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奇
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あや
ふりがな文庫
“
奇
(
あや
)” の例文
おこの沙汰ではあるが、私は
奇
(
あや
)
しきまでに女の美しい姿に引つけられた。私はどうしても彼女を尋ね出そうと堅く決心した。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
天照らす大御神いよよ
奇
(
あや
)
しと思ほして、やや戸より出でて臨みます時に、その
隱
(
かく
)
り立てる手力男の神、その御手を取りて引き出だしまつりき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
菖蒲
(
あやめ
)
の寮の奥で、今こうして、自分の運命の
奇
(
あや
)
しさに思い入りつつある現在の新九郎も、女難という方には、更にうッかりしているのだった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その僕これを
奇
(
あや
)
しみ
私
(
ひそか
)
にその被いを開くと、皿上に白蛇あり、一口
嘗
(
な
)
むるとたちまち雀の語を解し得たので、王の一切智の出所を
了
(
さと
)
ったという。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
若い女の、水着の派手な色と、手足や顔の白さが、波紋を織る碧い水の綾のなかに、
奇
(
あや
)
しいまでの美しさを見せた。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
知らず、三日の後
殿
(
みや
)
にて
遇
(
あ
)
ふ。彼教師の中に坐し、聴き
且
(
かつ
)
問ひゐたり。
聞者
(
きくもの
)
其
知慧
(
さとき
)
と其
応対
(
こたへ
)
とを
奇
(
あや
)
しとせり。
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私はよく汗のついた手首に、その繪の女王や昆虫の彩色を
痒
(
かゆ
)
いほど押しては貼り、
剥
(
はが
)
してはそつと貼りつけて、水路の小舟に
伊蘇普
(
いそつぷ
)
物語の
奇
(
あや
)
しい頁を
飜
(
か
)
へした。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
憂ひの恋! 之程
奇
(
あや
)
しいものは世界に無い。栄一があまりに沈黙して居るので鶴子は熱して来た。そして其手を取つた。然し栄一は恋の興を湧かさうとはしなかつた。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
高橋梅
(
たかはしうめ
)
、
則
(
すなわ
)
ち僕の養母は僕の真実の母、
生
(
うみ
)
の母であったのです。
妻
(
さい
)
の
里子
(
さとこ
)
は父を
異
(
ことに
)
した僕の妹であったのです。
如何
(
どう
)
です、これが
奇
(
あや
)
しい運命でなくて何としましょう。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その船
行方
(
ゆくえ
)
なくなりて
後
(
のち
)
は、家に残る人も
散々
(
ちりぢり
)
になりぬるより、絶えて人の住むことなきを、この男のきのうここに入りて、
漸
(
やや
)
して帰りしを
奇
(
あや
)
しとてこの
漆師
(
ぬし
)
の
老
(
おじ
)
が申されし
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
外
(
と
)
の方に
麗
(
うるは
)
しき声して、此の軒しばし恵ませ給へといひつつ入り来るを、
奇
(
あや
)
しと見るに、年は
廿
(
はたち
)
にたらぬ女の、
顔容
(
かほかたち
)
三一
髪
(
かみ
)
のかかりいと
艶
(
にほひ
)
やかに、
三二
遠山ずりの色よき
衣
(
きぬ
)
着
(
き
)
て
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その時々に
奇
(
あや
)
しく変つて行く運命と共に、兎角揺られがちな彼女の弱い心から出る訴へを、可なり利己的な立場から、同情ある慰めの言葉で受けてゐたに過ぎなかつたくらゐなので
質物
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかるに某は
身動
(
みじろぎ
)
だにせであるを、衆のものいよいよ可笑がりて、近づき視れば、何ぞ図らむ、舌を吐き目を
瞑
(
ねぶ
)
りて、呼息まことに絶えたり。高粱の殻にて縊れぬとは
奇
(
あや
)
しからずや。
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
その
﨟
(
ろう
)
たけたすがたに似もやらぬ、武芸のたしなみといい、何とはなしに感じられる、身のまわりの妖気——浪路が、一目見て、いのちもと思い込んだにも、
奇
(
あや
)
しさがある——さては
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
大きさは約四尺も
有
(
あろ
)
う、真黒で頭の大きい何とも分らぬ
怪物
(
かいぶつ
)
だ、
流石
(
さすが
)
の悪僧も目前にこんな
奇
(
あや
)
しみを見て深く身の非を知りその夜住職を
起
(
おこ
)
してこの事を
懺悔
(
ざんげ
)
し、その後は
打
(
うっ
)
て変って品行を謹しみ
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
しかし老婆の手紙について津村が最も
奇
(
あや
)
しい因縁を感じたことが外にあった。と云うのは、この婦人、———彼の母方の祖母にあたる人は、その文の中に狐のことをしきりに説いているのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
