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払
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はた
ふりがな文庫
“
払
(
はた
)” の例文
旧字:
拂
雪洞
(
ぼんぼり
)
を取って
静
(
しずか
)
に退座す。夫人
長煙管
(
ながぎせる
)
を取って、
払
(
はた
)
く音に、図書板敷にて一度
留
(
とど
)
まり、直ちに
階子
(
はしご
)
の口にて、
燈
(
ともしび
)
を下に、壇に隠る。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
御生憎
(
おあいにく
)
様、もうこれぎりなの。到来物よ」と云って梅子は縁側へ出て、
膝
(
ひざ
)
の上に落ちたウエーファーの
粉
(
こ
)
を
払
(
はた
)
いた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんなわけじゃねえが、すっかり
払
(
はた
)
いてしまっちゃ明日困るからな。」と銭占屋は腹巻を
挲
(
さす
)
り挲りひっ込む。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
手の
空
(
あ
)
かないときなぞには洗吉さんが使なぞもして下さるし、青木さんでも、二階なぞの
払
(
はた
)
き掃除や何か、自分でして下さるのでどんなにか助かつてゐる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
私共
(
わたくしども
)
夫婦は最早旅費を
遣
(
つか
)
いなくし、
殊
(
こと
)
には病中の
入費
(
いりめ
)
薬礼や何やかやで全く
財布
(
さいふ
)
の底を
払
(
はた
)
き、
漸
(
ようや
)
く全快しましたれば、越後路へ出立したくも
如何
(
いか
)
にも旅費が乏しく
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
光代は向き直りて、父様はなぜそう奥村さんを
御贔負
(
ごひいき
)
になさるの。と不平らしく顔を見る。なぜとはどういう心だ。
誉
(
ほ
)
めていいから誉めるのではないか。と
父親
(
てておや
)
は煙草を
払
(
はた
)
く。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
午前
(
あさ
)
の三時から始めた煤払いは、夜の明けないうちに内所をしまい、客の帰るころから
娼妓
(
じょろう
)
の部屋部屋を
払
(
はた
)
き始めて、
午前
(
ひるまえ
)
の十一時には名代部屋を合わせて百
幾個
(
いくつ
)
の
室
(
へや
)
に蜘蛛の
網
(
す
)
一線
(
ひとすじ
)
剰
(
のこ
)
さず
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
紳士は真新しい白い
手帛
(
ハンケチ
)
で椅子の埃を
払
(
はた
)
き、そこらに散らばつてゐる
麺麭屑
(
パンくづ
)
を払ひ落したりした。
手帛
(
ハンケチ
)
はその朝紳士の
細君
(
かない
)
が、恩に
被
(
き
)
せながら箪笥の底から
態々
(
わざ/\
)
取り出して呉れたものだつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
先達も立構えで、話の
中
(
うち
)
に
挘
(
むし
)
って落した道芝の、帯の
端折目
(
はしょりめ
)
に散りかかった、三造の裾を二ツ三ツ、
煽
(
あお
)
ぐように
払
(
はた
)
いてくれた。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
坑夫は
旨
(
うま
)
そうに腹の底まで吸った
煙
(
けむ
)
を、鼻から吹き出している
間
(
ま
)
に、短い
羅宇
(
らお
)
の中途を、煙草入の筒でぽんと
払
(
はた
)
いた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手前にかまけてつい御無沙汰をしているお
詫
(
わ
)
びなど述べ終るのを待って、媼さんは洋銀の細口の
煙管
(
きせる
)
をポンと
払
(
はた
)
き、煙をフッと通して、気忙しそうに膝を進める。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
と綱雄は一打ち
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
く。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「こう、
憚
(
はばか
)
りだが、そんな
曰附
(
いわくつき
)
の代物は一ツも置いちゃあねえ、
出処
(
でどこ
)
の
確
(
たしか
)
なものばッかりだ。」と
件
(
くだん
)
ののみさしを
行火
(
あんか
)
の火入へぽんと
払
(
はた
)
いた。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渋紙の袋を引き出して
塵
(
ちり
)
を
払
(
はた
)
いて中を
検
(
しら
)
べると、画は元のまま
湿
(
しめ
)
っぽく
四折
(
よつおり
)
に畳んであった。画のほかに、無いと思った子規の手紙も幾通か出て来た。
子規の画
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋ももう
深
(
ふ
)
けて、木葉もメッキリ黄ばんだ十月の末、二日路の山越えをして、そこの国外れの海に臨んだ古い港町に入った時には、私は少しばかりの旅費もすっかり
払
(
はた
)
きつくしてしまった。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
