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失
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うしな
ふりがな文庫
“
失
(
うしな
)” の例文
けれど
斯
(
か
)
ふ言ふのが
温泉場
(
をんせんば
)
へ
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
、
海水浴場
(
かいすゐよくぢやう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
乃至
(
ないし
)
名所見物
(
めいしよけんぶつ
)
にでも
出掛
(
でかけ
)
る
人
(
ひと
)
の
洒落
(
しやれ
)
た
口調
(
くてう
)
であるキザな
言葉
(
ことば
)
たるを
失
(
うしな
)
はない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
好敵手
(
こうてきしゅ
)
と思う者が
首
(
しゅ
)
として
自
(
みず
)
から門閥の
陋習
(
ろうしゅう
)
を脱したるが故に、下士は
恰
(
あたか
)
も戦わんと欲して
忽
(
たちま
)
ち敵の所在を
失
(
うしな
)
うたる者のごとし。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
くろい
大鷲
(
おおわし
)
は、伊那丸の頭上をはなれず廻っている。
砂礫
(
されき
)
をとばされ、その翼にあたって、のこる四人も
散々
(
さんざん
)
になって、気を
失
(
うしな
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆手
(
さかて
)
に
持
(
もち
)
し
儘
(
まゝ
)
氣
(
き
)
を
失
(
うしな
)
ひて
倒
(
たふ
)
れ
居
(
ゐ
)
たりしかば是は
何事
(
なにごと
)
ならんと
氣付
(
きつけ
)
を
與
(
あた
)
へて
樣子
(
やうす
)
を
聞
(
きく
)
に
敵討
(
かたきうち
)
なりと申
故
(
ゆゑ
)
半左衞門
(
はんざゑもん
)
大
(
おほ
)
いに驚き
早々
(
さう/\
)
町役人
(
ちやうやくにん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もし
町
(
まち
)
の
方
(
ほう
)
へ
飛
(
と
)
んでいって、そこでいろいろなものを
見
(
み
)
ると、おまえの
目
(
め
)
はそのときからにごってしまう。また
光
(
ひかり
)
を
失
(
うしな
)
ってしまう。
ふるさとの林の歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
從
(
したが
)
つて
私
(
わたし
)
は、
其
(
そ
)
の
以前
(
いぜん
)
に
同郷的愛着
(
どうきやうてきあいちやく
)
、
同藩的偏見
(
どうはんてきへんけん
)
を
失
(
うしな
)
つたと
同
(
おな
)
じやうに、
今
(
いま
)
は
次第
(
しだい
)
に
國民的愛着
(
こくみんてきあいちやく
)
、
國家的偏見
(
こくかてきへんけん
)
を
失
(
うしな
)
つたのであつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
浮浪者
(
ふろうしゃ
)
のトーマスは、いまにも
泣
(
な
)
きだしそうだった。目にみえて元気を
失
(
うしな
)
い、あきらめきったようすで、とぼとぼと歩きつづけた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
しかるに、身を売る時の動機はいかに正しくとも、
一度
(
ひとたび
)
身の独立と自由とを
失
(
うしな
)
った以上は、心もまた
堕落
(
だらく
)
することが多数の事実である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
手拭
(
てぬぐひ
)
を
浸
(
ひた
)
す
度
(
たび
)
に
小
(
ちひ
)
さな
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
水
(
みづ
)
に
月
(
つき
)
が
全
(
まつた
)
く
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
を
失
(
うしな
)
つて
暫
(
しばら
)
くすると
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
周圍
(
しうゐ
)
から
聚
(
あつま
)
る
樣
(
やう
)
に
段々
(
だん/\
