“ひる”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒル
語句割合
46.6%
正午10.7%
10.2%
9.4%
5.7%
4.2%
午飯1.9%
昼飯1.6%
午餐0.9%
午食0.6%
白日0.6%
0.6%
0.6%
午時0.5%
昼食0.5%
午刻0.4%
午後0.4%
午餉0.3%
0.3%
白昼0.3%
白晝0.3%
日中0.2%
晝食0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
中食0.1%
日午0.1%
晝飯0.1%
晝餐0.1%
水蛭0.1%
退避0.1%
午前0.1%
午后0.1%
午昼0.1%
春昼0.1%
昼間0.1%
昼餉0.1%
昼餐0.1%
晝間0.1%
晝餉0.1%
比流0.1%
0.1%
0.1%
真昼0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そしてその日のひるちかく、ひづめの音やよろひの気配、また号令の声もして、向ふはすつかり、この町を、囲んでしまつた模様であつた。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
六月下旬の日射ひざしがもう正午ひるに近い。山國の空は秋の如く澄んで、姫神山ひめかみさんの右の肩に、綿の樣な白雲が一團、彫出ほりだされた樣に浮んでゐる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ひるすこしまえにはもう二人ふたりにいさんが前後ぜんごして威勢いせいよくかえってた。一人ひとりにいさんのほう袖子そでこているのをるとだまっていなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
並んで坐ると、それがちょうど膝になろうというんだから、おおいひるんだ。どうやら気のせいか、むくむく動きそうに見えるじゃないか。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここには明細にかきかねるが、とにかくヒルミ夫人は万吉郎の身体にひるのように吸いついて、容易に離れようともしなかったのである。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
いとな七日々々なぬか/\追善供養つゐぜんくやうも心の及ぶだけはつとめしが何分男の手一ツでをさなき者の養育やういく當惑たうわくひるは漸く近所きんじよとなりもらちゝなどしよる摺粉すりこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「なる程さう聞いてみると食べたやうだわい。うん、食べた/\、たしかにお午飯ひるは食べた。いや、飛んでもない事を言つて済まなかつたよ。」
お眼の不自由な惣七さまは、わたしがいないで、誰のお給仕でお昼飯ひるを召し上がったろう?——佐吉かしら、国平かしら、それとも滝蔵——。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
午餐ひる勘次かんじもどつて、また口中こうちう粗剛こは飯粒めしつぶみながらはしつたあと與吉よきち鼻緒はなをゆるんだ下駄げたをから/\ときずつて學校がくかうからかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
正午ひるといえば、あなた、午食ひるはまだなんだろう? ……さて、なにを、ご馳走しようか。昨日きのう帰ったばかりだから、ろくなこともできまいけど……」
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
はかない恋の逢瀬おうせに世を忘れて、唯もう慕い慕われて、酔いこがるるより外には何も御存じなく、何も御気の付かないような御様子。私は眼前めのまえ白日ひるの夢を見ました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お君はそう云うと、身体をひるがえして、上気した頬のまゝ、階段を跳ね降りて行った。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
なぜかというと草薬のひるなるものの臭気がいっぱいなんですから、私は逃げて出る方角を考えながら
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
次の日の午時ひるごろ、浅草警察署の手で、今戸の橋場寄りのある露路ろじの中に、吉里が着て行ッたお熊の半天が脱ぎ捨ててあり、同じ露路の隅田河の岸には
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
伴「旦那様、此の頃は貴方様あなたさまうなさいました、ろく/\御膳ごぜんあがりませんで、今日はお昼食ひるもあがりませんな」
午刻ひるのほどより丸山におもむける稲垣の今に至りてなお帰らず、彼は一行の渡航費を持ちて行きたるなれば、その帰るまではわれら一歩ひとあしに移すあたわず、ことに差し当りて佐賀に至り
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
なアに午後ひるからだつていゝ、若し絵具が塗り切れなくつても、下書さへしてゆけば、あとは自家へ帰つてからでも出来るから……と、そんなことを呟きながら——。
清一の写生旅行 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
遅い午餉ひるだったから、もう二時下り。亭主の出たあと、女房はぜんの上で温茶ぬるちゃを含んで、干ものの残りに皿をかぶせ、余った煮豆にふたをして、あと片附は晩飯ばんと一所。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先生は少しもひるまず、最後までそれを説伏するの意気込みは勇ましいもので、自分にしてからが、上様だとか、公方様くぼうさまだとかいう口の下から、現在自分が世話になっている大切の薬籠持やくろうもちに対しては
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時よりして畏気おじけ附き、白昼ひるは更なり、も里方へはいで来らず、をさをさ油断ゆだんなかりしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
介抱かいはうせよと言置て尻引からげ馳行はせゆきけりなきだに白晝ひるさへ人通りなき相良の裏道うらみち殊に夜中なれば人里遠く麥搗歌むぎつきうたとり宵鳴よひなき遙かに聞え前は名におふ大井川海道かいだう一の早瀬にて蛇籠じやかご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところが、母上は折悪しく下女が日中ひる風邪の気味で弱つて居た事を知つて居られたので、可哀さうですからと自ら寝衣ねまきのまゝで、雨戸を繰つて、庭に出て
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たれひとり晝食ひるましてなかつたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
