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分入
此上は
矢はり山へ向うより他は無い。で、
曩に巡査等が登った
路とは方角を変えて、西の方から
山路へ
分入ろうとする途中に、小さい丘が見えた。
二人は、
聞くが
如き
他界であるのを
信ずると
共に、
双六の
賭が
弥が
上にも、
意味の
深いものに
成つた
事を
喜んだ……
勿論、
谷へ
分入るに
就いて
躊躇を
為たり
押領しければ神主等大いに怒りて此段を訴へ其上
尚も義長を
恨みて神罰を
蒙らせんものをと思ひ居たり然るに義長は我が
儘増長し
五十鈴川を
椻止て魚類を取り又は
神路山に
分入て
鷹を
洗ふ
波音高く左りは
草木生茂りし鈴ヶ森の御仕置場にして
物凄き事云ふばかりなし然れども
孝行の一心より
何卒父の骨を
探し求め
故郷へ持歸りて母に見せんと
御所刑場の中へ
分入那方此方を