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むく
ふりがな文庫
“
報
(
むく
)” の例文
その
心遣
(
こころや
)
りが
報
(
むく
)
いられたのか、それとも、単に私の気の迷いか、近頃では、夫人は、何となく私の椅子を愛している様に思われます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
又
賞
(
め
)
で
喜
(
よろこ
)
ばるゝと
雖
(
いへ
)
ども
親
(
おや
)
の
因果
(
いんぐわ
)
が
子
(
こ
)
に
報
(
むく
)
ふ
片輪
(
かたわ
)
娘
(
むすめ
)
の
見世物
(
みせもの
)
の如く
賞
(
め
)
で
喜
(
よろこ
)
ばるゝの
謂
(
いひ
)
にあらねば、決して/\
心配
(
しんぱい
)
すべきにあらす。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
俊寛 この苦しみを倍にして、七倍にしてきっとお前に
報
(
むく
)
いるぞ! わしの足がまだわしの体を支える限りは。えゝ。船を出せ。船を!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ある長官は親切な人で、彼の永年の精励に
報
(
むく
)
いんがためにありきたりの写字よりは何かもう少し意義のある仕事をさせるようにと命じた。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
すでに、朝廷ではあまねく、こんどの革命に軍功のあった宮方将士に
報
(
むく
)
う「
論功行賞
(
ろんこうこうしょう
)
」の調査機関が開始されているとも彼は聞いている。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
八二
老衲
(
らうなふ
)
もしこの鬼を
八三
教化
(
けうげ
)
して
本源
(
もと
)
の心にかへらしめなば、こよひの
饗
(
あるじ
)
の
報
(
むく
)
ひともなりなんかしと、たふときこころざしを
発
(
おこ
)
し給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
是から
先
(
さ
)
き悪い事はなさらないように
何卒
(
どうぞ
)
気をお附けなさい、年を
老
(
と
)
ると
屹度
(
きっと
)
報
(
むく
)
って参ります、
輪回応報
(
りんねおうほう
)
という事はないではありませんよ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
をしぼりたる
報
(
むく
)
ひか、五十にも
足
(
た
)
らで
急病
(
きうびやう
)
の
腦充血
(
のうじうけつ
)
、一
朝
(
あさ
)
に
此世
(
このよ
)
の
税
(
ぜい
)
を
納
(
をさ
)
めて、よしや
葬儀
(
さうぎ
)
の
造花
(
つくりばな
)
、
派手
(
はで
)
に
美事
(
みごと
)
な
造
(
おく
)
りはするとも
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……そなたの掛引きに乗って言うのではない、ひとえにそなたの真情に
報
(
むく
)
いるため。……わたしの恥、ひいてはお父上の恥辱。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だれも礼をいうことさえ忘れるほどそれに慣れきっていた。そして彼は贈物をするという楽しみで十分
報
(
むく
)
われてるらしかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は自分の罪が、ヒシ/\と胸に
徹
(
こた
)
えて来るのを感じた。自分の野卑な、
狡猾
(
こうかつ
)
な行為が、子の上に
覿面
(
てきめん
)
に
報
(
むく
)
いて来たことが、恐ろしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
……そんな紳士淑女連中からアラユル残酷な差別待遇を受けている、罪も
報
(
むく
)
いも無い精神病患者を弁護してみたくなるのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
晩のお
菜
(
かず
)
に、煮たわ、喰ったわ、その数三万三千三百さるほどに
爺
(
じい
)
の因果が孫に
報
(
むく
)
って、
渾名
(
あだな
)
を
小烏
(
こがらす
)
の三之助、数え年十三の大柄な
童
(
わっぱ
)
でござる。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そはこの物彼の手にありしとき、我をはげます生くる正義は、己が怒りに
報
(
むく
)
ゆるの
譽
(
ほまれ
)
をこれに與へたればなり 八八—九〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
この狭い
枠
(
わく
)
のなかから、一歩も出て行けない、不可能さを、富岡は、自分への
報
(
むく
)
いだと思つた。その不可能さは、一種のゲッセマネにまで到る。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
美貌に眼をつけた上級生が無気味な
媚
(
こび
)
で近寄ってくると、かえってその愛情に
報
(
むく
)
いる方法を知らぬ奇妙な
困惑
(
こんわく
)
に
陥
(
おちい
)
った。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
すなわちその
思想
(
しそう
)
は純然たる
古流
(
こりゅう
)
にして、
三河武士
(
みかわぶし
)
一片の
精神
(
せいしん
)
、ただ徳川
累世
(
るいせい
)
の
恩義
(
おんぎ
)
に
報
(
むく
)
ゆるの外
他志
(
たし
)
あることなし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
「ことが
諧
(
ととの
)
わなくて、再びあなたに
負
(
そむ
)
くようなことがあってはと思います。私は先ず魂を以て
報
(