すると、草の間に提灯の灯が動いて、しゃがんでいたらしい人影が、すっくと起ち立った。闇黒に染む濡れた光りの中央に、
頤
(
あご
)
から上を照されて
奇
(
あや
)
しく
隈
(
くま
)
取った佐平次の顔が、赤く小さく浮かび出た。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
胸の血の
奇
(
あや
)
しくもときめくよ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ここに
海
(
わた
)
の神の女
豐玉毘賣
(
とよたまびめ
)
の
從婢
(
まかだち
)
、
玉盌
(
たまもひ
)
九
を持ちて、水酌まむとする時に、井に
光
(
かげ
)
あり。仰ぎ見れば、
麗
(
うるは
)
しき
壯夫
(
をとこ
)
あり。いと
奇
(
あや
)
しとおもひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
あるいは
枯山
(
からやま
)
をして変えて青山にす。あるいは黄なる
地
(
つち
)
をして変えて白き水にす。
種々
(
くさぐさ
)
の
奇
(
あや
)
しき術、
殫
(
つく
)
して究むべからず。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「
方伯
(
つかさ
)
のいと
奇
(
あや
)
しとするまでにイエス
一言
(
ひとこと
)
も答へせざりき。」——クリストは伝記作者の記した通り、彼等の
訊問
(
じんもん
)
や嘲笑には何の答へもしなかつたであらう。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蔀
(
しとみ
)
おろし
簾
(
すだれ
)
たれこめしまで、夢の
裏
(
うち
)
に見しと露
違
(
たが
)
はぬを、
奇
(
あや
)
しと
七〇
思ふ思ふ門に入る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その横山五助、どうにかして、浪路の行方を突き止め、土部家へ戻そうとして、たった今まで、心を砕き、この小家をとうとう発見したのであったが、人間の慾念というものは、
奇
(
あや
)
しいものだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それからと云うものはこの家に
奇
(
あや
)
しい事が
度々
(
たびたび
)
あって
驚
(
おど
)
ろかされた芸人も
却々
(
なかなか
)
多いとの事であるが、
或
(
ある
)
時
素人連
(
しろうとれん
)
の女芝居を興行した際、
座頭
(
ざがしら
)
の
某
(
ぼう
)
が急に腹痛を
起
(
おこ
)
し、
雪隠
(
せっちん
)
へはいっているとも知らず
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
而もその婦人というのは、どうであろう、柏の
所謂
(
いわゆる
)
「愛の杯」の主人公で、例の扇子の持主ではないか。私の胸は異常な驚愕と好奇の念に
奇
(
あや
)
しく跳った。私の眼は絶えず筋向うのボックスに注がれた。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
声もえたてぬ
奇
(
あや
)
しさは
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大后の幸でませる故は、奴理能美が
養
(
か
)
へる蟲、一度は
匐
(
は
)
ふ蟲になり、一度は
殼
(
かひこ
)
になり、一度は飛ぶ鳥になりて、三
色
(
くさ
)
に
變
(
かは
)
る
奇
(
あや
)
しき蟲
二七
あり。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
『甲子夜話』続篇八〇に、松浦天祥侯程ヶ谷の途の茶店にて野猪の小なるを
屠
(
ほふ
)
るを見る。毛白くして淡赤なり。
奇
(
あや
)
しく思いその名を聞くにカモシシと答う。問うカモシシは角あるにあらずや。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
豊雄また夢心して、さむるやと思へど、
正
(
まさ
)
に
現
(
うつつ
)
なるを
却
(
かへ
)
りて
奇
(
あや
)
しみゐたる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
云
(
いっ
)
たがその時は別に
奇
(
あや
)
しいとも思わず、それは結構だ早く二階へ上ってお
寝
(
ね
)
と
云
(
いわ
)
れ当人が二階へ上って行く
後姿
(
うしろすがた
)
を認めた頃、ドンドンと門を叩く者がある、下女を
起
(
おこ
)
して
聞
(
きか
)
せるとこれは病院の
使
(
つかい
)
で
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
あの
奇
(
あや
)
しい光り、これは、尋常のことではない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
あるいは黄なる
地
(
つち
)
をして変えて白き水にす。
種々
(
くさぐさ
)
の
奇
(
あや
)
しき術、
殫
(
つく
)
して究むべからず(『
扶桑略記
(
ふそうりゃっき
)
』四には多以究習とす)。また、虎、その針を授けて曰く、
慎矣慎矣
(
ゆめゆめ
)
、人をして知らしむることなかれ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
“奇”の意味
《名詞》
変わっていること。特異。
(出典:Wiktionary)
“奇”の解説
奇(き)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“奇”を含む語句
奇怪
奇異
怪奇
好奇
好奇心
奇観
奇術
奇妙
数奇
奇体
奇蹟
奇矯
奇態
奇々怪々
珍奇
奇特
奇禍
留南奇
御奇特
奇縁
...