)” の例文
頭は鉄兜てつかぶとをかぶっているようで、ささえのない下ッ腹は絶えず何かに追ッかけられてるように、トカ、トカとえいでいるのだった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
この自分を、誰かどうにかしてくれんか——えぐようにそう心の底に叫んで、彼はぎょろぎょろと周囲を見まわした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
がりがり後頭部をきながら、なんたることだ、日頃の重苦しさを、一挙に雲散霧消させたくて、何か悪事を、死ぬほど強烈なロマンチシズムを、とえぎつつ、あこがれ求めて旅に出た。
八十八夜 (新字新仮名) / 太宰治(著)