)
と
月
(
つき
)
の
形
(
かたち
)
が
纏
(
まと
)
まつて
見
(
み
)
えて
來
(
く
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そうすると、火に
追
(
お
)
われて
逃
(
に
)
げてくるものは
矢
(
や
)
で
射
(
い
)
とります。
矢
(
や
)
をおそれて
逃
(
に
)
げて
行
(
い
)
くものは火に
焼
(
や
)
き
立
(
た
)
てられて
命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
います。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
いつものように
学校
(
がっこう
)
へ
行
(
い
)
ってみると、
袖子
(
そでこ
)
はもう
以前
(
いぜん
)
の
自分
(
じぶん
)
ではなかった。ことごとに
自由
(
じゆう
)
を
失
(
うしな
)
ったようで、あたりが
狭
(
せま
)
かった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし
妻
(
つま
)
は
夢
(
ゆめ
)
のやうに、
盜人
(
ぬすびと
)
に
手
(
て
)
をとられながら、
藪
(
やぶ
)
の
外
(
そと
)
へ
行
(
ゆ
)
かうとすると、
忽
(
たちま
)
ち
顏色
(
がんしよく
)
を
失
(
うしな
)
つたなり、
杉
(
すぎ
)
の
根
(
ね
)
のおれを
指
(
ゆび
)
さした。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
船長
(
せんちやう
)
も
一等運轉手
(
チーフメート
)
も
度
(
ど
)
を
失
(
うしな
)
つて、
船橋
(
せんけう
)
を
驅
(
か
)
け
上
(
あが
)
り、
驅
(
か
)
け
降
(
くだ
)
り、
後甲板
(
こうかんぱん
)
に
馳
(
は
)
せ、
前甲板
(
ぜんかんぱん
)
に
跳
(
おど
)
り
狂
(
くる
)
ふて、
聲
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
絶叫
(
ぜつけう
)
した。
水夫
(
すゐふ
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
(2)
此
(
こ
)
ノ
勅令
(
ちょくれい
)
ハ
次
(
つぎ
)
ノ会期ニ
於
(
おい
)
テ帝国議会ニ提出スヘシ
若
(
もし
)
議会ニ
於
(
おい
)
テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ
向
(
むかっ
)
テ
其
(
そ
)
ノ効力ヲ
失
(
うしな
)
フコトヲ公布スヘシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
ぐるツと
取卷
(
とりま
)
かれて
恥
(
はづか
)
しいので、アタフタし、
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
したい
位
(
くらゐ
)
急足
(
いそぎあし
)
で
踏出
(
ふみだ
)
すと、おもいもの
抱
(
だ
)
いた
上
(
うへ
)
に、
落着
(
おちつ
)
かないからなりふりを
失
(
うしな
)
つた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
個人消防上
(
こじんしようぼうじよう
)
の
最大要件
(
さいだいようけん
)
は
時機
(
じき
)
を
失
(
うしな
)
ふことなく、
最
(
もつと
)
も
敏速
(
びんそく
)
に
處置
(
しよち
)
することにある。これは
火
(
ひ
)
は
小
(
ちひ
)
さい
程
(
ほど
)
、
消
(
け
)
し
易
(
やす
)
いといふ
原則
(
げんそく
)
に
基
(
もと
)
づいてゐる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
代助の
巻烟草
(
まきたばこ
)
を
持
(
も
)
つた手が
少
(
すこ
)
し
顫
(
ふる
)
へた。梅子は寧ろ表情を
失
(
うしな
)
つた
顔付
(
かほつき
)
をして、謝絶の言葉を聞いた。代助は相手の様子に頓着なく進行した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「けれども、」と私は
口
(
くち
)
を
挿
(
はさ
)
んで、「けれども其の一種の性格が僕等の
特長
(
とくてう
)
なんぢやないか。此の性格が
失
(
うしな
)
われた時は、
即
(
すなわ
)
ち僕は
亡
(
ほろ
)
びたのだ。 ...
