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弥
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いや
ふりがな文庫
“
弥
(
いや
)” の例文
旧字:
彌
エジプト文明の栄華の煙りが歌の如くに美しく
弥
(
いや
)
がうへにも栄え渡つた時代、クフ(KHUFU)と称ふ王様の御代に帰つて、——。
青白き公園
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
この類似は、彼女の衣服の飾りつけと、その色合いの選択とによって、ベアトリーチェが
弥
(
いや
)
が上にも空想的気分を高めたからであった。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
、
弥
(
いや
)
が上にも、価値あらしめんと、わざわざ信玄の怒りを
挑
(
いど
)
んでおる者共だ。斬っては、彼等の思うつぼに乗るというものである
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時男の
声音
(
こわね
)
は全く聞えずして、唯
独
(
ひと
)
り女の
縦
(
ほしいま
)
まに
泣音
(
なくね
)
を
洩
(
もら
)
すのみなる。寤めたる貫一は
弥
(
いや
)
が上に寤めて、自ら
故
(
ゆゑ
)
を知らざる胸を
轟
(
とどろか
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これが更に永く続くとすれば、列国講を収めて
捲土重来
(
けんどちょうらい
)
、周囲の高度の文明の圧迫は
弥
(
いや
)
が
上
(
うえ
)
に力を増して来るであろう。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
と暗に武家をさえ
罵
(
ののし
)
って、自家の気を吐き、まだ
雛雞
(
ひなどり
)
である右膳を激動せしめた。右膳は真赤な顔を
弥
(
いや
)
が上に赤くした。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奥の道は、いよいよ深きにつけて、空は
弥
(
いや
)
が上に曇った。けれども、
志
(
こころざ
)
す
平泉
(
ひらいずみ
)
に着いた時は、幸いに雨はなかった。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
所謂る和尚さまなるものの上には、
弥
(
いや
)
が
上
(
うえ
)
に痛棒を加えておいてよいが、禅堂の組織と精神の上には何とかして行末絶えざる栄光あれと祈るのである。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
その表現はそのチョッピリとした鼻の背景として、そうした気分を
弥
(
いや
)
が上にも引っ立てているかのように見えます。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その騒しさが少年の心を
弥
(
いや
)
が上にも刺戟した。まだ社会の裏面を
渾沌
(
こんとん
)
として動きつつあった思想が、時としては激情の形で
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
ようとすることがある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
勿論白が
弥
(
いや
)
白くなれば、
鼠色
(
ねずみいろ
)
も
純黒
(
まっくろ
)
に
勢
(
いきおい
)
なる様なもので、故先生があまりに
物的
(
ぶってき
)
自我
(
じが
)
を捨てようとせられた為
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
青銅の鶴が噴水の水とともに優雅な
曲奏
(
ふし
)
で歌を唄うというのは何にしても珍しい出来事に相違ないから、「唄う鶴の噴水」に対する市民の人気は
弥
(
いや
)
が上にも昂まり
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
急立
(
せきた
)
つ胸を
押鎮
(
おししず
)
め、急ぎ宅へ帰って宅の者を見届に
遣
(
つか
)
わしましたる所、以前に
弥
(
いや
)
増す友之助の大難、最早
棄置
(
すてお
)
き難しと心得、早速蟠龍軒の屋敷へ駈付け、
只管
(
ひたすら
)
詫入り
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかもその氷柱の美女の艶やかさが、私にとっては一層
蠱惑
(
こわく
)
となり、
弥
(
いや
)
が上にも情慾を掻き募らせて、いかに私が狂おしきばかりの恋情に身を
灼
(
や
)
き
爛
(
ただ
)
らせていたことか!
