上帛はた)” の例文
女たちの噂した所の、袈裟けさえば、五十条の大衣だいえとも言うべき、藕糸ぐうし上帛はたの上に、郎女の目はじっとすわって居た。やがて筆は、たのしげにとり上げられた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
裁ちきった布を綴り合せて縫い初めると、二日もたたぬ間に、大きな一面の綴りの上帛はたが出来あがった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
若人たちは、今日、郎女の織りあげた一反ひとむら上帛はたを、夜の更けるのも忘れて、見讃みはやして居た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
若人たちは、今日、郎女の織りあげた一反ひとむら上帛はたを、夜の更けるのも忘れて、見讃みはやして居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
かとりのやうで、韓織からおりのやうで、——やつぱり此より外にはない、清らかな上帛はたぢや。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
せつかく織り上げた上帛はたを裁つたり切つたり、段々布は狭くなつて行つた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)