いやし)” の例文
彼は自ら手をくだして、この身を殺すさへいさぎよからずとまでにおのれいやしむなるか、余につらしと宮はくちびるみぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
既にして挙場では、沈詢ちんじゅんが知挙になってから、温を別席に居らせて、隣に空席を置くことになった。詩名はいよいよ高く、帝も宰相もその才を愛しながら、その人をいやしんだ。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
玉はまたその女が野原をひとりで歩いていて、男になれなれしく話をしかけたというのでひどくいやしんだ。そこで玉は珏にその顔だちを訊いた。珏は顔を紅くして返事をすることができなかった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しかうしてその隆盛りうせいに至りし所以ゆゑんのものは、有名の学士羅希らきいでて、之れが改良をはかるにる。然るに吾邦わがくにの学者はつと李園りゑん(原)をいやしみ、おいかへりみざるを以て、之を記するの書、未嘗いまだかつて多しとせず。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
陶の言葉を聞いてひどくいやしんで言った。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)