むく
)
いたいと思います。」
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「
他人
(
あだしひと
)
のいうことをまことしくおぼして、
強
(
あながち
)
に遠ざけ給わんには、恨み
報
(
むく
)
いん、
紀路
(
きじ
)
の山々さばかり高くとも、君が血をもて峰より谷に
灌
(
そそ
)
ぎくださん」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
義雄は文學を以つて東都の文界に多少の名を知られてゐたものだが、その勞力に
報
(
むく
)
いることの少い原稿生活に飽きが來たのが原因で、こんな失敗をした。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
房州の百姓の娘、殿樣に近付いて怨が
報
(
むく
)
いたいばかりに、相澤樣に取入つて、心にもない機嫌
氣褄
(
きづま
)
を取りました。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃から
遽
(
には
)
かに異性といふものに目がさめはじめると同時に、同じやうな恋の対象がそれから
夫
(
それ
)
へと心に映じて来たが、だらしのない父の
放蕩
(
はうたう
)
の
報
(
むく
)
いで
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
よし
今日
(
こんにち
)
よりは以前に
勝
(
まさ
)
る愛心を以て世の憐むべきものを助けん、余の愛するものは肉身においても
失
(
しっ
)
せざりしなり、余はなお彼を看護し彼に
報
(
むく
)
得べきなり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
人間
(
にんげん
)
のいのちは一
代
(
だい
)
だけで
終
(
おわ
)
るものではない。
前
(
まえ
)
の
世
(
よ
)
とこの
世
(
よ
)
と
後
(
のち
)
の
世
(
よ
)
と、三
代
(
だい
)
もつづいている。だから
前
(
まえ
)
の
世
(
よ
)
で
悪
(
わる
)
いことをすれば、この
世
(
よ
)
でその
報
(
むく
)
いがくる。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
けれどわたしの
愛情
(
あいじょう
)
には
報
(
むく
)
いてくれなかった。かの女はただわたしにわからないことを二言三言いった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
此
夫婦
(
ふうふ
)
心
(
こゝろ
)
正直
(
しやうぢき
)
にして
親
(
おや
)
にも
孝心
(
かうしん
)
なる者ゆゑ、人これを
憐
(
あはれ
)
みまづしばらく
我
(
わ
)
が家に
居
(
を
)
るべしなど
奨
(
すゝむ
)
る
富農
(
ふのう
)
もありけるが、われ/\は
奴僕
(
ぬぼく
)
の
業
(
わざ
)
をなしても
恩
(
おん
)
に
報
(
むく
)
ゆべきが
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
黄白
(
こうはく
)
に至りては
精励
(
せいれい
)
克己
(
こっき
)
の
報
(
むく
)
いとして来たるものは決して少なくなかろう。
古人
(
こじん
)
の言にあるごとく
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私
共
(
ども
)
は天の
眷属
(
けんぞく
)
でございます。
罪
(
つみ
)
があってただいままで雁の形を
受
(
う
)
けておりました。
只今
(
ただいま
)
報
(
むく
)
いを
果
(
はた
)
しました。私共は天に帰ります。ただ私の一人の孫はまだ帰れません。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
妾はただ彼女の親切に感じ自分も出来得る限り彼に教えて彼の親切に
報
(
むく
)
いんことを
勉
(
つと
)
めけるに、ある日看守来りて、突然彼女に向かい所持品を持ち監外に
出
(
い
)
でよという。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「臆する者、信ぜざる者、等々は火と
硫黄
(
いわう
)
の燃ゆる池にてその
報
(
むく
)
ひを受くべし是第二の死なり。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
目をもって目に
報
(
むく
)
い、歯をもって歯に
報
(
むく
)
ゆる復讐主義は、甚だ野蛮の思想であるかの如く説く学者も多いが、元来絶対主義論者が信賞必罰は正義の要求であるとするのも
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
尋ね
恨
(
うらみ
)
を
報
(
むく
)
い申度とて三ヶ年の間
苦辛
(
くしん
)
を
厭
(
いと
)
はず
所々
(
しよ/\
)
尋ね
廻
(
めぐ
)
り候處漸々此程
隅田川
(
すみだがは
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
にて
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
散々
(
さんざん
)
苦労
(
くろう
)
ばかりかけて、
何
(
な
)
んの
報
(
むく
)
ゆるところもなく、
若
(
わか
)
い
身上
(
みそら
)
で、
先立
(
さきだ
)
ってこちらへ
引越
(
ひきこ
)
して
了
(
しま
)
った
親不孝
(
おやふこう
)
の
罪
(
つみ
)
、こればかりは
全
(
まった
)
く
身
(
み
)
を
切
(
き
)
られるような
思
(
おも
)
いがするのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
『
全體
(
ぜんたい
)
杉村君
(
すぎむらくん
)
、
君
(
きみ
)
も
掘
(
ほ
)
る
筈
(
はづ
)
ぢやアなかツたのか』と
水谷氏
(
みづたにし
