あや)” の例文
今日は大森君にあやまるためにわざわざ出かけた次第ではありませんけれども、ついでだからみんなのいる前で、謝罪しておくのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
光子さんも明日はうちい来なさるやろけど、私に会うのんまり悪がってなさって、「あんたから姉ちゃんにあやまっといて頂戴」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おはま だから堪忍おしとあやまってるんだよ。あたしは男勝りといわれ、自分でもそう思っていたが、これが何で男勝りか、我ながら情ない気になっていたんだ。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
Yはマダ人間が出来ておらんからぐ誘惑される。チンコロのようにオモチャにされたんで罪を犯す了簡りょうけんがあったんじゃない。島田の許へ連れてってあやまらせたが、オイオイ声を
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
彼は冗談のようにしてラエーフスキイにあやまって、意見もしなだめてもやりたかったのだ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
誰かあゝお隅か妙な処で出会でくわしたなア、先生/\麹屋の隅でございます、能く来たなア、え隅か、是はうもあやまれ/\、重々何うも済まぬ、先生/\お隅でございます、貴公知らなんだ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あやまる」と折竹はサッパリと言って
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あやまるなんて」と三千代は声をふるはしながらさへぎつた。「わたくし源因もと左様さうなつたのに、貴方あなたあやまらしちやまないぢやありませんか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「あての方からンねて行って、悪かったいうて堪忍してもろてん。」「何やて! なんであやまりに行くことある?」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「でももしか、あなたに怒られるとそれっきりですからね。後でいくらあやまってもおっつかないなんて馬鹿はしたくありませんもの」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「はあ、そうです、外い出てから考えてみたら、自分が悪かったいうこと分りましたのんで、何や知らん気イ済まんもんですからあやまりに来ました」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私はその刹那せつなに、彼の前に手を突いて、あやまりたくなったのです。しかも私の受けたその時の衝動は決して弱いものではなかったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それで自分の悪かったことは幾重にもあやまるし、どんな条件でも聴き入れるから、一切の過去は水に流して、是非もう一度帰って来てくれるように。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
んだ事は、もうめやう。佐々木も昨夜ゆふべ悉くあやまつて仕舞つたから、今日けふあたりは又晴々せいせいして例の如く飛んであるいてるだらう。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この、長い、鬱陶うっとうしいにらみ合いの間に、私はどうして彼女に泥を吐かせたらいいか、この強情な女を素直にあやまらせる道はないだろうかと、ただそればかりを考えました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「僕は君の前にあやまつてゐる人間だ。此方こつちからさきへそんな事を云ひ出す権利はない。君の考から聞くのが順だ」と代助が云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さ、あやまれ、詫まらなけりゃ承知しないぞ! もう今日限りこの家を出て行ってくれ!
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
君があの際ふるって演壇に立ったのは実際感心である、と大いにめたりあやまったりして来た。実際橋本の云う通りである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
校長なんて狸のような顔をして、いやにフロック張っているが存外無勢力なものだ。虚偽きょぎの記事を掲げた田舎新聞一つあやまらせる事が出来ない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女は何にも云わずにそこで泣き出したりした。ある時はなぜ兄さんに早くあやまらないのだと詰問するように自分をにくらしそうににらめたりした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もう遅いわよあなた。高木さん、もしいらっしゃるつもりならきっと一人でもいらしってよ。後から忘れましたってあやまったらそれでかないの」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なに何にも云やしないよ。うそだと思うなら、もう一遍お延さんにいて見たまえ。もっとも僕は帰りがけに悪いと思ったから、あやまって来たがね。実を
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
看護をしてから二日目ふつかめばんに、三千代みちよなみだを流して、是非あやまらなければならない事があるから、代助の所へ行つて其訳を聞いて呉れろとおつとに告げた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もしおこられたら、あやまるだけで、詫まって聞かれなければ、御辞儀おじぎ叮嚀ていねいにして帰れば好かろうと覚悟をきめた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
看護をしてから二日目の晩に、三千代が涙を流して、是非あやまらなければならない事があるから、代助の所へ行ってその訳を聞いてくれろと夫に告げた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御返しよ、ほうっておくれよ、よう、と精一杯にせっついたが与吉は毬を持ったまま、上を見て威張って突立つったっている。あやまれ、詫まったら返してやると云う。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「一体生徒が全然るいです。どうしてもあやまらせなくっちゃ、癖になります。退校さしても構いません。……何だ失敬な、新しく来た教師だと思って……」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は室にった幽霊が、ふうとまた室を出るごとくに力なく退却した。その後も彼の書斎のドアたたいて、快くあやまるだけの度胸は、どこからも出て来なかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
じゃ津田君に対する失言を取消しましょう。そうしてあなたにあやまりましょう。そうしたらいいでしょう
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は時々妻にあやまりました。それは多く酒に酔って遅く帰った翌日あくるひの朝でした。妻は笑いました。あるいは黙っていました。たまにぽろぽろと涙を落す事もありました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでどっちが先へ退院するにしても、その間際まぎわに一度会っておきたいと始終しじゅう思っていた。見舞じゃない、あやまるためにだよ。気の毒な事をしたと一口詫まればそれで好いんだ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は一言いちごんもなかった。あやまる以上に恐縮して俯向うつむいていた。父は平気なうちに自分の死を覚悟していたものとみえる。しかも私の卒業する前に死ぬだろうと思い定めていたとみえる。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時はもう仕方がないと観念して先方の云う通り勘当されるつもりでいたら、十年来召し使っているきよという下女が、泣きながらおやじにあやまって、ようやくおやじのいかりが解けた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
姉と喧嘩けんかをして、もう向うから謝罪あやまって来ても勘忍してやらないと覚悟をめたが、いくら待っていても、姉があやまらないので、仕方なしにこちらからのこのこ出掛けて行ったくせに
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕はこの通り自然に復讎かたきを取られて、君の前に手を突いてあやまっている
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして万一森本から音信でもあって、彼の居所が分ったらどうぞ忘れずに教えてもらいたいと頼んだ末、もしさっき聞いた事が敬太郎の気にさわったら、いくらでもあやまるから勘弁してくれと云った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その日はそれですんだが、ほどなく私は西片町へあやまりに出かけた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしそれは世間のおきてと定めてある夫婦関係と、自然の事実として成り上がった夫婦関係とが一致しなかったと云う矛盾なのだから仕方がない。僕は世間の掟として、三千代さんの夫たる君にあやまる。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其時与次郎はへい/\と云つて番人にあやまつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)