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その上死骸をひきずつて秋山家の門前まで持つて行つて捨ててゐる——お百合殿を
失
(
うしな
)
つた春日邦之助に取つては、可愛さ餘つて憎さが百倍だ。
銭形平次捕物控:193 色若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ雨の夜道を遠く帰らねばならない使いの人らに、気を
配
(
くば
)
るはりあいで、お政はわずかに自分を
失
(
うしな
)
わずにいるのである。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
日蓮上人、
為兼卿
(
ためかねきやう
)
、遊女
初君
(
はつきみ
)
等
(
とう
)
の
古跡
(
こせき
)
もたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち
気運
(
きうん
)
順
(
じゆん
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
年
(
とし
)
稍
(
やゝ
)
倹
(
けん
)
して
穀
(
こく
)
の
価
(
ねだん
)
日々に
躍
(
あがり
)
、
人気
(
じんき
)
穏
(
おだやか
)
ならず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
體
(
からだ
)
はエレベーターのやうに、
地下
(
ちか
)
へ
地下
(
ちか
)
へと
降下
(
かうか
)
してゆくやうな
氣持
(
きもち
)
だつた。そして
遂
(
つひ
)
に
彼女
(
かのぢよ
)
は
意識
(
いしき
)
を
失
(
うしな
)
つて
了
(
しま
)
つた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
わたしたちの
水先案内
(
みずさきあんない
)
が海に落ちたので、あとの子どもたちはかじを
失
(
うしな
)
って、波のまにまにただようほかはなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
勿論(前にセント・ジョンも云つたことだが)私は前に
失
(
うしな
)
つたものに代るべき興味を、人生に求めなくてはならない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
然
(
しかれ
)
ども
余
(
よ
)
が
机上
(
きしやう
)
它
(
た
)
の
編筆
(
へんひつ
)
に
忙
(
せはし
)
く
屡
(
しば/\
)
稿
(
かう
)
を
脱
(
だつす
)
るの
期約
(
きやく
)
を
失
(
うしな
)
ひしゆゑ、
近日
(
このごろ
)
務
(
つとめ
)
て老人が
稿本
(
かうほん
)
の
残冊
(
ざんさつ
)
を
訂
(
てい
)
し、
以
(
もつて
)
其乞
(
そのこひ
)
に
授
(
さづ
)
く。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
彼
(
かれ
)
はじつとしてゐられなかつた。
失
(
うしな
)
はれようとする
人気
(
にんき
)
を
取返
(
とりか
)
へさうとして、
彼
(
かれ
)
は
更
(
さ
)
らに
世界的
(
せかいてき
)
に
自己
(
じこ
)
を
宣伝
(
せんでん
)
して、
圧倒的
(
あつたうてき
)
に
名声
(
めいせい
)
を
盛返
(
もりか
)
へさうと
考
(
かんが
)
へた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
平生
(
へいぜい
)
からお
人好
(
ひとよ
)
しで、
愚圖
(
ぐづ
)
で、
低能
(
ていのう
)
な
彼
(
かれ
)
は、もともとだらしのない
男
(
をとこ
)
だつたが、
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
正體
(
しやうたい
)
を
失
(
うしな
)
つてゐた。
彼
(
かれ
)
は
何度
(
なんど
)
私
(
わたし
)
の
肩
(
かた
)
に
倒
(
たふ
)
れかゝつたか
知
(
し
)
れなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
この
権衡
(
つりあひ
)
の
失
(
うしな
)
はれたる時に
於
(
おい
)
て
胸
(
むな
)
づくしを取るも
遅
(
おそ
)
からずとは、これも
当世
(
たうせう
)
の
奥様気質也
(
おくさまかたぎなり
)
、
虎
(
とら
)
の
巻
(
まき
)
の一
節也
(
せつなり
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
或
(
あるひ
)
は
又
(
また
)
苦痛
(
くつう
)
を
以
(
もつ
)
て
自分
(
じぶん
)
を
鍛練
(
たんれん
)
して、
其
(
そ
)
れに
對
(
たい
)
しての
感覺
(
かんかく
)
を
恰
(
まる
)
で
失
(
うしな
)
つて
了
(
しま
)
ふ、
言
(
ことば
)
を
換
(
か
)
へて
言
(
い
)
へば、
生活
(
せいくわつ
)
を
止
(
や
)
めて
了
(
しま
)
ふやうなことに
