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喘
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ふりがな文庫
“
喘
(
あへ
)” の例文
井戸端に水を汲んでゐる女衆や、畑から帰つて来る男衆は、良平が
喘
(
あへ
)
ぎ喘ぎ走るのを見ては、「おいどうしたね?」などと声をかけた。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
割合に身が大きく命を取留めた魚は川下に下れる限り下つたのもあり、あるものは真水の
出
(
い
)
づるところにかたまつて
喘
(
あへ
)
いでゐるのもある。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
だから
目的
(
めあて
)
の場所に来るころには、惣兵衛ちやんは疲れてしまつた。ほつぽこ頭巾の下で、はあはあと
喘
(
あへ
)
いでゐるのが聞えた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
さあ、
之
(
これ
)
からが
名代
(
なだい
)
の
天生峠
(
あまふたうげ
)
と
心得
(
こゝろえ
)
たから、
此方
(
こツち
)
も
其気
(
そのき
)
になつて、
何
(
なに
)
しろ
暑
(
あつ
)
いので、
喘
(
あへ
)
ぎながら、
先
(
ま
)
づ
草鞋
(
わらぢ
)
の
紐
(
ひも
)
を
締直
(
しめなほ
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼の胸は暴虐な壓縮に堪へられずに意志に
逆
(
さから
)
つて擴がり、自由を得る爲めに、力強い跳躍をするかのやうに、一度、
喘
(
あへ
)
いだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
『
何
(
なん
)
の
審問
(
しんもん
)
?』
愛
(
あい
)
ちやんは
喘
(
あへ
)
ぎ/\
駈
(
か
)
けました、グリフォンは
只
(
たゞ
)
『それッ!』と
叫
(
さけ
)
んだのみで、
益々
(
ます/\
)
速
(
はや
)
く
走
(
はし
)
りました、
風
(
かぜ
)
が
持
(
も
)
て
行
(
ゆ
)
く
唄
(
うた
)
の
節
(
ふし
)
、——
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
やつら、
資本家
(
しほんか
)
と
将軍
(
しやうぐん
)
は
確
(
たし
)
かに
勝
(
か
)
った!——だがおれたち、どん
底
(
そく
)
に
喘
(
あへ
)
ぐ
労働者
(
らうどうしゃ
)
農民
(
のうみん
)
にとつてそれが
何
(
なん
)
の
勝利
(
しやうり
)
であらう
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
私にはその大きな腹が、
喘
(
あへ
)
いだ呼吸に波打つてでもゐるやうな気がした。やがて赤蛙はのたりのたり歩きだした。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
自分は小山から小山の間へと縫ふやうに通じて居る路を
喘
(
あへ
)
ぎ/\伝つて行くので、前には僧侶の
趺坐
(
ふざ
)
したやうな山が
藍
(
あゐ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな空に
巍然
(
ぎぜん
)
として
聳
(
そび
)
えて居て
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
やり入れたるが水は馬の太腹にも及び車の臺へ付く程なれば叩き立られたる痩馬向ふの岸に着きかねて
喘
(
あへ
)
ぐに
流石
(
さすが
)
の
我武者馬丁
(
がむしやべつたう
)
も
術
(
すべ
)
なくて
己
(
おのれ
)
川中へ下り立ち四人を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
依然として
雰囲気
(
ふんゐき
)
の無い処で、高圧の下に働く潜水夫のやうに
喘
(
あへ
)
ぎ苦んでゐる。雰囲気の無い証拠には、まだ
Forschung
(
フオルシユング
)
といふ日本語も出来てゐない。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さういふ場合にかぎつて、房一は彼女等の背中に、熱ばんだ小さな顔を上向きにして
喘
(
あへ
)
ぐやうな呼吸をしてゐる幼児を見、その手遅れであることを認めるのであつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
急ぎしに※らずも
踏迷
(
ふみまよ
)
ひ
喘
(
あへ
)
ぎ/\
漸々
(
やう/\
)
秋葉の
寶前
(
はうぜん
)
に來りしが此時は
早
(
はや
)
眞
(
ま
)
夜中にてゴーン/\と
鳴
(
なり
)
しは
丑刻
(
やつ
)
の
鐘
(
かね
)
なれば
最早
(
もはや
)
何へも行難し
麓
(
ふもと
)
へ下れば
狼
(
おほかみ
)
多く又夜
深
(
ふけ
)
に本坊を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
居常唯だ書籍に埋もれ、味なき哲理に身を呑まれて、
徒
(
いたづ
)
らに遠路に
喘
(
あへ
)
ぐものをして、
忽焉
(
こつえん
)
、造化の秘蔵の巻に向ひ不可思議の妙理を
豁破
(
くわつぱ
)
せしむるもの、夏の休息あればなり。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「落ち
付
(
つ
)
いてゐる」と代助が答へた。けれども其言葉は
喘
(
あへ
)
ぐ
息
(
いき
)
の
間
(
あひだ
)
を
苦
(
くる
)