野郎一生の運が向いて、懐を
払
(
はた
)
いた、
芸妓
(
げいしゃ
)
、女郎に
惚
(
ほ
)
れられたってそうは行かない。処を好き自由に
抱
(
だっ
)
こに及んで、夜の明けるまで
名代
(
みょうだい
)
なしだ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御生憎様、もう
是限
(
これぎり
)
なの。
到来物
(
とうらいもの
)
よ」と云つて梅子は椽側へ
出
(
で
)
て、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
ちたウエーフアーの
粉
(
こ
)
を
払
(
はた
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
はッとしながら、玉を抱いた
逆上
(
のぼ
)
せ加減で、おお、
山蟻
(
やまあり
)
が
這
(
は
)
ってるぞ、と
真白
(
まっしろ
)
な
咽喉
(
のど
)
の下を手で
払
(
はた
)
くと、何と、小さな
黒子
(
ほくろ
)
があったんでしょう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時お妙の
言
(
ことば
)
というのが、余り案外であったのから、小芳は
慌
(
あわただ
)
しく銀の小さな吸口を
払
(
はた
)
いて
煙管
(
きせる
)
を棄てたのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の男のようでもない。のッそりの
蝦夷
(
アイヌ
)
なんか、私は何とも思わない。悪く形でも
顕
(
あらわ
)
して見たが
可
(
い
)
い。象牙の
撥
(
ばち
)
があるものを、
払
(
はた
)
き殺しても事は済む。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三尺をしめ直す、脚絆の
埃
(
ほこり
)
を
払
(
はた
)
いたり、荷づなを
天秤
(
てんびん
)
に掛けたり、はずしたり。……三味線の糸をゆるめたり、袋に入れたり……さてまた袋を結んだり。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(乾いた道で、この足袋がございます。よく
払
(
はた
)
けば、何、汚れはしません。お
手数
(
てかず
)
は恐れ入ります、どうぞ御無用に……しかしお座敷へ上りますのに、)
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
這
(
は
)
ふ時の
脚
(
あし
)
には、一種の
粘糊
(
ねばり
)
が有るから、
気
(
け
)
だるいのを
推
(
お
)
して
払
(
はた
)
くは
可
(
い
)
いが、悪く
掌
(
てのひら
)
にでも
潰
(
つぶ
)
れたら
何
(
ど
)
うせう。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
息
(
いき
)
せはしく
成
(
な
)
つて
一息
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
く。ト
老爺
(
ぢい
)
は
煙草
(
たばこ
)
を
払
(
はた
)
いた。
吸殻
(
すゐがら
)
の
落
(
おち
)
た
小草
(
をぐさ
)
の
根
(
ね
)
の
露
(
つゆ
)
が、
油
(
あぶら
)
のやうにじり/\と
鳴
(
な
)
つて、
煙
(
けむり
)
が
立
(
た
)
つと、ほか/\
薄日
(
うすび
)
に
包
(
つゝ
)
まれた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「号外、号外ッ、」と
慌
(
あわただ
)
しく
這身
(
はいみ
)
で追掛けて平手で横ざまにポンと
払
(
はた
)
くと、ころりとかえるのを、こっちからも一ツ払いて、くるりとまわして、ちょいとすくい
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも、手でなんぞ尋常なんじゃなくッて、
羽団扇
(
はうちわ
)
で
払
(
はた
)
いたのかも知れません。……ああ、あの、
緋葉
(
もみじ
)
がちらちらと散りますこと。ひとりで散れば散るんですけれど。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「見ねえ、身もんでえをする
度
(
たんび
)
に、どんぶりが鳴らあ。腹の虫が泣くんじゃねえ、
金子
(
かね
)
の音だ。びくびくするねえ。お望みとありゃ、千両束で足の
埃
(
ほこり
)
を
払
(
はた
)
いて通るぜ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「馬鹿いえ、君たあ何か、」といいざまに
横撲
(
よこなぐり
)
に
払
(
はた
)
く手を、しっかと取ったが声も震えて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところでさて、首に巻いた
手拭
(
てぬぐい
)
を取って、
払
(
はた
)
いて、
馬士
(
まご
)
にも
衣裳
(
いしょう
)
だ、芳原かぶりと気取りましたさ。古三味線を、チンとかツンとか
引掻鳴
(
ひっかきな
)
らして、ここで、内証で唄ったやつでさ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いえ、何、
擦剥
(
すりむき
)
もしないようだ。」と力なく手を垂れて、膝の辺りを
静
(
しずか
)
に
払
(
はた
)
く。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外土間に出張った縁台に腰を掛けるのに——市が立つと土足で
糶上
(
せりあが
)
るのだからと、お町が
