彼地あつち)” の例文
と、留学中の総決算をする積りで、腹のうち彼地あつちであつた色々の事を想ひ出してみた。そして鳥のやうにひとりでにや/\笑つてゐた。
唯今ただいま絆創膏ばんそうこうを差上げます。何しろ皆書生でございますから随分乱暴でございませう。故々わざわざ御招おまねき申しましてはなはだ恐入りました。もう彼地あつちへは御出陣にならんがよろしうございます。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自分の子も戦争中兵隊にとられて、とう/\彼地あつちで死んで仕舞つた。一体戦争は何の為にするものだかわからない。あとで景気でもくなればだが、大事な子は殺される、物価しよしきは高くなる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すべ近頃ちかごろ彼地あつちからかへつたといふおとうといたまゝ宗助そうすけはなした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)