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あや
ふりがな文庫
“
文
(
あや
)” の例文
それが
却
(
かへつ
)
て未だ曾て耳にした
例
(
ためし
)
のない美しい樂音を響かせて、その音調の
文
(
あや
)
は春の野に立つ
遊絲
(
かげろふ
)
の微かな影を心の空に
搖
(
ゆる
)
がすのである。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
無地にかえって無限の
文
(
あや
)
を見るのである。無地にはただ何もないというのではない。ここに無地ものに対する私の
物偈
(
ぶつげ
)
三句を添える
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
八十パーセントというのはもちろん言葉の
文
(
あや
)
であろうが、農業を支配する最大の要素が天候であることには疑問の余地が無い。
農業物理学夜話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
地は隈無く箒目の波を描きて、
斑
(
まだら
)
に
葩
(
はなびら
)
の白く散れる上に
林樾
(
こずえ
)
を洩るゝ日影濃く淡く
文
(
あや
)
をなしたる、
幾
(
ほとん
)
ど友禅模様の巧みを尽して
巣鴨菊
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
鹿島の孫娘の
文
(
あや
)
子が、冬亭のところへ作句の手ほどきを受けにくるようになったのは、日華事変のはじめごろだったろうか。
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
文
(
あや
)
は人の目を奪う。巧は人の目を
掠
(
かす
)
める。質は人の目を明かにする。そうでしょうかを聞いた時、甲野さんは何となくありがたい心持がした。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして、彼は薫炉の上で波紋を描く煙の
文
(
あや
)
を見詰めながら、今や
巫祝
(
かんなぎ
)
の言葉を伝えようとした時、突然、長羅は彼の傍へ飛鳥のように馳けて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
この会合にさらにもっともらしい
文
(
あや
)
をつけるために、私は八人か十人ばかりの連中が集まるように仕組み、それから
骨牌
(
かるた
)
がいかにも偶然に持ち出されたように見え
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
人生には
悽惨
(
せいさん
)
の気が浸透している。春花、秋月、山あり、水あり、
紅
(
あか
)
、紫と
綺羅
(
きら
)
やかに複雑に目も
文
(
あや
)
に飾り立てているけれど、
帰
(
き
)
する
処
(
ところ
)
沈痛悲哀の調べが
附纏
(
つきまと
)
うて離れぬ。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
而して身外の水も亦、味を解きて人に伝ふるの大作用をなす。譬へば青黄赤黒の色も畢竟水の力を得て
素
(
しろ
)
を染むるが如し。水無ければ、絢爛の美、錦繍の
文
(
あや
)
、
竟
(
つひ
)
に成らざるなり。
水
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
太夫の手にも
住
(
とど
)
まらで、空に
文
(
あや
)
織る
練磨
(
れんま
)
の手術、今じゃ今じゃと、木戸番は
濁声
(
だみごえ
)
高く
喚
(
よば
)
わりつつ、
外面
(
おもて
)
の幕を引き
揚
(
あ
)
げたるとき、演芸中の太夫はふと
外
(
と
)
の
方
(
かた
)
に眼を
遣
(
や
)
りたりしに
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝには
象
(
かた
)
も
文
(
あや
)
もみえず、岸も路も
滑
(
なめら
)
かにみえて薄黒き石の色のみあらはる 七—九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
目には
文
(
あや
)
なしで、唯枕もとに荒るる鼠の音が聞こえるばかりであるが、その闇中にも自ら目に描き出さるるものは昼間生けて置いた、あの美くしい椿の花である、とそういうのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
白縮はうち見たる所はおりやすきやうなれば、たゞ人は
文
(
あや
)
あるものほどにはおもはざれども、
手練
(
しゆれん
)
はよく見ゆるもの也。村々の
婦女
(
ふぢよ
)
たちがちゞみに
丹精
(
たんせい
)
を
尽
(
つく
)
す事なか/\小
冊
(
さつ
)
には
尽
(
つく
)
しがたし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かの
逆巻
(
さかま
)
く波に分け入りし宮が、息絶えて浮び出でたりし
其処
(
そこ
)
の景色に、似たりとも
酷
(
はなは
)
だ似たる岸の
布置
(
たたずまひ
)
、
茂
(
しげり
)
の
状況
(
ありさま
)
、
乃至
(
ないし
)
は
漾
(
たた
)
ふる水の
文
(
あや
)
も、
透徹
(
すきとほ
)
る底の
岩面
(
いはづら
)
も、広さの程も、位置も、
趣
(
おもむき
)
も
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
老婦人が去った後、
瓠
(
ひさご
)
の
籬
(
かき
)
でかこって
盤
(
ふた
)
をかぶせて置くと、虫は俄かに変じて犬となった。犬の毛皮には
五色
(
ごしき
)
の
文
(
あや
)
があるので、これを宮中に養うこととし、瓠と盤とにちなんで
盤瓠
(
ばんこ
)
と名づけていた。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
掛
(
かけ
)
まくも
文
(
あや
)
に
恐
(
かしこ
)
き、いはまくも穴に尊き、
広幡
(
ひろはた
)
の
八幡
(
やはた
)
の
御神
(
みかみ
)
、此浦の
行幸
(
いでまし
)
の宮に、
八百日日
(
やおかび
)
はありといへども、
八月
(
はつき
)
の今日を
足日
(
たるひ
)
と、行幸して遊び
坐
(
いま
)
せば、
神主
(
かみぬし
)
は御前に立ちて、
幣帛
(
みてぐら
)
を捧げ
仕
(
つか
)
ふれ
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「質がよくても
文
(
あや
)
がなければ一個の野人に過ぎないし、
文
(
あや
)
は十分でも、質がわるければ、気のきいた事務家以上にはなれない。文と質とがしっかり一つの人格の中に溶けあった人を君子というのだ。」
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
物の
文
(
あや
)
繁
(
しじ
)
にし