手巾
(
ハンケチ
)
でよく
払
(
はた
)
いて、縁台に腰を掛けるのだから、じかに
七輪
(
しちりん
)
の方がいい、そちこち、お八つ時分
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「鎌首を出したはどうです、いや聞いても恐れる。」とばたばたと袖を
払
(
はた
)
く。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時も、手で
突張
(
つっぱ
)
ったり、指で弾いたり、拳で席を
払
(
はた
)
いたり、(人が居るです、——一人居るですよ。)その、
貴下
(
あなた
)
……
白襯衣
(
しろしゃつ
)
君の努力と云ってはなかった。誰にも掛けさせまいとする。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
袂
(
たもと
)
から出した
手巾
(
ハンケチ
)
を、何とそのまあ結構な椅子に
掴
(
つかま
)
りながら、人込の
塵埃
(
ほこり
)
もあろうと
払
(
はた
)
いてくれましたろうではございませんか、私が、あの
娘
(
こ
)
に
知己
(
ちかづき
)
になりましたのはその時でございました。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚図
(
ぐず
)
々々
吐
(
ぬか
)
すと、処々に
伏勢
(
ふせぜい
)
は配ったり、朝鮮伝来の地雷火が仕懸けてあるから、合図の
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
くが最後、芳原は
空
(
くう
)
へ飛ぶぜ、と威勢の
好
(
い
)
い
懸合
(
かけあい
)
だから、一番景気だと帳場でも買ったのさね。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
絵で見た大将が持つ
采配
(
さいはい
)
を略したような、何にするものだか、今もって
解
(
わか
)
らない。が、町々辻々に、
小児
(
こども
)
という小児が、皆おもちゃを持って、振ったり、廻したり、
空
(
くう
)
を
払
(
はた
)
いたりして飛廻った。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引出したのは一足の古
下駄
(
げた
)
で、かちりと
合
(
あわ
)
して
埃
(
ほこり
)
を
払
(
はた
)
いて
揃
(
そろ
)
えてくれた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老爺
(
ぢい
)
は、もつぺの
膝
(
ひざ
)
の
小刀屑
(
こがたなくづ
)
を
払
(
はた
)
きながら、
眉
(
まゆ
)
をふさ/\と
揺
(
ゆす
)
つて
笑
(
わら
)
ひ
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とむッつりした料理番は、苦笑いもせず、またコッツンと煙管を
払
(
はた
)
く。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ばたばた、はらはらと、さあ、
情
(
なさけ
)
ない、
口惜
(
くやし
)
いが、袖や
袂
(
たもと
)
を
払
(
はた
)
いた音。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と笑いもカラカラと五徳に響いて、煙管を
払
(
はた
)
いた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々
(
とき/″\
)
ひら/\と
烏
(
からす
)
が
出
(
で
)
て、
翼
(
つばさ
)
で、
女
(
をんな
)
の
胸
(
むね
)
を
払
(
はた
)
く……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かちりと
合
(
あ
)
はして
埃
(
ほこり
)
を
払
(
はた
)
いて
揃
(
そろ
)
へて
呉
(
く
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
葛木は欄干に
杖
(
ステッキ
)
を倒して、
柔
(
やわらか
)
に手を
払
(
はた
)
いた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆さんは手を揃えて横の方で軽く
払
(
はた
)
き
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぽんと、馬づらが
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
いた。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はたはたと袖を
払
(
はた
)
いて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ポンと
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
いて
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ポンと
煙管
(
きせる
)
を
払
(
はた
)
いて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
愛吉は吸殻を
払
(
はた
)
いて
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
払
常用漢字
中学
部首:⼿
5画
“払”を含む語句
払暁
引払
咳払
煤払
厄払
塵払
逐払
打払
売払
追払
酔払
払拭
払下
取払
所払
誓文払
払子
支払
掻払
厄介払
...