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はた
ふりがな文庫
“
側
(
はた
)” の例文
『どうしてまあ
兄弟喧嘩
(
きやうだいげんくわ
)
を為るんだねえ。』と細君は怒つて、『
左様
(
さう
)
お前達に
側
(
はた
)
で騒がれると、母さんは
最早
(
もう
)
気が
狂
(
ちが
)
ひさうに成る。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「僕はこれから家へ帰ってマザーに
悉皆
(
すっかり
)
謝罪する。明日から生れ更った積りで働く。君は一つ
側
(
はた
)
から大いに気を利かしてくれ給え」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
鈴江と
肝胆相照
(
かんたんあいてら
)
している様子は、
側
(
はた
)
から見ていて此のような社会の出来ごととしても余り気持のよいことじゃなかったのである。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おつぎのまだ
短
(
みじか
)
い
身體
(
からだ
)
は
麥
(
むぎ
)
の
出揃
(
でそろ
)
つた
白
(
しろ
)
い
穗
(
ほ
)
から
僅
(
わづか
)
に
其
(
そ
)
の
被
(
かぶ
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
と
肩
(
かた
)
とが
表
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
る。
與吉
(
よきち
)
は
道
(
みち
)
の
側
(
はた
)
の
薦
(
こも
)
の
上
(
うへ
)
に
大人
(
おとな
)
しくして
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
サアこうなって見ると、我ながらあきれたもので、その醜体と来たらば、自分でも想像されるが、
側
(
はた
)
の見る目には如何におかしいであろう。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
既往
(
こしかた
)
を
懐
(
おも
)
いめぐらして
欝
(
ふさ
)
ぎはじめましたから、兼松が
側
(
はた
)
から
種々
(
いろ/\
)
と言い慰めて気を散じさせ、翌日共に泉村の寺を尋ねました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私なぞの理想はいつも人に迷惑を懸ける許りで、一向自分の
足
(
たし
)
になった事がないが、
側
(
はた
)
から見たら
嘸
(
さぞ
)
苦々しい事であったろう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこが今お話しした門閥の
辛
(
つら
)
さで、
側
(
はた
)
の目が多いし、世間の口も
煩
(
うるさ
)
いというわけで、入ってからがなかなか辛抱できるものじゃございません。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
外には絶板になっているのと雑誌に出た
一幕物
(
ひとまくもの
)
と二つあるばかりです。どれも
側
(
はた
)
から失敗の作だと云ったので、作者も跡を作らないのでしょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
そういう婦人らは、
口惜
(
くや
)
しさを隠しおおせるほど巧みではなくて、
側
(
はた
)
の人々の笑い事となりはしたけれど、はなはだしい悲嘆に沈みはしなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
聖
(
セント
)
アントニウスはあの通りの道心堅固な生涯を送りながら、
猶
(
なほ
)
側
(
はた
)
の人の目に見える迄性慾の煩悶に陥つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
側
(
はた
)
からは元気らしく見えますけれど、実は面白くない容態にさしかかっているので、人に会うことも出来るだけ避けたがよいと、そう申渡されていますのよ。
好意
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
井
(
ゐど
)
の
側
(
はた
)
より出でゝ、境内カヤツリ草の
離々
(
りゝ
)
たる辺に
佇
(
たたず
)
み、ポッケットより新約聖書取り出でゝ吾愛する
約翰
(
よはね
)
伝第四章を且読み且眺む。頭上には「此山」ゲリジムの山聳ふ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
最も臆病に、最も内心に恐れておった自分も、
側
(
はた
)
から騒がれると、妙に反撥心が起る。殊更に落ちついてる
風
(
ふう
)
をして、何ほど増して来たところで溜り水だから高が知れてる。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
曹操のあまりな豪語に、衛弘がすこし乗り過ぎているのじゃないかと、かえって
側
(
はた
)
で心配したほどだが、それから後、曹操のやることを見ていると、いよいよ不敵をきわめていた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その男は炉の
側
(
はた
)
に自分のためにとて
蓄
(
と
)
って置かれてあった御馳走の前に腰を下ろした。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
さらにいっそう薄気味悪いことには、
擬
(
まが
)
うかたなくそれが、黒死館で邪霊と云われるテレーズ・シニヨレだったのである。法水は
側
(
はた
)
の驚駭には
関
(
かま
)
わず、その妖しい幻の生因を
闡明
(
せんめい
)
した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
本篇
(
ほんぺん
)
を
集成
(
しゅうせい
)
したるものは
私
(
わたくし
)
でありますが、
私自身
(
わたくしじしん
)
をその
著者
(
ちょしゃ
)
というのは
当
(
あた
)
らない。
私
(
わたくし
)
はただ
入神中
(
にゅうしんちゅう
)
のT
女
(
じょ
)
の
口
(
くち
)
から
発
(
はっ
)
せらるる
言葉
(
ことば
)
を
側
(
はた
)
で
筆録
(
ひつろく
)
し、そして
後
(
あと
)
で
整理
(
せいり
)
したというに
過
(
す
)
ぎません。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
やり甘い辛いがだんだん分ればおのずから
灰汁
(
あく
)
もぬけ恋は
側
(
はた
)
次第と目端が
利
(
き
)
き
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
一体その顔は
不可
(
いけない
)
よ。笑ふなら
腸
(
はらわた
)
まで見える様に口をあかなくちや
不可
(
いかん
)
。怒るなら男らしく真赤になツて怒るさ。そんな顔付は
側
(
はた
)
で見てるさへ気の毒だ。そら、そら、段々苦くなツてくる。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それが
側
(
はた
)
で見ていても、余り
歯痒
(
はがゆ
)
い気がするので、時には私も横合いから
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其の