至
(
いた
)
らしめなければならぬのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
予
(
われ
)
將
(
は
)
た
汝等
(
おぬしら
)
の
確執
(
なかたがひ
)
を
等閑
(
なほざり
)
に
視過
(
みすご
)
したる
罪
(
つみ
)
によって、
近親
(
うから
)
を
二人
(
ふたり
)
までも
失
(
うしな
)
うた。
御罰
(
ごばつ
)
に
漏
(
も
)
れたる
者
(
もの
)
はない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
そして、一ぽうの
壁
(
かべ
)
にたたきつけられたかと思うと、こんどはもう一ぽうの壁にぶっつかり、しまいには
床
(
ゆか
)
の上にぶったおれて、そのまま気を
失
(
うしな
)
ってしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
力が
非常
(
ひじょう
)
に強く、かたちも
大層
(
たいそう
)
恐
(
おそ
)
ろしく、それにはげしい
毒
(
どく
)
をもっていましたので、あらゆるいきものがこの竜に
遭
(
あ
)
えば、弱いものは目に見ただけで気を
失
(
うしな
)
って
倒
(
たお
)
れ
手紙 一
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それは
亡
(
な
)
き兄の物なりしを
身
(
み
)
に
伝
(
つた
)
へていと大事と思ひたりしに
果敢
(
はか
)
なき事にて
失
(
うしな
)
ひつる
罪
(
つみ
)
得
(
え
)
がましき事とおもふ、
此池
(
このいけ
)
かへさせてなど言へども
未
(
ま
)
ださながらにてなん
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三十七
年
(
ねん
)
一
月
(
げつ
)
大雪
(
おほゆき
)
の
害
(
がい
)
と、
其
(
その
)
七月
(
しちぐわつ
)
疫疾
(
えきしつ
)
の
爲
(
ため
)
に、
牛馬
(
ぎうば
)
其
(
その
)
半
(
なかば
)
を
失
(
うしな
)
ひたるの
災厄
(
さいやく
)
あり。
其他
(
そのた
)
天災
(
てんさい
)
人害
(
じんがい
)
蝟集
(
ゐしふ
)
し
來
(
きた
)
り、
損害
(
そんがい
)
を
蒙
(
かうむ
)
る
事
(
こと
)
夥
(
おびたゞ
)
しく、
余
(
よ
)
が
心
(
こゝろ
)
を
惱
(
なやま
)
したる
事
(
こと
)
實
(
じつ
)
に
尠
(
すくな
)
からざるなり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
かういふ
味
(
あぢは
)
ひは、
祖先
(
そせん
)
以來
(
いらい
)
與
(
あた
)
へられてゐる
大事
(
だいじ
)
なものだから、それを
失
(
うしな
)
はないようにするのが、われ/\の
務
(
つと
)
めといふよりも、われ/\の
喜
(
よろこ
)
びと
感
(
かん
)
じなくてはなりません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
失
(
うしな
)
はれゆく
感覚
(
かんかく
)
と
懸命
(
けんめい
)
に
闘
(
たゝか
)
ひながら、
死
(
し
)
に
至
(
いた
)
るまで、
守
(
まも
)
り
通
(
とほ
)
した
党
(
たう
)
の
名
(
な
)
をとぎれ/\に
呼
(
よ
)
んだ
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
アッと
叫
(
さけ
)
ぶ
間
(
ま
)
もなく、
気
(
き
)
を
失
(
うしな
)
つたラランは、
恐
(
おそ
)
ろしい
速
(
はや
)
さでグングンと
下界
(
した
)
に
墜
(
を
)
ちていつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
クリストフは
面目
(
めんぼく
)
を
失
(
うしな
)
って、答える
言葉
(
ことば
)
もなかった。ゴットフリートは
憐
(
あわ
)
れむようにいった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それからの
私
(
わたくし
)
はただ一
個
(
こ
)
の
魂
(
たましい
)
の
脱
(
ぬ
)
けた
生
(
い
)
きた
骸
(
むくろ
)
……
丁度
(
ちょうど
)
蝕
(
むしば
)
まれた
花
(
はな
)
の
蕾
(
つぼみ
)
のしぼむように、
次第
(
しだい
)
に
元気
(
げんき
)
を
失
(
うしな
)
って、二十五の
春
(
はる
)
に、さびしくポタリと
地面
(
じべた
)
に
落
(
お
)
ちて
了
(
しま
)
ったのです。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
七
年目
(
ねんめ
)
で
会
(
あ
)
った、たった
二人
(
ふたり
)
の
世界
(
せかい
)
。
殆
(
ほと
)
んど一
夜
(
や
)
のうちに
生気
(
せいき
)
を
失
(
うしな
)
ってしまった
菊之丞
(
