退避たじろ)” の例文
その勢いで広い階子段はしごだんを、案内に応じて、すとんすとんと景気よく登って行った。が自分の頭が階子段から、ぬっと一尺ばかり出るや否や、この決心が、ぐうと退避たじろいだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
冗談じょうだんとも諷刺ふうしとも真面目まじめとも片のつかないこの一言いちごんの前に、津田は退避たじろいだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし彼は叔母に対して少しも退避たじろぐ気はなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)