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訝
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あや
ふりがな文庫
“
訝
(
あや
)” の例文
そして
縦繁
(
たてしげ
)
の障子の桟の一とコマ毎に出来ている
隈
(
くま
)
が、あたかも塵が溜まったように、永久に紙に沁み着いて動かないのかと
訝
(
あや
)
しまれる。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
高貴のなさることは概して下賤の常識では計りかねる非凡なところが多いのだから、その物々しい覆面も例の伝だと思ってさして
訝
(
あや
)
しむこともなかった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
劔
(
つるぎ
)
を
杖
(
つゑ
)
に。
松陰
(
まつかげ
)
の。
巖
(
いはほ
)
撐
(
さゝ
)
へて。
吐息
(
といき
)
つく。
時哉
(
をりしも
)
見ゆる。
若武者
(
わかむしや
)
は。
是
(
こ
)
は
抑
(
そも
)
軍
(
いくさ
)
の。
使
(
つかひ
)
かや。
見
(
み
)
れば
衣
(
ころも
)
の。
美麗
(
うるはし
)
さ。
新郎
(
はなむこ
)
とかも。
訝
(
あや
)
またる。
其鬚髯
(
そのほうひげ
)
の。
新剃
(
にひそり
)
は。
秋田
(
あきた
)
を刈れる。
刈稻
(
かりしね
)
の。
齊
(
そろ
)
へる
樣
(
さま
)
に。
「西周哲学著作集」序
(旧字旧仮名)
/
井上哲次郎
(著)
エイホエイホ飛ぶ後から如来衛門と
乾児
(
こぶん
)
の者は、遅れじとそれに
従
(
つ
)
いて飛ぶ。そしてその後を武者之助と彼の部下とが追って行く。この
可笑
(
おか
)
し
気
(
げ
)
な一団を村の人々は
訝
(
あや
)
しがり、門に
佇
(
たたず
)
んで見送った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其麽
(
そんな
)
事もないけれども……
訝
(
あや
)
しげなもんだね。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
廉平は我ながら、
訝
(
あや
)
しいまで胸がせまった。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甘いへんのうの匂いと、
囁
(
ささや
)
くような
衣摺
(
きぬず
)
れの音を立てて、私の前後を擦れ違う幾人の女の群も、皆私を同類と認めて
訝
(
あや
)
しまない。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
横着にも幸田節三は今やそれをまるまる
独占
(
ひとりじめ
)
にしあえて
訝
(
あや
)
しむ様子もないから、さすがの博士も忌々しくなったものと見え、演説もろとも幸田を押退けると演壇の端まで進み出で
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
滋幹が
訝
(
あや
)
しみながら跡をつけると、父は脇目もふらずに前方を視つめ、
階
(
きざはし
)
を下りて、
金剛草履
(
こんごうぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて、地上に立った。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は最初は自分の耳を疑い、次には妻の心を
訝
(
あや
)
しんだ。今更になって何を彼女は訴えようとするのであろう。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は自分を
訝
(
あや
)
しまずにはいられなかったが、
蓋
(
けだ
)
し平中の思慕の情は、夫人が彼の及び難い
高根
(
たかね
)
の花になったと云う事実に依って、
挑発
(
ちょうはつ
)
されたところもあろう。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
なよなよとした、風にも堪えぬ後姿を、視詰めれば視詰めるほど、ますます人間離れがしているように感ぜられて、やっぱり狐の化けているのではないかと
訝
(
あや
)
しまれる。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから既に十三歳にも達した法師丸が、その美に酔わされたことは
一往
(
いちおう
)
訝
(
あや
)
しむに足りないけれども、彼はその上にも、普通の男子には有り得ない極端な感情を経験した。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
思わず
嘲
(
あざけ
)
るような
瞳
(
ひとみ
)
を挙げて、二階を仰ぎ
視
(
み
)
ると、
寧
(
むし
)
ろ
空惚
(
そらとぼ
)
けて別人を装うものの如く、女はにこりともせずに私の姿を
眺
(
なが
)
めて居たが、別人を装うても
訝
(
あや
)
しまれぬくらい
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
格別
訝
(
あや
)
しみはしなかつたが、でも気のせゐか、その夥しく眼やにの溜つた眼のふちだの、妙にしよんぼりとうづくまつてゐる姿勢だのを見ると、僅かばかり会はなかつた間に
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
格別
訝
(
あや
)
しみはしなかつたが、でも気のせゐか、その
夥
(
おびただ
)
しく眼やにの溜つた眼のふちだの、妙にしよんぼりとうづくまつてゐる姿勢だのを見ると、僅かばかり会はなかつた間に
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何も
彼
(
か
)
も分っているらしいのが不思議であったが、ふと、眼の前をきらりと落ちたものがあるので、
訝
(
あや
)
しみながら振り仰ぐと、母が涙を一杯ためてあらぬ方角を
視詰
(
みつ
)
めていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お名残は盡きませぬけれど、そういつ迄もこゝに立っていらっしゃいますと、通行の人が
訝
(
あや
)
しみます。お参りが済んだら早うお戻りなされませ、あんまり暗うなりませぬうちに」
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この動物の無精な性質を
呑
(
の
)
み込んでいる庄造は、こう云うそっけない態度には
馴
(
な
)
れているので、格別
訝
(
あや
)
しみはしなかったが、でも気のせいか、その
夥
(
おびただ
)
しく眼やにの
溜
(
たま
)
った眼のふちだの
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大助は果して何処へ消えてしまったのか? 花見の宴の事件以来警戒の眼が光っている中を、再び長持に隠れて誰にも
訝
(
あや
)
しまれずに城外へ
逃
(
のが
)
れ去ることは、到底不可能であったに違いない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
されば襲撃の場所や時刻なども豫め打ち合わせが済んでいたので、河内介は人に
訝
(
あや
)
しまれることなく、短時間のうちに仕事を成し遂げて、無事に石崖の下へ戻って来ることが出来たのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
間に道路や大堰川が
挟
(
はさ
)
まっているようには思われない、そして花時の
雑沓
(
ざっとう
)
の折にも、ここばかりは人里離れた仙境のように閑寂であり、外の群衆の騒音などは
何処
(
どこ
)
にあるかと
訝
(
あや
)
しまれるばかりである
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
知らなかったのも
訝
(
あや
)
しむに足りない。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こう云って瑠璃光丸が
訝
(
あや
)
しめば
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
訝
漢検1級
部首:⾔
12画
“訝”を含む語句
怪訝
可訝
怪訝顔
怪訝相
驚訝