あや)” の例文
知らぬ人でもあやかり度いと思って或いは参るかも知れぬが、人を殺して牢死した者の墓へ、親戚でも知人でも無い者が参るとは、全く有られも無い事だ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
歴史的伝統の道を外れたものとしての外道として、既成の権威にあやからぬものである限り権威なきものとして、そのような問題は見做され易いのが事実である。
イデオロギーの論理学 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
其の子供には名を甚藏と附けましたが、なんあやかったのか肩の処に黒い毛が生えて、気味の悪いあざがあって、私も若い時分の事だから気色が悪く、ことに亭主に死なれて喰い方にも困るから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「俺あ飲むよりあやかりてえ。」
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
北支でも眼先の利いたブルジョアジーや財閥軍閥は、逸早くこの日満側の利潤にあやかるに相違ない。ライオンが縞馬を倒したあとには、必ずハイエナがわけ前にあずかるものだ。
世界の一環としての日本 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)