しさうに洩れて出た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人は、この部屋の窓から、灰色の空を眺め、下の路地をうろつく
浮浪者
(
ルンペン
)
を見下し、近くの線路を往復する汽車のひゞきを聞き、木枯の後の海鳴りのやうな都會の
喘
(
あへ
)
ぎ聲をきいた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
私は風呂敷包を襷にして背中に
負
(
しよ
)
ひ、
洋傘
(
かうもり
)
を杖につき、
喘
(
あへ
)
ぎ喘ぎその坂を攀ぢ登りましたが、次第に歩き疲れて、お文さんの兄さんや銀さんから見ると餘程後れるやうに成りました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
權山
(
ごんざん
)
といふ
峠
(
たうげ
)
は、
低
(
ひく
)
いながらも、
老人
(
らうじん
)
にはだいぶ
喘
(
あへ
)
いで
越
(
こ
)
さねばならなかつた。
峠
(
たうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
からは、
多田院
(
ただのゐん
)
の
開帳
(
かいちやう
)
の
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて、
大幟
(
おほのぼり
)
が
松並木
(
まつなみき
)
の
奧
(
おく
)
に、
白
(
しろ
)
く
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
だけ
見
(
み
)
せてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
水が
涸
(
か
)
れて細く——その細い溝の一部分を
尚
(
なほ
)
細く流れて男帯よりももつと細く、水はちよろちよろ
喘
(
あへ
)
ぎ喘ぎ通うてゐた。じめじめとした場所を、一面に空色の花の月草が生え茂つて居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
けれども、或る夜は
發作
(
ほつさ
)
に
喘
(
あへ
)
ぎ迫る胸を
抑
(
おさ
)
へながら、私は
口惜
(
くや
)
しさに涙ぐんだ。
或
(
あ
)
る日は書きつかへて机のまはりに
空
(
むな
)
しくたまつた原稿紙の
屑
(
くづ
)
を見詰めながら、深い疲れに
呆然
(
ばうぜん
)
となつてゐた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
流石
(
さすが
)
に意見を
異
(
こと
)
にする点もないではなかつたが、それを言はうと口をむくつかせてゐる中に、話が狂奔して別事に移るから、此方も
喘
(
あへ
)
ぎ/\走つて其の尻に附く、なか/\口を開く暇がなかつたが
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼は
此頃
(
このごろ
)
午後からきまつたやうに出る不快な熱の為めに、終日閉ぢこもつて、堪へ難い気分の
腐触
(
ふしよく
)
と不安とになやまされて居る。寝たり起きたりして、
喘
(
あへ
)
ぐやうな一日々々を送つてゐるのであつた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
と
喘
(
あへ
)
ぎ/\塀の内から叫ぶのは紛れもない、庭男の權助爺の聲です。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
將
(
はた
)
永の
徒歩
(
かち
)
に疲れしにや、二人とも弱り果てし如く、踏み締むる足に力なく
青竹
(
あをだけ
)
の杖に身を持たせて、主從相扶け、
喘
(
あへ
)
ぎ/\
上
(
のぼ
)
り行く
高野
(
かうや
)
の山路、早や夕陽も名殘を山の巓に留めて、
崖
(
そば
)
の陰、森の下
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
湯槽
(
ゆぶね
)
に仰向いたエルアフイの胸はまだ魚のやうに
喘
(
あへ
)
いでゐた。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ところで彼は告解してゐた、お祈りしてゐた、
喘
(
あへ
)
ぎながらも。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
馬なれば
打
(
ぶ
)
つにまかせてひた
喘
(
あへ
)
げ若し人ならば何といふらむ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
最後の頼みとせしわが「愛」さへ
喘
(
あへ
)
げる
負傷者
(
ておひ
)
なり。
失楽
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
吐息をひらかせる ゆふぐれの
喘
(
あへ
)
ぎの薔薇の花。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
喘
(
あへ
)
ぎて
上
(
のぼ
)
るなだら坂——わが世の坂の
中路
(
なかみち
)
や
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
喘
(
あへ
)
ぎぬ、浪に。手なとりそ。ああ、幻よ
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さうすればそのうち
喘
(
あへ
)
ぎも平静に復し
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
又恐るべき殺戮の中に最後の
喘
(
あへ
)
ぎなす
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
聞け、今、巷に
喘
(
あへ
)
げる
塵
(
ちり
)
の
疾風
(
はやち
)
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
