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向
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むき
ふりがな文庫
“
向
(
むき
)” の例文
夫だけでは
確
(
しか
)
と分らぬ何か是と云う格別な所が有そうな者だ女「有ますとも老人の室の掃除
向
(
むき
)
と給仕とは
私
(
わたく
)
しが引受けて居ましたもの、 ...
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
五十人
(
ごじふにん
)
、
八十人
(
はちじふにん
)
、
百何人
(
ひやくなんにん
)
、ひとかたまりの
若
(
わか
)
い
衆
(
しゆ
)
の
顏
(
かほ
)
は、
目
(
め
)
が
据
(
すわ
)
り、
色
(
いろ
)
は
血走
(
ちばし
)
り、
脣
(
くちびる
)
は
青
(
あを
)
く
成
(
な
)
つて、
前向
(
まへむ
)
き、
横向
(
よこむ
)
き、うしろ
向
(
むき
)
。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
むかし
王献之
(
わうけんし
)
の書が世間に評判が出るに連れて、何とかして
無償
(
たゞ
)
でそれを手に入れようといふ、虫の
善
(
い
)
い事を考へる
向
(
むき
)
が多く出来て来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
魚雷は発射されてから、命中するまで、やゝ長い時間がかゝるので、その間に敵が気づいて、
艦
(
ふね
)
の
向
(
むき
)
を変へたら、
或
(
あるひ
)
は
外
(
そ
)
れるかも知れない。
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
むか/\と其声
聞度
(
ききたく
)
て
身体
(
からだ
)
の
向
(
むき
)
を思わずくるりと
易
(
かゆ
)
る途端
道傍
(
みちばた
)
の石地蔵を見て奈良よ/\誤ったりと一町たらずあるく
向
(
むこう
)
より来る夫婦
連
(
づれ
)
の
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
と云いながらちょっと顔の
向
(
むき
)
を換えると、
櫛
(
くし
)
を入れたての
濡
(
ぬ
)
れた頭が、空気の弾力で、脱ぎ棄てた
靴足袋
(
くつたび
)
といっしょになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これまでに鶴さんが手をやいた
質
(
たち
)
の悪い
向
(
むき
)
も二三軒あったが、中にはまたお島が古くから知っている堅い屋敷などもあった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
専門学校でさえもう低級だと論ずる
向
(
むき
)
もあるくらいであるが、当時は内務省で医術開業試験を行ってそれに及第すれば医者になれたものである。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
獨樂
(
こま
)
の
自分
(
じぶん
)
に
一度
(
いちど
)
廻
(
まは
)
るは
即
(
すなは
)
ち
地球
(
ちきう
)
の
自轉
(
じてん
)
といふものにて、
行燈
(
あんどう
)
の
方
(
かた
)
に
向
(
むき
)
たる
半面
(
はんめん
)
は
晝
(
ひる
)
となり、
裏
(
うら
)
の
半面
(
はんめん
)
は
夜
(
よ
)
となり、この
一轉
(
ひとまはり
)
を
一晝夜
(
いつちうや
)
とするなり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
の男子も
亦
(
また
)
女子を家庭に
閉
(
とぢ
)
込め、日常の雑用と台所
向
(
むき
)
の仕事とのみに犠牲たらしめようとするのでは無からうか。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
自畫自讚に而人には不
レ
申候得共、東湖も心に被
レ
惡
(
にくま
)
候
向
(
むき
)
に而は無
二
御座
一
、
毎
(
いつ
)
も丈夫と呼ばれ、過分の至に御座候。
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
さし
向
(
むき
)
或西洋人のところに子供のお守に這入つて、そこに七八箇月ゐた後に、青山にゐる養母のつてで、この間まで四年足らずの間、山の手の、或
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
その時、まったく不意に——と見ている方の連中には思えたのだ——少年は頭を上げると、くるりと
向
(
むき
)
を変えて、ぶらぶらと監督のいる方へ帰って来た。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
眼を
半眼
(
はんがん
)
に閉じて死んだようになっておった。風は始終
向
(
むき
)
が変って、或は清新な空気を吹付けることもあれば、又或は例の臭気に
嗔咽
(
むせ
)
させることもある。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
昨年御手紙にて当地高等学校仏蘭西語学教師の件御話これあり候が早速その
向
(
むき
)
を探り申候処今年九月よりの事なれば何分まだ人選
等
(
とう
)
の事は校長にも深く考へを
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「そうか。よかろう。その心がけがあれば、わしが
亡
(
な
)
い後も、御奉公
向
(
むき
)
に心配はない。よく売り払った」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こっちの山麓から、向側まで二十間とない峡間、殊に樹木は、よく繁っているので、強風は当らぬ。槍・常念・大天井に登臨する
向
(
むき
)
のためには、至極便利の休泊処。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
