はた)” の例文
新吉はポンポンと煙管をはたいて、「小野さんに、それじゃあっしが済まねえがね……。」と溜息をいた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼はたゞかれの運命に対してのみ卑怯であつた。此四五日はてのひらせたさいながらした。今日けふもまだにぎつてゐた。早く運命が戸外そとからて、其を軽くはたいて呉れればいとおもつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と主税は笑いながら、わざと同一おんなじように母様と云って、煙管きせるはた
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はただ彼の運命に対してのみ卑怯ひきょうであった。この四五日はてのひらに載せた賽を眺め暮らした。今日もまだ握っていた。早く運命が戸外そとから来て、その手を軽くはたいてくれればいと思った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)