後退あとじ)” の例文
若衆一人に詰め寄せられて白縮緬組の十人の者は次第次第に後退あとじさり、既に駕籠から離れようとしたが、いい甲斐なしと思ったか、さっと一人が切り込んで来た。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こなたを向きて後退あとじさる。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
屹度きつとくるま今少いますこしの御辛防ごしんばうかるゝこほりつくやうなりうれしやとちかづいてればさてもやぶぐるまモシとこゑはかけしが後退あとじさりするおくりの女中ぢよちゆうソツとおたか袖引そでひきてもうすこまゐりませうあまりといへばとあと小聲こごゑなりをりしもふりしきるゆきにおたか洋傘かうもり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
次第に後退あとじさる集五郎、いわゆる気勢に圧せられ、ともすると太刀先が上がろうとする。上がったが最後、「突き」が来る。そこで押し静め、押し静め、盛り返して一歩出た。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
土彦は胡散うさんらしく後退あとじさった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
摺り足をして後退あとじさる。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)