はづ)” の例文
壁に懸けてある外套ぐわいたうはづして着たのも、帽子を冠つたのも、着る積りも無く着、冠る積りも無く冠つたので、丁度感覚の無い器械が動くやうに、自分で自分のることを知らない位であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
院長がそれをはづして、凸面のレンズでランプの光線を注ぎながら、柄の附いた正方形の金屬板の穴から覗いて目の中を調べる際に、冷吉は僅に、院長の、髮を短く毬栗にした、薄黒い顏の色と
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)