには、誰の意見にもむきに抵抗したためしがなかった。解釈のしようでは、策士の態度とも取れ、優柔の生れ付とも思われる遣口やりくちであった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
西洋婦人の様に真中まんなかで毛を分けてその毛で額を作つた形は日本の王朝の貴婦人も同じであつた事が想はれる。今の日本人の様に額をむき出しにして居るのは王朝の尼額あまびたひと一緒である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「何だつてたなだてをはされなければならないんだね。」大杉氏はむきになつて顔を赤くした。「家賃もきちんきちんときまつて払つてるぢやないか。」
貴方あなたうジオゲンは白痴はくちだ。』と、イワン、デミトリチは憂悶ゆうもんしてうた。『貴方あなたなんだってわたくし解悟かいごだとか、なんだとかとうのです。』と、にわか怫然むきになって立上たちあがった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
クルリと方角むきを変えた北王子妙子は、駕籠の傍まで引っ返したが
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
店の若い者が眼をさまして見ると、彼らは昂奮こうふんした声を押つぶしながら、無気むきになって勝負にふけっていた。若い者は一寸ちょっと誘惑を感じたが気を取直して
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
浅井は真面目むきになってそうも言った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
龍卷は島を離れて走る如し。翁。此小舟の若し岩に觸れて碎けずば幸なり。語未だ畢らず、龍卷のむきは一轉せり。一轉して吾舟の方に進めり。そのきこと飇風へうふうの如し。
熔巖は同じむきに流れ行くものなれば、好事かうずのものは歩み近づきて迫り視ることを得べし。杖のさき又は貨幣などを揷込さしこみて、熔巖の凝りて着きたるを拔き出し、こを看たる記念にとて持ち行くものあり。
さうするとむきつたあとまめ陸穗をかぼかつしたくちつめたいみづやういきほひづいて、四五にちうちあをもつはたけつち寸隙すんげきもなくおほはれる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あつ刺戟しげきおどろくべき活動力くわつどうりよく百姓ひやくしやう手足てあしあたへる。百姓ひやくしやううま荷車にぐるまつてたふしたむきをせつせとはこぶ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今にも波の中へ落ち込もうとしているのを、傍の巌角いわかどにかけた隻手かたてがやっと支えていたじゃないか、俺は吃驚びっくりして体の位置むきを変えたが、今度見るともう女子おなごは見えなかった
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まあ、さう勃氣むきになるなよ。今のは冗談だ、冗談だ。はゝゝゝゝゝ。そこで、今こゝへ薪屋のせがれが來る。
正雪の二代目 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
うまく仰しやる、内々心当りがあるくせに空惚そらとぼけてゐる子。はツはツ、大分勃然むきになつて顔を赤くするナ。そんなら俺が気に入つて嬢様に周旋とりもたうといふ資格を話して聞かせやうか。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
からだ向方むきをも知らずに彼は歩み出した。あとずさりをして居るのかと見える程僅かづつ前に出た。夜は暗い。と、彼の鼻先に、巨大な真黒なものが彼を圧して立ちはだかつた。彼ははつとした。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
安重根 まったく、考えてみると、お互い下らないことに向気むきになってたもんさ。こうして外国に出て不自由をしながら、国事だとか言ってみたって始まらないからねえ。
憤気むきになると、……
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「叱られますよ。」とお庄はまた本気むきになって見せた。その顔はあかかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この一件が持上るに及び、忽ち本氣むきになつてりきみ出した。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
流石の男も、少し正氣むきになつて、激した口調で
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
樣々な懊惱あうのうかさね、無愧むきな卑屈なあなどらるべき下劣な情念を押包みつゝ、この暗い六疊を臥所ふしどとして執念深く生活して來たのである。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
しかし余りトラムプを弄んだことのない宏は勿論、寧ろおつき合ひにいい加減にお茶を濁してゐる五郎も、熱心むきになつて相手の札を記憶してゐる真弓の敵ではなかつた。真弓はずつと勝ちつづけた。
水と砂 (新字旧仮名) / 神西清(著)
土佐街道が白々と明けてきた頃——四ツの影は、牟岐むきの上流から本道とわかれて、笹見ささみ西又にしまた入道丸にゅうどうまる、いよいよ深い奥海部おくかいふの山地へ分け入っていた……。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
莫迦ばかにしてるよ。』と女は艴然むきになつて、『お大姐さんをだまして見やがれ、唯は置かねえから。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
私が家事不取締不埓至極という厳しい御沙汰ごさたを受けて切腹仰せ付けられるも知れないが、それより外に致し方はない、誠に困ったがよんどころないから宜しい、其のむきに届けるから
「損は僕も知ってるんだが、どうも僕の性質として、そう露骨むきに人に反対する事が出来ないんだね。ことに相手は世話になった先生だろう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)