“むく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムク
語句割合
45.2%
無垢27.2%
14.9%
4.8%
浮腫2.0%
1.5%
0.7%
0.4%
0.4%
0.4%
(他:11)2.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お秀の所でそくなったにがい経験にもりず、また同じ冒険を試みたお延の度胸はむくいられそうになった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お綱のほうには、それが耳に入らなかった。半刻はんときあまりの死力が、そこにむくいられてきたうれしさにみちていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無垢むくなる者を尊んで、それに一つの汚点をもつけさせなかったこの汚泥おでいは、そもそもいかなるものであったろうか。
金髮を風の脣に、白いはだへを野山のせいにみえぬ手に、無垢むくの身を狂風に乘る男に、おまへはまかせる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
……そんな紳士淑女連中からアラユル残酷な差別待遇を受けている、罪もむくいも無い精神病患者を弁護してみたくなるのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そはこの物彼の手にありしとき、我をはげます生くる正義は、己が怒りにむくゆるのほまれをこれに與へたればなり 八八—九〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
むくの木の所へ行って見上げると、椋鳥むくどりも何にもとまっていないで、ただわずかな葉が淋しそうについているきりでした。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
塀を越えたはずみに弦之丞、右の肩をむくの枝にはねられて、まだえきらぬ鉄砲傷、抱きしめてキッと唇を噛んだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんなに瘠せてゐるやうで、これでやつぱし浮腫むくんでゐるんだよ」と、父は流し場で向脛を指で押して見せたりした。
蠢く者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
畳は何となく浮腫むくんでゐるやうな不気味さで、抜く足にべと/\と抜き残るやうであつた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
の悪い日になると夕方家に帰る頃には、皆の両唇がむくみ上つてろくに物も言へなくなつたやうな事さへあつた。
少しむくみのある顔を悲しそうにしかめながら、そっと腰の周囲まわりをさすっているところは男前も何もない
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
『猫』の作者は、胃の悪い黒猫のやうに、座蒲団の上に円く胡坐あぐらを掻いて唯にやにや笑つてばかしで、別にむくれてゐる容子ようすもなかつた。
その日も思つた程顔触かほぶれが集まらないので、お婆さんは徐々そろ/\むくれ出した。
「わたしは自然によらなければ書かない。わたしは生きたむく犬の背中でペンを拭ふ」とあなたは言つた。
赤熊のこの容態では、成程立聴たちぎきをする隠れ場所に、見世物小屋を選ばねばならなかったろう、と思うほど、薄気味の悪い、その見世物は、人間の顔のむく犬であった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
課長の奴め恐ろしくむくれをつた。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
「うんにゃ、兄弟、やるならお前、勝手にやるがいいよ。だがおらあ駄目だ。家内がまた、えらくむくれるからなあ、まったく。おれは彼女あれ定期市いちの話をしなくちゃならないのさ。いや、兄弟、こうしちゃあいられないよ、彼女あれを悦ばせにゃならないからな。どうか、そう引き留めないでくれ!」
甥に脚気の出たとき、笹村はお銀にいいつけて、小豆あずきなどを煮させ、医者の薬も飲ませたが、脚がだんだんむくむばかりであった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
暑い日は、半病人のような体を、風通しのよい台所口へい出して来て、はぎむくんだ重い足を、冷たい板敷きの上へ投げ出さずにはいなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
実はあの会議が済んだあとで、よっぽど仲直りをしようかと思って、一こと二こと話しかけてみたが、野郎やろう返事もしないで、まだむくってみせたから、こっちも腹が立ってそのままにしておいた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我かく彼に、彼即ち我に。我もし汝に一の眞理を示すをえば、汝は汝のたづぬる事に顏をむくること今背をむくる如くなるべし 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
私はこの哀れな動物に殆んど想像することのできないほどの深い愛を感じた。そしてこの耳を噛んだ対手あいての犬に復讐むくいなければならなかった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
雅定は俊頼に向っていった、「木工むくこうの殿はあの声をお聞きですか」。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「そんなら椋鳥むくですやろうかい」
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
烏の群から怪しいと見た藤吉が、鎧の渡しへ彦兵衛をやって一番多く烏の下りている小舟の下を突かせると、果して締殺された女隠居の屍体が水腫むくみ返って浮んで来た。
白垢むく真白まっしろなのが、ころころと仰向あおむけに手をじゃれながら足許あしもとを転がってきます。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、標札を見れば此家ここに違いないから、くぐりを開けて中に入ると、直ぐもう其処が格子戸作りの上り口で、三度四度案内を乞うてやっと出て来たのを見れば、顔や手足の腫起むくんだような若い女で、初は膝を突きそうだったが、私の風体を見て中止にして、立ちながら、何ですという。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と、お杉とお紺の手をとつて、丘の上の子供達はむくつてくれました。椋鳥もうれしさうに、
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
彼は温情の人なり、恩に感じ易き人なり、知遇にむくゐん為には何物をも犠牲に供し得る人なり、彼なんぞ容易に父母の邦を棄得んや、容易に天下の浪士となり得んや、彼は智識に於てこそ極めて改革的進歩的の男子なりしなれ情に於ては極めて保守的の人物たりし。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
なれは我等に返報むくゆなり、おゝ汝、悪意なき夜よ。