と、『つれづれ草』の中にある
詞
(
ことば
)
を思出しながら、四十ばかりの音声の静かにひくい小男に
向
(
むき
)
合った。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
受取
屏風圍
(
びやうぶかこ
)
ひの内へ
控
(
ひか
)
へさせ
置
(
おき
)
平民の分は
白洲
(
しらす
)
の
溜
(
たま
)
りへ控へたり時に案内に隨ひ
各自
(
おの/\
)
吟味の席に
罷
(
まか
)
り出れば白洲には雨
障子
(
しやうじ
)
を高く
掛渡
(
かけわた
)
し御座敷
向
(
むき
)
的歴
(
きらびやか
)
なる事
誠
(
まこと
)
に目を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すこぶる才走った女で、政治
向
(
むき
)
の事にまで
容喙
(
ようかい
)
するが、霊公はこの夫人の言葉なら
頷
(
うなず
)
かぬことはない。霊公に
聴
(
き
)
かれようとする者はまず南子に取入るのが例であった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
同じ蕪村の句で「鶯の鳴くやあち
向
(
むき
)
こちら向」という句も、同様に言葉の音象で動作を描いてる。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
幾多
(
いくら
)
さう云ふ権利を有ちたくても、有つ事が出来ずにゐるので御座います。それに、何も私の前を
憚
(
はばか
)
つて、さう
向
(
むき
)
に成つてお隠し遊ばすには当らんでは御座いませんか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
外の役人の暮し
向
(
むき
)
は、二月三月の探索で、手に取るように判って
了
(
しま
)
ったが、
肝甚
(
かんじん
)
の本尊、後藤三右衛門の暮し向ばかりは、
何
(
ど
)
うしても判らねえ、吹屋町の奥蔵三戸前には
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
是まで勤め
向
(
むき
)
も堅く、ほんの
若気
(
わかげ
)
の至りで、女を連れて逐電いたしたのじゃが、
未
(
いま
)
だお暇の出たわけではなし、只家出をした
廉
(
かど
)
だから、お詫をして帰参の
叶
(
かな
)
う時節もあろう
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おもて
向
(
むき
)
は極めて静かな生活をしていたけれど、警察はかねてから彼女に目をつけていた。
恐ろしき贈物
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
さあ、司令車がやられたので、さすがのライオン戦車隊も、おどろいて、あわてて突撃をやめるものもあるし、後ずさりしたり、
向
(
むき
)
をかえたり、にわかに足なみが乱れはじめた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
『怨霊なんて有るもんじゃアないわ。』と一言で打消そうとすると、母は
向
(
むき
)
になって
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そうして北側の窓の処で今度は直角に
向
(
むき
)
を換えて、窓側とスレスレに往復し初めたのであったが、その心持ちうつむいた姿は、眩しい窓の前を通り過ぎる度
毎
(
ごと
)
に、チラリチラリとした投影を
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
思いきや自分と同じ
服装
(
つくり
)
の白の弥四郎頭巾が、ぬっくとそこに立ちはだかっているので、大刀を膝に引き寄せるが早いか、じりっと膝の
向
(
むき
)
を大次郎の方へ寄せて、声は、冷たい笑いを含んでいた。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「小父さん。今しがたこの飛行艇は左の方へ
向
(
むき
)
をかえたよ」
太平洋魔城
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
足取
(
あしどり
)
でおいでになる。お后様。あちらへお
向
(
むき
)
遊ばせ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
パーウェルの母とは逆に「
向
(
むき
)
になっている息子を ...
山本有三氏の境地
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
出せかしと勸告せらるゝ
向
(
むき
)
もあれどイヤ其の仰せは
僻事
(
ひがごと
)
なり
抑
(
そ
)
もと堅く出て左樣な
否
(
いや
)
らしき儀
一切
(
いつせつ
)
謝絶諸事頼朝流の事と取極め政子崇拜主義となりぬ
皆樣
(
みなさん
)
も是非
饗庭黨
(
あへばたう
)
となり玉へ世の中まことに穩かにて至極
野氣
(
のんき
)
で第一は壽命の藥女は命を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
と
向
(
むき
)
を
替
(
か
)
へて、
團扇
(
うちは
)
を
提
(
さ
)
げて、すらりと
立
(
た
)
つた。
美人
(
びじん
)
は
庭
(
には
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
く……
横顏
(
よこがほ
)
は
尚
(
な
)
ほ、くつきりと、
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
は
艷増
(
つやま
)
したが、
生憎
(
あいにく
)
草
(
くさ
)
は
暗
(
くら
)
かつた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭の
向
(
むき
)
が違つてる違つてるといふので、母は人夫を雇つて掘返してみると、かんと音のした頭は果して南向に葬られてゐた。
酒
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
