“一色”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひといろ62.2%
いっしき27.0%
いつしき8.1%
いっしょく2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは「無」——実際は、無といふにはあまりにも一色ひといろの「心」に満ちた、蕭条とした路であつた。それは事実、路といふ感じがした。
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
一色いっしきの海岸にうち寄せる夕浪がやや耳に音高く響いて来て、潮煙のうちに、鎌倉の海岸線から江の島がまゆずみのように霞んでいる。
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それが一色いつしきになつてまはる。しろい棺は奇麗な風車かざぐるま断間たえまなくうごかして、三四郎の横を通り越した。三四郎はうつくしいとむらひだと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
即ち北斎が富嶽三十六景においてなせしが如く北寿もまた全画面の彩色中さいしきちゅうその根調こんちょうとなるべき一色いっしょくを選びて常にこれによつて諧音的の効果を奏せんとする苦心を示したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)