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「永い間の非道ななされ方の
酬
(
むく
)
いとは思いませんか。年々の不作も構わず、無法な御用金を仰せ付けた上、
弥
(
いや
)
が上の
徴税
(
とりたて
)
に、知行所の百姓は食うや食わずに暮しております」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それが土地の気受けに
叶
(
かな
)
い、神戸における楠公様の
劇
(
しばい
)
である上に、川上の事件は当時の新聞が詳細に記述したので、人気は
弥
(
いや
)
がうえにと添い、入院費用はあまるほど得られた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
更に夏なれば虫屋、風鈴屋、簾屋、茣蓙屋、氷屋、甘酒やなど、路の両側に櫛比して店を拡げ、区劃を限って車止めの立札の
植
(
た
)
てられる頃より、人出は夜と共に
弥
(
いや
)
増しに増して
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
あゝ、我等をしてなほ強く此の聖なる団結を増さしむる神への愛を
弥
(
いや
)
まし玉へ。あーめん
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
妾
(
しょう
)
に対してさえ、毎月
若干
(
じゃっかん
)
の手当てを送るに至りけるが、夫婦
相思
(
そうし
)
の情は日一日に
弥
(
いや
)
増して、彼がしばしば出京することのあればにや、次男
侠太
(
きょうた
)
の
誕生
(
たんじょう
)
間もなく、親族の者より
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
慧鶴は漸くあわただしい心の
赴
(
おもむ
)
くままに
驀地
(
まっしぐら
)
に故郷へ帰った。秋の十月に諸国に地震があり、故郷の駿河も相当ひどかったということは彼の帰心を
弥
(
いや
)
が上にもそそったのであった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
住職はこんなに評判が悪いとも知らず、長い御祈祷を
弥
(
いや
)
が上にも長くしてから
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
感じ早い氏の頭に驚くべき速力を以て僅少の時間内に
弥
(
いや
)
が
上
(
うへ
)
畳み込んだ日本の百千の印象が今其の一端を
抓
(
つま
)
んで引越して見ると、ぞろ/\と釣し柿のやうに
連
(
つな
)
がつて際限なくめくれて来るから
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
悩
(
なやま
)
しけ
人妻
(
ひとづま
)
かもよ
漕
(
こ
)
ぐ船の忘れは
為無
(
せな
)
な
弥
(
いや
)
思
(
も
)
ひ増すに (同・三五五七)
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私の番になるとばア様は二三の仲間を誘ひ、意味ありげに陰険な視線と薄笑ひとを浴びせ乍ら、私の前を行きつ戻りつした。
強
(
し
)
ひて心を
空
(
むな
)
しうしようとすれば、
弥
(
いや
)
が上に私の顔容はひずみ乱れた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
その陰気な顔つきが
弥
(
いや
)
がうえにも部屋の印象を暗くするのであった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その心づくしが却って仇となって、
弥
(
いや
)
が上にも父上のお心を狂わせて、罪に罪を重ねさせまするは、なんぼう忍ばれぬ儀でござりまする。先日わたくしに向かって思い切ったと仰せられたは偽りか。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
うち
霧
(
き
)
らし浅間はわかず雨雲の
弥
(
いや
)
しき垂るるすぐろ
落葉松
(
からまつ
)
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それらのものを
弥
(
いや
)
が上に主張しようとするのである。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
村の中は不安の雲が
弥
(
いや
)
が上に捲き起ります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
弥
(
いや
)
が
上
(
うえ
)
にも
人気
(
にんき
)
を
煽
(
あお
)
ったのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
弥
(
いや
)
栄主義の勝利なのか
春と修羅 第三集
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
弥
(
いや
)
彼方
(
をち
)
に 見ゆる
家群
(
いへむら
)
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それは
弥
(
いや
)
が上に黒い。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
人生に対する観察はいよいよ手馴らされ、皮肉になり、それと共に彼の好奇心は
弥
(
いや
)
が上にも昂進して行った。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
二人
(
ふたり
)
は、
聞
(
き
)
くが
如
(
ごと
)
き
他界
(
たかい