思
(
も
)
へばかいさぐる我が
指頭
(
ゆびさき
)
に眼はのるごとし
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わが若鷲は
琴柱尾
(
ことぢを
)
や胸に
文
(
あや
)
なす
鷸
(
しぎ
)
の
斑
(
ふ
)
の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
背広の
文
(
あや
)
の音楽に首を
埋
(
うづ
)
めて
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
うららかな水かげろうの
文
(
あや
)
水の上
(新字新仮名)
/
安西冬衛
(著)
魚竜
潜
(
ひそ
)
み
躍
(
をど
)
りて水
文
(
あや
)
をなす
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
零露
(
れいろ
)
の
文
(
あや
)
はしげくして
樹氷
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
文
(
あや
)
ある袖も黒髮と
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
彼はこの女が若々しい自分の血に高い熱を与える
刺戟性
(
しげきせい
)
の
文
(
あや
)
をどこにも見せていないのを不思議に思った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また「
耀変
(
ようへん
)
」なるものを尊んだが、これまた「無地紋」とでもいおうか。無地のままで、無限の
文
(
あや
)
なのである。「楽焼」の如きはこの美しさを意識的に追った茶器である。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかしこれは、言葉の
文
(
あや
)
になるかもしれないが、本当には悪いと知らないから犯す行為ともいえる。幼児を殺しても、自分には何の利益にもならない。生かしておいても、別に損はしない。
無知
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
強いて
附会
(
こじつ
)
ければ、
癩者
(
かたい
)
の膝頭とでも言うべき体裁だが、銅の色してつらつらに光りかがやく
団々
(
だんだん
)
たる肉塊の表に、筋と血の管の
文
(
あや
)
がほどよく寄集まり、眼鼻をそなえた人の
面
(
つら
)
宛然
(
さながら
)
に見せている。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と
唐突
(
だしぬけ
)
に
襖
(
ふすま
)
を開け、貴婦人、令嬢、列席の大一座、燈火の光、衣服の
文
(
あや
)
、光彩
燦爛
(
さんらん
)
たる中へ、
着流
(
きながし
)
に
白縮緬
(
しろちりめん
)
のへこおびという無雑作なる
扮装
(
いでたち
)
にて、目まじろきもせで
悠然
(
ゆらり
)
と通る、
白髪天窓
(
しらがあたま
)
の老紳士
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女の憂目の
見初
(
みはじめ
)
なりしと、思ふにつけても悲さに恨めしささへ添ふ心地、御なつかしさも取り交ぜて
文
(
あや
)
も分かたずなりし涙の抑へ難かりしは此故なり、と
細〻
(
こま/\
)
と語れば西行も
数度
(
あまたゝび
)
眼を押しぬぐひしが
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
文
(
あや
)
もなし、曲もなし、唯あらはなり
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
仄
(
ほの
)
かなる
愁
(
うれひ
)
の
文
(
あや
)
にしみじみと
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それを込み入った
文
(
あや
)
でも隠しているように、一生懸命に自分の燃やした
陽炎
(
かげろう
)
を散らつかせながら、
後
(
あと
)
を
追
(
おっ
)
かけて歩いたのが、さもさも馬鹿馬鹿しくなって来た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窮
(
きは
)
みなし、
文
(
あや
)
もなし
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
衣の
文
(
あや
)
のきらめきは
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
古るい人に先だたれ、新らしい人に後れれば、
今日
(
きょう
)
を
明日
(
あす
)
と、その日に
数
(
はか
)
る命は、
文
(
あや
)
も
理
(
め
)
も
危
(
あやう
)
い。……
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
物皆さあれ
文
(
あや
)
もなく
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
日の
文
(
あや
)
よ
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
子供と違って
大人
(
たいじん
)
は、なまじい一つの物を
十筋
(
とすじ
)
二十筋の
文
(
あや
)
からできたように
見窮
(
みきわ
)
める力があるから、生活の基礎となるべき純潔な感情を
恣
(
ほしい
)
ままに吸収する場合が
極
(
きわ
)
めて少ない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
波の
文
(
あや
)
、文は
撓
(
たわ
)
みて
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今這入った女の動静をそっと塀の外から
窺
(
うかが
)
うというよりも、むしろ須永とこの女がどんな
文
(
あや
)
に二人の
浪漫
(
ロマン
)
を織っているのだろうと想像するつもりであったが、やはり
聞耳
(
ききみみ
)
は立てていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
影の
瑞
(
さが
)
、鳥の
文
(
あや
)
。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
“文”の解説
文(ぶん)とは、一つの完結した言明を表す言語表現の単位である。基本的には主語と述語(一方が省略されることもある)からなる。ただし、これに加えて話題(主題、題目)が重視される場合もある。
(出典:Wikipedia)
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“文”を含む語句
文章
文書
倭文
註文
文身
一文
頭文字
文化
文使
文色
文様
文字
呪文
祭文
古文書
御文
文反古
文七元結
序文
象形文字
...