“あすこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼処55.3%
彼家13.0%
彼所10.6%
彼處10.1%
那処1.9%
彼店1.4%
彼地1.0%
那處1.0%
那裏0.5%
堂島0.5%
大阪0.5%
彼地処0.5%
彼方0.5%
彼楼0.5%
彼点0.5%
彼等0.5%
彼駅0.5%
那国0.5%
那地0.5%
那辺0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さ「はい、業平橋と云う所は妙見様みょうけんさまく時通りましたが、あゝ云う処へお住いなすっては長生ながいきをいたしますよ、彼処あすこがお下屋敷しもやしきで」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
布「いえ、お祖父さん何卒どうぞお暇を戴いて下さい、私は最う一日もられません、しお祖父さんが私を置いてけば、明日あしたにも彼家あすこを駈出します」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さア、チヨンよ、彼所あすこにお前のお父さんが居る! お前は——もう、お父さんの所へおで! さア早くあつちへお出で!」
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
彼處あすこ通拔とほりぬけねばならないとおもふと、今度こんど寒氣さむけがした。われながら、自分じぶんあやしむほどであるから、おそろしくいぬはゞかつたものである。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「可けない! 那処あすこに居て下さらなければ可けませんな。何、御免をかうむる? ——可けない! お手間は取せませんから、どうぞ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「主婦さあ、『日本橋の松屋においで、松屋が安くって好いから』と、いっていたわ。うちの主婦さあも彼店あすこで買うの」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
伊予の松山は日露戦争以来このかた俘虜の収容地になつてゐるので、そんな事から彼地あすこの実業家井上かなめ氏は色々いろんな方面の報道を集めて俘虜研究をつてゐる。
「可かんな。那處あすこから此の室を見下されちや、恰で高土間たかどま芝居見物しばゐけんぶつといふ格だ。」と嫌な顏をする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それは如何いかなる事情が有つてかう成つたにも為よ、那裏あすこはなければ、何処どこの誰だかお互に分らずに了つた者が、急に一処に成つて、貴方がどうだとか、わたくしがかうだとか、……や
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「さあ、那裏あすこへ行つて飲まう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
堂島だうじまの仲買人曾我某氏がいつぞや帝国飛行協会に一万円を寄附した事があつた。その縁故で、ある時飛行熱心の長岡中将が堂島あすこの仲買業者を集めて、一寸した話をした事があつた。
「あれで大阪は案外いゝところだね。大阪あすこの作家があれを取扱はないなんて、嘘ですよ。」
十年前に国元ア夜逃げする様にして逃げて来たゞが、今ぢやえら身代しんだいのうこしらへて、彼地処あすこでア、まア好い方だつて言ふたが、人の運て言ふものは解らねえものだす
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
それでも母様かあさま私は何処へか行くので御座りませう、あれ彼方あすこに迎ひの車が来てゐまする、とて指さすを見れば軒端のきばのもちの木に大いなるくもの巣のかかりて
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
めえさんなんぞはそんな事はえがね、中には道楽な坊主があるねえ、此間こねえだも亀屋へ往って浮かれていると、彼楼あすこのおすみという二十四五の、一寸ちょっと小意気な女があるが、大層粋な声がするから
彼点あすこを立てれば此点こゝに無理があると、まあ我の智慧分別ありたけ尽して我の為ばかりはかるでは無く云ふたことを、無下むげに云ひ消されたが忌〻しくて忌〻しくて随分堪忍がまんも仕かねたが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
はいもと彼等あすこで六だうせんを取つて、どうやらうやらくらしてりましたが、今度こんど此処こゝ停車場ステンシヨン出来できるについて、茶屋ちやゝを出したらからうといふ人のすゝめにまかせて、茶屋ちやゝを始めましたが
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「この季節は夜明けが遅いもんだから、ヴァロルブへ着いてもまだ暗いのに、彼駅あすこでは税関の手続きがあるので、三十分間の停車です。貴方がたは多分伊太利イタリーへいらっしゃるんでしょう」
那国あすこの大統領は、定めし素晴しい俸給を取る事だらうと、大抵の人は思つてるらしいが、打明けていふと年俸七五・〇〇〇ドルと、出張旅行費年額二五・〇〇〇弗を受取るに過ぎない。
那地あすこは唯想像でだけ楽しむでゐればいゝ国だとひどくこきおろしてゐる。
那辺あすこには頭に鬼の入るだけの空地あきちつた学者がちよつと居る筈だから。