間
(
うち
)
に娘は
艶
(
なまめ
)
かしい
衣
(
きぬ
)
の
香
(
か
)
を
立
(
た
)
てながら、
靜
(
しづか
)
に私の
側
(
はた
)
を通ツて行ツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
と自分の耳の
側
(
はた
)
で怒鳴りつけた奴が有つて、ガーンとなつた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「そう再々怪我勝ちされてはちとどうも
側
(
はた
)
が迷惑します」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「有難い。実は僕も随分努力したんだが、人間の意志ってものは
側
(
はた
)
から動かせない。豊子には豊子の都合があったんだから」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
むやみに縁語を入れたがる歌よみはむやみに
地口
(
じぐち
)
駄洒落
(
だじゃれ
)
を並べたがる
半可通
(
はんかつう
)
と同じく御当人は大得意なれども
側
(
はた
)
より見れば品の悪きこと
夥
(
おびただ
)
しく候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
その上に、例の溌剌たるお嬢さんがたを全部、招待して、まるで、移動する花園の中に
在
(
あ
)
る
想
(
おも
)
いありと、
側
(
はた
)
から見る者をして
歎
(
たん
)
ぜしめたのであった。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「然し何事でも、当事者になると
側
(
はた
)
から想像するほど苦しむものじゃない。人生は寧ろ一種の喜劇だからね。真剣のつもりでも案外冗談のことが多いものなんだ。」
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
大
(
だい
)
たい
夫婦
(
めおと
)
争
(
あらそ
)
いにあまり
感心
(
かんしん
)
したものは
少
(
すく
)
のうございまして、
中
(
なか
)
には
側
(
はた
)
で
見
(
み
)
ている
方
(
ほう
)
が
却
(
かえ
)
って
心苦
(
こころぐる
)
しく、
覚
(
おぼ
)
えず
顔
(
かお
)
を
背
(
そむ
)
けたくなる
場合
(
ばあい
)
もございます。これなども
幾分
(
いくぶん
)
かその
類
(
たぐい
)
でございまして……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
側
(
はた
)
でどうすることも出来ないようなものですけれど……ああいうことを
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お銀は口の
側
(
はた
)
などを拭いてやりながら、心から嬉しそうに言った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と自分の耳の
側
(
はた
)
で
怒鳴
(
どな
)
りつけた奴があって、ガーンとなった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
むやみに縁語を入れたがる歌よみは、むやみに
地口
(
じぐち
)
駄洒落
(
だじゃれ
)
を並べたがる
半可通
(
はんかつう
)
と同じく、御当人は大得意なれども
側
(
はた
)
より見れば品の悪き事
夥
(
おびただ
)
しく候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「いゝえ、あなたが『安子や、鉄瓶屋のお上さんになるかい?』なんて仰有るからですわ。
側
(
はた
)
で力を入れなくて、何うして行く気になるものですか」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「僕が生れ更れば、ガヷナーも直るよ。そこへ君が
側
(
はた
)
から気を利かしてくれゝば、四方八方
円
(
まる
)
く治まる」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
家内が何うしたの子供が斯うしたのと、事故ばかりあって、
側
(
はた
)
で聞いているのも
煩
(
うるさ
)
い。向上心なぞは
些
(
ちっ
)
ともない。
閑
(
ひま
)
があると、碁を打つ。将棋を差す。謡曲を唸る。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「お母さんが
側
(
はた
)
で加勢をして下すったからやり宜かった。お父さんも決して分らない人じゃない」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
操さんも
側
(
はた
)
から加勢する。既に昼間荒ごなしがしてあったから、一々能く耳に入ったらしく
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と雑記帳の表紙に自嘲を
擲
(
なぐ
)
り書いている通り、本人も辛かろうが、
側
(
はた
)
も気が気でない。元来受験生は健全な存在でないから、長くなると、慢性病者のような暗影を家庭へ投げる。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
他
(
ほか
)
のことと違って、こればかりは縁だからね。お互同志は兎に角、
側
(
はた
)
が承知しない」
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
秋山さんが
側
(
はた
)
から慰めてくれた。そんな関係だから、僕は普段の僕と悉皆違っていた
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
側
(
はた
)
で見ていると、岡目八目でよく分る。見す/\いけないものを頑張っている。曲るという言葉があるが、本当に頭が曲ってしまうのだ。しかし一週間後に精も根も尽きて投げ出した。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「痛いのは
側
(
はた
)
で見ているのも
辛
(
つら
)
いものですな。何か方法はありますまいか?」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「君と僕が気をつければ、親同志も分って来る。
側
(
はた
)
のものがおベンチャラを言うから悪いんだ。僕は小作や出入りのものゝ競争じゃないかと思う。その証拠に、親父は君のところを褒めることがある」
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と芳野君が
側
(
はた
)
から手っ取り早く片付けた。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と奥さんが
側
(
はた
)
から余計な口を出す。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
豪くなると
側
(
はた
)
から
箔
(
はく
)
を
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
側
常用漢字
小4
部首:⼈
11画
“側”を含む語句
両側
側面
向側
片側
舷側
内側
此方側
右側
縁側
左側
外側
片側町
二側
入側
窓側
井戸側
側目
兩側
側室
一側
...