不審よりも不平な顔をした彼が、
向
(
むき
)
を変えて寝返りを打った時に、堅固にできていない二階の
床
(
ゆか
)
が、彼の意を迎えるように、ずしんと鳴った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
是は
最
(
も
)
う死骸の握って居る所を其儘取ッて堅く手帳の間へ挿み大事にして帰ッたのだから途中で
向
(
むき
)
の違う事は有ません此三筋を斯う握って居たのです
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
門飾の
笹竹
(
ささだけ
)
が、がさがさと
憊
(
くたび
)
れた神経に刺さるような音を立て、風の
向
(
むき
)
で時々耳に立つ遠くの町の群衆の
跫音
(
あしおと
)
が、
潮
(
うしお
)
でも寄せて来るように思い
做
(
な
)
された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
秋のサロンで
先
(
ま
)
づ僕の注意を惹くのは、展覧会
向
(
むき
)
の大きな絵よりも建築と室内装飾との見本の幾つかである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
下々の手前たちがとやかくと御政事
向
(
むき
)
の事を
取沙汰
(
とりざた
)
致すわけでは御座いませんが、先生、昔から
唐土
(
もろこし
)
の世には天下太平の
兆
(
しるし
)
には
綺麗
(
きれい
)
な
鳳凰
(
ほうおう
)
とかいう鳥が
舞下
(
まいさが
)
ると申します。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
送
(
おく
)
り
商
(
あきな
)
ひ
向
(
むき
)
も追々都合よき
旨
(
むね
)
便
(
たよ
)
り有に付
頓
(
やが
)
て金銀を
貯
(
たくは
)
へ歸り來らんと
樂
(
たのし
)
み待居たる
折柄
(
をりから
)
店請
(
たなうけ
)
の方より今度彦兵衞の一件を
委細
(
くはしく
)
知
(
し
)
らせ來りしかば妻子は大いに
歎
(
なげ
)
き
哀
(
かなし
)
みしが如何にも其知らせを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見ている人たちは今度はぐっと息をつめた。一男は
真直
(
まっすぐ
)
にたってからゆっくり
向
(
むき
)
をかえた。静かに静かに、梁のゆるぎを殺しながら、もと来た方へ引きかえす。進む時よりも気を配っている様子だ。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
頭の
向
(
むき
)
が違つてる違つてるといふので、母は人夫を雇つて掘返してみると、かんと音のした頭は果して南向に葬られてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
歩行
(
ある
)
き出して、
向
(
むき
)
を代えて、もう構わず、
落水
(
おちみず
)
の口を二三ヶ所、ざぶざぶ渡って、一段踏んで
上
(
あが
)
ると、片側が蘆の茂りで。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手摺
(
てすり
)
の前はすぐ大きな川で、座敷から
眺
(
なが
)
めていると、大変
涼
(
すず
)
しそうに水は流れるが、
向
(
むき
)
のせいか風は少しも入らなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
内地に
於
(
おい
)
て売れ口の無い女をどしどし輸出
向
(
むき
)
として海外に
出
(
い
)
だす事の国益である事を主張するであらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
我らがこの
度
(
たび
)
の事目出度しとて物祝ひ賜はる
向
(
むき
)
も
尠
(
すくな
)
からざりしかば、八重は口やかましき我が身が世話の手すきを
見計
(
みはか
)
らひて諸処方々返礼に出歩きけり。秋も
忽
(
たちまち
)
過ぎ去りぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見慣
(
みなら
)
ひて
平生
(
へいぜい
)
はすはに
育
(
そだち
)
しは其の父母の
教訓
(
をしへ
)
の
至
(
いた
)
らざる所なり
取譯
(
とりわけ
)
母
(
はゝ
)
は
心
(
こゝろ
)
邪
(
よこし
)
まにて
欲深
(
よくふか
)
く亭主庄三郎は
商賣
(
しやうばい
)
の道は知りても
世事
(
せじ
)
に
疎
(
うと
)
く
世帶
(
せたい
)
は妻に
任
(
まか
)
せ
置
(
おく
)
ゆゑ妻は
好事
(
よきこと
)
にして
夫
(
をつと
)
を
尻
(
しり
)
に
敷
(
し
)
き身上
向
(
むき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
柄杓とともに、助手を投出すと
斉
(
ひと
)
しく、俊明先生の
兀頭
(
はげあたま
)
は皿のまわるがごとく
向
(
むき
)
かわって、
漂泊
(
さすらい
)
の男女の上に
押被
(
おっかぶ
)
さった。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だから君のような度胸のない男は、少し真似をするがいい」と主人が
後
(
うし
)
ろ
向
(
むき
)
のままで答えるやいなや、迷亭君は大きな赤い舌をぺろりと出した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“向”の解説
向(しょう、こう)は、漢姓のひとつ。
同じ漢字を使う日本の姓向(むかい、むかえ、むこう)についてもこの記事で述べる。
琉球王国の向氏については、第二尚氏を参照。
(出典:Wikipedia)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“向”を含む語句
仰向
真向
斜向
上向
一向
手向
日向
俯向
眞向
向合
向側
差向
向山
向後
方向
背向
趣向
筋向
対向
川向
...