はた)” の例文
或る日驪山荘りざんそうはたさんのところで、秋田のきりたんぽだの雪菜ゆきなだのというものを、津田つださんと二人で御馳走ごちそうになったことがあった。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「しかしはたという字だね。秦という男が自分の苗字は支那から来たと言っていたぜ。矢っ張り工学士だから、彼奴はその支那の職人の子孫か知ら?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
憲兵司令官のはたに宇垣や宇垣系を強圧させたのがはじまりで、それを東条が仕上げしたという順序なんですな
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
またはたみやつこの祖、あやあたへの祖、またみきむことを知れる人、名は仁番にほ、またの名は須須許理すすこり等、まゐ渡り來つ。かれこの須須許理、大御酒をみて獻りき。
子之助が生れてから人と成るまでの間には、年月をつまびらかにすべき事実が甚だ少い。文政六年には父竜池の師はた星池が六十一歳で歿した。子之助がはじめて二歳の時である。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
只今ただいまさやうの料理つかまつりてむやなどのたまふをはたのなにがしとかいふ御随身みずいじん高欄のもとちかく候ひけるがうけたまはりて池のみぎわなるさゝを少ししきて白きよねを水に洗ひて奉れり。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この記事ははた武右衛門という、そのときの木戸の番頭が書いたもので、秦はすぐに行者を捜索させたが、部落にはもちろんいなかったし、どっちへたち去ったか、足跡もみつけられなかった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
小供の時から物を彫ることが好きで神童のようにいわれていたのを県の書記官のはた氏に見出みいだされ、その人から博物館長の股野氏にたのみ、同氏より溝口みぞぐち美術部長を介して私の門下となったのです。
それには一つ巧いことを思いついた。それははたさんの所で見た蟹の絵である。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
また工人の鍛冶屋かじや卓素たくそという者、またはたを織る西素さいその二人をも貢りました。はたみやつこあやあたえの祖先、それから酒を造ることをつているニホ、またのをススコリという者等も渡つて參りました。
またはたえだてて、茨田うまらたの堤と茨田の三宅みやけとを作り、また丸邇わにの池依網よさみの池を作り、また難波の堀江を掘りて、海に通はし、また小椅をばしの江を掘り、また墨江の津を定めたまひき。