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薄日
洋一はちょいとためらった
後、
大股に店さきへ出かけて行くと、もう
薄日もささなくなった、もの静な往来を眺めまわした。
雲が
動いて、
薄日が
射して、
反らした
胸と、
仰いだ
其の
額を
微かに
照らすと、ほつと
酔つたやうな
色をしたが、
唇は
白く、
目は
血走るのである。
色を
五百機の
碧緑に
織つて、
濡色の
艶透通る
薄日の
影は——
裡に
何を
棲ますべき——
大なる
琅玕の
柱を
映し、
抱くべく
繞るべき
翡翠の
帳の
壁を
描く。
いづこにか
薄日さし、きしりこきり
斑鳩なげく