)
は一
矢
(
し
)
報
(
むく
)
ゐると、
杉村氏
(
すぎむらし
)
は
楚人冠
(
そじんくわん
)
一
流
(
りう
)
の
警句
(
けいく
)
で
受
(
う
)
けて『
出
(
で
)
るなら
掘
(
ほ
)
るが、
出
(
で
)
ないのに
掘
(
ほ
)
つたつて
詰
(
つま
)
らないよ』と
來
(
く
)
る。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
小娘
(
こむすめ
)
は、
恐
(
おそ
)
らくはこれから
奉公先
(
ほうこうさき
)
へ
赴
(
おもむ
)
かうとしてゐる
小娘
(
こむすめ
)
は、その
懷
(
ふところ
)
に
藏
(
ざう
)
してゐた
幾顆
(
いくくわ
)
の
蜜柑
(
みかん
)
を
窓
(
まど
)
から
投
(
な
)
げて、わざわざ
踏切
(
ふみき
)
りまで
見送
(
みおく
)
りに
來
(
き
)
た
弟
(
をとうと
)
たちの
勞
(
らう
)
に
報
(
むく
)
いたのである。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なにもいまさらその
祟
(
たた
)
りが駒井能登守へ
報
(
むく
)
って来るという理由はないことなのであります。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「力さえあれば、早い話が、出羽守に
一矢
(
いっし
)
報
(
むく
)
いようと思えば、それもできるかもしれない。いや、これは、かりのはなしですが、世間は、力以外にはなにものもないと——。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それと
同時
(
どうじ
)
に
若者
(
わかもの
)
の
爲
(
ため
)
には
彼
(
かれ
)
は
蝮蛇
(
まむし
)
の
毒牙
(
どくが
)
の
如
(
ごと
)
きものでなければ
成
(
な
)
らぬ。
其
(
そ
)
れでありながら
些
(
さ
)
の
威嚴
(
ゐげん
)
も
勢力
(
せいりよく
)
もない
彼
(
かれ
)
は
凡
(
すべ
)
ての
若者
(
わかもの
)
から
彼
(
かれ
)
を
苛立
(
いらだ
)
たしめる
惡戯
(
いたづら
)
を
以
(
もつ
)
て
報
(
むく
)
いられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
他の二三の師範学校の附属へ願書を出して努力したが、どこも
拒否
(
きょひ
)
された。止むを得んとあきらめて、親の
因果
(
いんが
)
が子に
報
(
むく
)
うの結果になったことを心の中で
陳謝
(
ちんしゃ
)
するのみであった。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
遊「余り
酷
(
ひど
)
い目に遭せると、僕の方へ
報
(
むく
)
つて来るから、もう
舎
(
よ
)
してくれたまへな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
普段から
白眼
(
にら
)
んでいる市内外の
悪の巣窟
(
ロウクス・ネスト
)
へは
猶予
(
ゆうよ
)
なく警官隊が踏み込んだ。が、この、七月一日の夜中から翌二日、三日とかけて総動員で活躍したその筋の努力は、なんら
報
(
むく
)
いられなかった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
そうして、兄妹の怨恨がかならず自分の上に
報
(
むく
)
って来るというようなことを強く信じていたかも知れない。その結果、彼は赤座に導かれたような心持になって、ふらふらと僕をたずねて来た。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それはやがて後悔をもって
報
(
むく
)
いられねばならぬ態度だったのではないか。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
燻精は、彼の信頼に十分
報
(
むく
)
いることが出来ようと自信たっぷりだった。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
只、こんな孤独の奥で、一種の心の落ち著きに近いものは得ているものの、それとてこうして陰惨な冬の日々にも堪えていなければならない山の生活の
無聊
(
ぶりょう
)
に比べればどんなに
報
(
むく
)
いの少ないものか。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ああ、しかし、その熱情も
報
(
むく
)
われないのである。彼女が美しい魔鏡の世界からこの世に出てくる二つの道があるのであるが、彼はそれを知らないのであった。たちまちある悲しみが外から湧いてきた。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
唯応
三
爛酔報
二
厚意
一
唯
(
た
)
だ
応
(
まさ
)
に
爛酔
(
らんすい
)
して
厚意
(
こうい
)
に
報
(
むく
)
ゆべく
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「道楽の
報
(
むく
)
いさ。」種田君は笑ひ乍ら云つた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
親の
因果
(
いんが
)
が子に
報
(
むく
)
い、というやつだ。
罰
(
ばち
)
だ。
薄明
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今や私は、私の恋人のうらみを
報
(
むく
)
いると共に、私の友人であり、先輩であった深山木の
敵
(
かたき
)
をも討たねばならぬ立場に置かれた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
報
常用漢字
小5
部首:⼟
12画
“報”を含む語句
返報
報知
報告
報酬
果報
万朝報
諜報
報恩
業報
報償
恩報
電報
報復
報道
報道価値
時報
毎日電報
吉報
凶報
因果応報
...