)
であるのを
信
(
しん
)
ずると
共
(
とも
)
に、
双六
(
すごろく
)
の
賭
(
かけ
)
が
弥
(
いや
)
が
上
(
うへ
)
にも、
意味
(
いみ
)
の
深
(
ふか
)
いものに
成
(
な
)
つた
事
(
こと
)
を
喜
(
よろこ
)
んだ……
勿論
(
もちろん
)
、
谷
(
たに
)
へ
分入
(
わけい
)
るに
就
(
つ
)
いて
躊躇
(
ちうちよ
)
を
為
(
し
)
たり
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一方に、東京市民の淫蕩気分は
弥
(
いや
)
が上に甚だしくなって来る。どこかにセリ出されねば納まりが付かぬ。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そういうわがことよりも
弥
(
いや
)
まして、このお通の
可憐
(
いじら
)
しく、そして
不愍
(
ふびん
)
でならないと思われるのは、男でさえ、片荷には重すぎる悩みを、女の身で、生活に
克
(
か
)
ちつつ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見上ぐれば、蝦夷松椴松
峯
(
みね
)
へ
峰
(
みね
)
へと
弥
(
いや
)
が上に立ち重なって、日の目も
漏
(
も
)
れぬ。此辺はもう
関
(
せき
)
牧場
(
ぼくじょう
)
の西端になっていて、
林
(
りん
)
は直ちに針葉樹の大官林につゞいて居るそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それを
弥
(
いや
)
が上にもアコギな掘出し気で、三円五十銭で乾山の皿を買はうなんぞといふ図〻しい料簡を腹の底に持つて居たとて、何の、乾也だつて手に入る訳は有りはしない。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして、たゞボーフラのやうに小さい凧が空の一点から
切
(
しき
)
りにまねいては嘲笑ひ、私の悲惨な憧憬を
弥
(
いや
)
が上にもたかぶらせながら、絶え間なく白日の夢に髣髴としてゐるのであつた。
鱗雲
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
吾々は基督が十字架につかれた事を
弥
(
いや
)
が上にも生かさなくてはならない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
白き
襞
(
ひだ
)
けぶかき雲を
弥
(
いや
)
が
上
(
へ
)
に雲は
噴
(
ふ
)
きあがりまかがやく
縁
(
へり
)
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「いや、
弥
(
いや
)
が上にもさ」
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
のみならずその合唱隊や囃子方の揃った服装や、気合い揃った動きは、気分的に厳粛な背景を作って、演舞者の所作があらわす気分を、
弥
(
いや
)
が上にも引っ立てて行く。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それを
弥
(
いや
)
が上にもアコギな掘出し
気
(
ぎ
)
で、三円五十銭で
乾山
(
けんざん
)
の皿を買おうなんぞという
図〻
(
ずうずう
)
しい料簡を腹の底に持っていたとて、何の、
乾也
(
けんや
)
だって手に入る訳はありはしない。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
だから、もしその弱い者たちの口から、
健気
(
けなげ
)
なひと言でも聞けば、男子たるものは、それこそそれを無限の愛と受けて、同時に、顧みなき自己の雄魂を、
弥
(
いや
)
が上にも強め得るのであった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紫の幕、
紅
(
くれない
)
の旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、
唯
(
ただ
)
うつくしきものの
弥
(
いや
)
が上に重なり合ひ、
打混
(
うちこん
)
じて、
譬
(
たと
)
へば
大
(
おおい
)
なる
幻燈
(
うつしえ
)
の
花輪車
(
かりんしゃ
)
の輪を造りて、
烈
(
はげ
)
しく舞出で、舞込むが見え候のみ。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この王様ですらテテツクスの伝説を
弥
(
いや
)
が上にも尊敬して、夕べの礼拝堂の神体を黄金の蝉をもつて象り、星占の塔に昇る前の一刻を、この像の脚下にひれ伏して彼女の御機嫌を窺つたと云はれます。
歌へる日まで
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
黄櫨染
(
くわうろせん
)
の
大御衣
(
おほんぞ
)
明
(
あか
)
く照り立たし
弥
(
いや
)
さやさやに若き大君
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼等はその御自慢の性格や趣味を
弥
(
いや
)
が上にも向上さして、あらん限りののぼせ方をした。その結果、その云うことやすることがみんな
上
(
うわ
)
ずって、真実味が欠けて来た。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
弥
常用漢字
中学
部首:⼸
8画
“弥”を含む語句
南無阿弥陀仏
弥増
須弥壇
弥撒
弥々
須弥山
安阿弥
荘厳弥撒
弥生
本阿弥
阿弥陀如来
沙弥
世阿弥
阿弥陀仏
南無阿弥陀
弥兵衛
卑弥呼
弥彦
丸橋忠弥
弥撤
...