はた)” の例文
転輪てんりん王此玉をこゝろみに高きはたかしら挙著あげおきけるに、人民等じんみんら玉の光りともしらず夜のあけたりとおもひ、おの/\家業かせぎをはじめけりとしるせり。
女菩薩にょぼさつはた、墨染の法衣ころも、それから十文字の怪しい護符、一目見て私の甥は、それが例の摩利信乃法師だと申す事に、気がついたそうでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
七百年のうちに、竜樹、世にいでて、邪見のはたをくだかん。八百年において、比丘縦逸にして、わづかに一二、道果をうるものあらん。九百年にいたりて、奴を比丘とし、婢を尼とせん。
親鸞 (新字新仮名) / 三木清(著)
転輪てんりん王此玉をこゝろみに高きはたかしら挙著あげおきけるに、人民等じんみんら玉の光りともしらず夜のあけたりとおもひ、おの/\家業かせぎをはじめけりとしるせり。
そのうしろにはいつもの女菩薩にょぼさつはたが、秋の日の光の中にいかめしく掲げられて居りましたが、これは誰か供のものが、さしかざしてでもいたのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女菩薩のはたを仰ぎますと、二人とも殊勝げな両手を合せて、わなわな震えながら、礼拝らいはいいたしました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)