きくのじょう
)
の、なかば
開
(
ひら
)
かれた
眼
(
め
)
からは、
糸
(
いと
)
のような
涙
(
なみだ
)
が一
筋
(
すじ
)
頬
(
ほほ
)
を
伝
(
つた
)
わって、
枕
(
まくら
)
を
濡
(
ぬ
)
らしていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「ああ穿物は持って上っておくれ。そこへ脱いどいて、
失
(
うしな
)
えても
家
(
うち
)
じゃ知らんからね。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
又
(
また
)
一
方
(
ぱう
)
に
我國
(
わがくに
)
の
經濟
(
けいざい
)
は
立直
(
たてなほ
)
しが
出來
(
でき
)
て
堅實
(
けんじつ
)
なる
基礎
(
きそ
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つのであるからこれより
來
(
きた
)
る
生産費
(
せいさんひ
)
の
低減
(
ていげん
)
によりて
失
(
うしな
)
ふ
處
(
ところ
)
を
償
(
つぐな
)
ふ
丈
(
だ
)
けの
用意
(
ようい
)
と
覺悟
(
かくご
)
をなすべきことゝ
考
(
かんが
)
へるのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
従来此深山に
分
(
わ
)
け
入
(
い
)
りて人命を
失
(
うしな
)
ひしもの
既
(
すで
)
に十余名、
到底
(
とうてい
)
深入
(
しんにふ
)
することを
得
(
え
)
ず
古
(
いにしへ
)
より山中に
恐
(
おそ
)
ろしき
鬼婆
(
をにばば
)
ありて人を
殺
(
ころ
)
して之を
食
(
くら
)
ふ、
然
(
しか
)
らざるも人一たひ
歩
(
ほ
)
を此深山に
入
(
い
)
るれは
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
壯烈
(
そうれつ
)
なる
剛腸
(
ごうちよう
)
屡
(
しばし
)
ば
破天荒
(
はてんこう
)
の
暴圖
(
ぼうと
)
を
企
(
くわだ
)
て、シベリアの
霜雪
(
そうせつ
)
をして
自然
(
しぜん
)
の
威嚴
(
いげん
)
を
失
(
うしな
)
はしむ。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
これは、ロダンという
彫刻家
(
ちょうこくか
)
のいったことばなのだ。そのへんにころがっている石の、一つ一つがもっている
形
(
かたち
)
と色、その一つ一つに、おどろきの心を
失
(
うしな
)
ってはいけないということなのだ。
ラクダイ横町
(新字新仮名)
/
岡本良雄
(著)
人
(
ひと
)
の
噂
(
うは
)
さと
共
(
とも
)
に
彼女
(
かのぢよ
)
の
傷
(
いたで
)
はだん/\その
生々
(
なま/\
)
しさを
失
(
うしな
)
ふことが
出來
(
でき
)
たけれど、
猶
(
なほ
)
幾度
(
いくど
)
となくその
疼
(
いた
)
みは
復活
(
ふくくわつ
)
した。
彼女
(
かのぢよ
)
は
靜
(
しづ
)
かに
悔
(
く
)
ゐることを
知
(
し
)
つた。それでも
猶
(
なほ
)
その
悔
(
くゐ
)
には
負惜
(
まけを
)
しみがあつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
本当の『自然らしさ』をいつの間にか
失
(
うしな
)
つて了ふのを知らないのである。
ある時に
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
我
(
われ
)
よりも
息子
(
むすこ
)
または
娘
(
むすめ
)
を
愛
(
あい
)
する
者
(
もの
)
は、
我
(
われ
)
に
相応
(
ふさわ
)
しからず。
又
(
また
)
おのが
十字架
(
じゅうじか
)
をとりて
我
(
われ
)
に
従
(
したが
)
わぬ
者
(
もの
)
は、
我
(
われ
)
に
相応
(
ふさわ
)
しからず。
生命
(
いのち
)
を
得
(
う
)
る
者
(
もの
)
は、これを
失
(
うしな
)
い、
我
(
わ
)
がために
生命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
う
者
(
もの
)
は、これを
得
(
う
)
べし
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大勢の見物もみんな顔色を
失
(
うしな
)
って、
誰
(
だれ
)
一人口を
利
(
き
)
く者がないのです。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
いや、
破片
(
はへん
)
でも
大珍品
(
だいちんぴん
)
たるを
失
(
うしな
)
はぬ。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
失
常用漢字
小4
部首:⼤
5画
“失”を含む語句
失敗
失策
過失
紛失
失錯
失望
大失策
失笑
失礼
失敬
消失
紛失物
失踪
失禮
喪失
見失
遺失
茫然自失
大失敗
失念
...