肩を
抱
(
し
)
めむと
喘
(
あへ
)
ぎゆく。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
喘
(
あへ
)
ぐ人の
如
(
ごと
)
し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
皺だらけな顏が白くなつた上に
大粒
(
おほつぶ
)
な汗を
滲
(
にじ
)
ませながら、脣の
干
(
かわ
)
いた、齒の
疎
(
まばら
)
な口を
喘
(
あへ
)
ぐやうに大きく開けて居ります。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
動止
(
うごきや
)
んだ
赤茶
(
あかちや
)
けた
三俵法師
(
さんだらぼふし
)
が、
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に、
惰力
(
だりよく
)
で、
毛筋
(
けすぢ
)
を、ざわ/\とざわつかせて、うツぷうツぷ
喘
(
あへ
)
いで
居
(
ゐ
)
る。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この靜かな聲は起ち上らうとする
獅子
(
しゝ
)
の
喘
(
あへ
)
ぎだつたから——「ジエィン、あなたはこの世で一方の途を行き、私には別の途を行かせようといふ積りなの?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今のヰルヘルム第二世のやうに、
dämonisch
(
デモオニシユ
)
な威力を
下
(
しも
)
に加へて、抑へて行かれるのではなくて、自然の重みの下に社会民政党は
喘
(
あへ
)
ぎ
悶
(
もだ
)
えてゐたのである。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なす
喘
(
あへ
)
ぎながら
語
(
ものい
)
ふが苦しげなれば
此方
(
こなた
)
より
此
(
こゝ
)
はなどゝ
問
(
とは
)
ん時のほか話しかけるに及ばずと云へど左れど國自慢に苦しげながら又
不問語
(
とはずがたり
)
するも
可笑
(
をか
)
し野尻を過ぎ
三戸野
(
みとの
)
にて
檜笠
(
ひのきがさ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
忘れるなといふ一生の
教訓
(
をしへ
)
の其
生命
(
いのち
)
——
喘
(
あへ
)
ぐやうな
男性
(
をとこ
)
の
霊魂
(
たましひ
)
の其呼吸——子の胸に流れ伝はる親の其血潮——それは父の亡くなつたと一緒にいよ/\深い震動を丑松の心に与へた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
喘
(
あへ
)
げば、
紅火
(
こうくわ
)
『
煩悩
(
ぼんなう
)
』の
血彩
(
ちいろ
)
薫
(
くん
)
ずる
眩暈
(
くるめき
)
よ。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
たゆげの
喘
(
あへ
)
ぎ「
生藥
(
いくぐすり
)
、一のやしなひ。」
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
又
折節
(
をりふし
)
は
喘
(
あへ
)
ぐ
聲
(
こゑ
)
。口に
出
(
い
)
づるを
虱とるひと
(旧字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
盲
(
めし
)
ひたる
魚
(
うを
)
かとぞ
喘
(
あへ
)
げる中を
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
皺だらけな顔が白くなつた上に
大粒
(
おほつぶ
)
な汗を
滲
(
にじ
)
ませながら、唇の
干
(
かわ
)
いた、歯の
疎
(
まばら
)
な口を
喘
(
あへ
)
ぐやうに大きく開けて居ります。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふと前方の道に當つて
轍
(
わだち
)
の音が聞えたと思ふと、私は山と積み込んだ荷車が
喘
(
あへ
)
ぎ/\丘を上つて行くのを見た。そして餘り離れてゐない處に二匹の牛と牛追ひ達もゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いま、
俥
(
くるま
)
で
日盛
(
ひざか
)
りを
乘出
(
のりだ
)
すまで、
殆
(
ほとん
)
ど
口
(
くち
)
にしたものはない。
直射
(
ちよくしや
)
する
日
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、
俥
(
くるま
)
は
坂
(
さか
)
に
惱
(
なや
)
んで
幌
(
ほろ
)
を
掛
(
か
)
けぬ。
洋傘
(
かうもり
)
を
持
(
も
)
たない。
身
(
み
)
の
楯
(
たて
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
鳥打帽
(
とりうちばう
)
ばかりである。
私
(
わたし
)
は
肩
(
かた
)
で
呼吸
(
いき
)
を
喘
(
あへ
)
いだ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
賞して騷しき
方
(
かた
)
は見もかへらず三人跡より
喘
(
あへ
)
ぎ來りて無し/\影もなし大かたは此邊の貴家豪族が選び取て東京紳士の眞似をなし
贋
(
がん
)
雪舟と共に床の間にあがめ置くなるべし憎むべし/\といふ
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
喘
漢検1級
部首:⼝
12画
“喘”を含む語句
喘々
息喘
喘息
残喘
余喘
喘鳴
痰喘
喘息持
喘息病
喘咽
喘歩
喘聲
発喘
餘喘