あや)” の例文
それから五にん手分てわけをして、窟内くつないくまなく調査てうさしてると、遺骨ゐこつ遺物ゐぶつ續々ぞく/″\として發見はつけんされる。それをあやまつてみさうにる。大騷おほさはぎだ。
勤居つとめゐたりしに若氣わかげあやまちとて不義密通ふぎみつつうに及びし事薄々うす/\かみへも聞え御家法ごかはふに依て兩人の一命をも召さるべきのところ同藩にて五百石をりやう物頭役ものがしらやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
事の原由よしを尋ぬるに、旗野の先住に、何某なにがしとかやひし武士ものゝふのありけるが、あやまてることありて改易となり、やしきを追はれて国境くにざかひよりぞ放たれし。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、あやまッた文三は、——実に今まではお勢を見謬みあやまッていた。今となッて考えてみれば、お勢はさほど高潔でもない
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
丁度ちょうどその年の四月十九日のことです。ピエールがある宴会からの帰途にあやまって自動車にかれて負傷し、そのまま不慮の死を遂げてしまったのでした。
キュリー夫人 (新字新仮名) / 石原純(著)
飯「静かにしろ、ほかへ洩れてはよろしくないぞ、宮野邊源次郎めを突こうとして、あやまって平左衞門を突いたか」
木の燃えさしがだらしなくころがっていて、畳の黒く焦げたのがきわだって眼につく。これは祭文読みとお作と喧嘩けんかした時、あやまって取り落として燃えたのであった。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
京都清水坂の非人などのうちに、吉野法師・伊賀法師・越前法師・淡路法師等が、さしたるあやまりなきにかかわらず、長吏法師のために追放せられて、奈良坂宿へ嘆願に及んだ。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
こはがらないでねジエィン、あやまちだと分かつてますからね。ばつしたりはしません。」
又は一点の機微に転身をやしたりけむ、忽然こつぜん衝天しょうてんの勇をふるひ起して大刀を上段真向まっこうに振りかむり、精鋭一呵いっか、電光の如く斬り込み来るをひらりと避けつゝはたと打つ。竹杖のあやまたず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
前にいう通り育の字は肉の字の上に、子供の子が転倒しているのであるから、その子供の向き方を変更させるのには大いに手加減がいる。その手加減をあやまれば教育の方が転倒してしまう。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
天皇はあやまっておられる。
一同の囚人めしゅうどが徒党を組んですでに屋敷へ押懸けようと云うところを、此の文治が止めたが、ついあやまってお前の夫を殺してしまったのは誠に気の毒の事であった
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
元越後高田の藩中に候處今より十八ヶ年以前若氣わかげあやまちにて同役の娘と不義に及び主家の法に依て一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だから、家元ばかりはドンナ事があっても衣食に困らないようにして、芸道の研究に生涯を捧げ、時流に媚びず、批評家にあやまたれず、一意専心、自己の信念に向って精進せねばならぬ。
能とは何か (新字新仮名) / 夢野久作(著)
薄作だからついあやまっては毀して指を切られ、だん/\此の話を聞伝えて奉公に参る者がなくなりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
打擲ちやうちやくなし其數々の惡事一時に露顯ろけんして言破いひやぶることあたはず終に口書こうしよ爪印つめいんをなすに至る又伊勢屋五兵衞もと召使めしつかひ久八の如き忠義は町人にめづらしき者なれどあやまつて主殺しうころしの大罪だいざい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
良人やどほかへ養子にでも往ったのではないか、女房子を振捨てゝ、ほかへ養子にはいるとはあんまり情ない不実な人と怨んでいたのはわたくしあやまり、良人つれあい左様そういう訳になりまして
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の丈助は大野と共謀ぐるになり、表に忠義と見せかけて小左衞門を鴻の台へ引出す手筈をいたしたので、かゝる悪人とも知らず、忠義なものと心得て目を掛けたがあやまりで
貴様が万一の事が有れば娘は自分の娘にして剣術も教え、貴様は己があやまって殺したのじゃに依って、後々のち/\愈々いよ/\又市を討つ時には己が力に成って助太刀をして討たせるが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一昨日おとゝい母にも親族にも打明ぶちあけたのは僕があやまりました、お前はよく今まで己を騙したね
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あんま愛想尽あいそづかしを云うじゃアないか、決してお前を書入にしたのではない、書入はほんの洒落だと云うから、うっかり書いたはあやまりだが、今になって金の有る大伴蟠作の襟に附いて己を振り付けては
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)