“たじろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
23.1%
逡巡23.1%
退避15.4%
辟易15.4%
後退7.7%
7.7%
躊躇7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と帆村のたじろぐ前に、バラバラになった蠅男の五体は、まるでその一つ一つが独立した生き物のように、物凄い勢いでクルクルと床上を匍いまわり、次第次第に帆村の身近く迫ってくるのであった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
例えば、蟹だか蛸だか鮟鱇あんこうだか正体えたいの判らぬ魚を眼前めさきへ突き付けて、「さあ、これうまく食わしてれ」と云われては、大抵の料理番もいささ逡巡たじろぐであろう。いわんや素人の小生に於てをや。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
冗談じょうだんとも諷刺ふうしとも真面目まじめとも片のつかないこの一言いちごんの前に、津田は退避たじろいだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
思ひがけぬところで辟易たじろいでゐると、相手は矢継早に攻撃にかかった。最初から旗色を伺ってゐた、もう一人は、ここで完全に相手に和した。川田は焦々しながら次第に窮地に追ひつめられた。
(新字旧仮名) / 原民喜(著)
播磨 何を下らぬことを! 郁之進ごときが十人掛かっても、後退たじろぐ余か。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
播磨 (脇腹を押さえて、後退たじろぐ)や! き、斬ったな——。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、たじろぎはじめた成戸六松の顔を、相変らず、左枝は死んだような表情で見詰めている。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「と云うと何でしょうか。とにかくお掛け下さい」法水がちょっと躊躇たじろぎを見せたのは、彼女の命令的な語調ではなかった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)