うしの)” の例文
刈り取られた黍畑や赤はげの小山を超えて、およそ二千メートル後方の仮繃帯場へついた時は、ほッと一息したまま、また正気をうしのてしもた。
戦話 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「来たか、昨夜ゆうべお前が魔者ののろいをり払ったから、もう通力つうりきうしのうた、これを持って往って、見つけたなら、ふたを開けろ、それまでは蓋を開けてはならんぞ」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人家じんかにちかきながれさへかくのごとくなれば、この二すぢながれ水源みなかみも雪にうづもれ、水用すゐよううしのふのみならず水あがりのおそれあるゆゑ、ところの人ちからあはせて流のかゝり口の雪を穿うがつ事なり。