心得たる男なれば宅兵衞がすきうかゞひ持たる太刀たちを打落しひるむ處をつゞけ打におもて目掛めがけて討ければ宅兵衞はまなこくらみて蹌踉よろめくを吾助は得たりと落たる刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにもひるまぬ狼の群は大勢を頼んで後から後から唸声うなりを上げて飛びかかる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
之を日本に持つて來ますと天照大神の大日孁貴おほひるめのむちといふ「ひる」といふのが「ふる」に當ります。光輝く意味を皆持つて居る。朝鮮では日を「ふる」と申します。光る意味であります。
近畿地方に於ける神社 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
うちに入つた信吾の心は、妙にひるんでゐた。彼は富江と別れて十幾町の帰路を、言ふべからざる不愉快な思ひに追はれて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
組ませないで突くという策戦がよく成功して、大勢の命知らずをひるませていることも前の通りであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
がたりとおとして一ゆりれヽば、するりおちかヽるうしろざしの金簪きんかんを、令孃ひめ纎手せんしゆけとめたま途端とたん夕風ゆふかぜさつと其袂そのたもときあぐれば、ひるがへる八つくちひらひらとれてものありけり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「もうお中食ひるだから、久しぶりで御膳ごぜんを食べて……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「もうお中食ひるだが、お前何をお上りだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに最後に聞えた、日午ひるは——のところが、不思議にも倍音(ド・レミ・ファと最終のドを基音にした、一オクターヴ上の音階)
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして、三回目の繰り返しの時、幽暗くらきには——の一節はほとんど聞えなかったが、次の、日午ひるには——の一節に来ると、不思議な事には、同じ音色ながらも倍音が発せられた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
湯はぬるかつたが後はポカ/\した。晝飯ひるには鷄を一羽ツブして貰つた。肉は獸のやうにこはかつた。骨は叩きやうが荒くて皆な齒を傷めた。しかし甘かつた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二階の部屋の唐紙からかみに書いてある漢詩を眺めながら晝飯ひるを濟ました。こゝにはウマイ葱があつた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あらをはつたとき枯葉かれはおほいやうなのはみなかまでゝうしろはやしならみきなはわたして干菜ほしなけた。自分等じぶんら晝餐ひるさいにも一釜ひとかまでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎは晝餐ひる支度したくちやわかした。三にん食事しよくじあとくちらしながら戸口とぐちてそれからくりかげしばらうづくまつたまゝいこうてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一昨年おととしの夏、小鱸せいご釣に出でゝ、全くあぶれ、例の如く、大鯰二つ買ひて帰りしが、山妻さんさい之を料理するに及び、其口中より、水蛭ひるの付きし「ひよつとこ鈎」を発見せり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
前夜近処より、糸女いとめ餌を取らせ、又小鱸鈎にを巻かせなどしたりしかば、常に無頓着なりしに似ず、今かかる物の出でしを怪み、之を予に示して、「水蛭ひるにて釣らせらるゝにや」となじれり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
して見ると組々の長屋に住んでいる総勢一万人の顔はことごとく獰猛なんだろう。自分は全く退避ひるんだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かしらですらこれだから、ひらの坑夫は無論そう野卑ぞんざいじゃあるまいと思い込んでいた。だから、この悪口あくたいやぶからぼうに飛んで来た時には、こいつはと退避ひるむ前に、まずおやっと毒気を抜かれた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
午前ひる少しく前のほど、用人の死骸を発見みいだしたる者ありて、上を下へとかへせしが、主人は少しも騒ぐ色なく、「手討てうちにしたり」とばかりにて、手続てつゞきを経てこと果てぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
明日あす午后ひるだ、明日の午后ひるまでだ』と、それから低い声で、怯えるように、『きっとここまでやって来る』とそれだけでございますが……それから急に主人は
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
春昼ひるである。暖かい。雲雀がお喋舌りをつづけている。
首頂戴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして守人は、昼間ひるは病気とか病後とかいい立てて引きこもっているのだ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「とにかく、お昼餐ひるでもやるか。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
何時いつ晝間ひる疲勞つかれに二號鐘がうしようかぬうち有耶無耶うやむやゆめちた。
晝餉ひるだよう
(旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
捜神記そうしんき』一流の物語がここにも伝わっているのみならず、かいこをオシラサマという方言は普通であり、それはまた蚕蛾蛹さんがよう等を含めて、すべてを比流ひるもしくは比々流と呼んでいた古語と
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
宗助そうすけしかるべく叔母をばたのんで、其日そのひそれげてかへつた。晩食ばんめしのち御米およね一所いつしよまた縁側えんがはて、くらところ白地しろぢ浴衣ゆかたならべて、すゞみながら、ひるはなしをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小野さんは少しくひるんで見えた。宗近君はすぐつける。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ハイ、私は自分のへやで、ジョオコンダ(聖バーナード犬の名)の掃除をいたしておりました」とセレナ夫人はひるまずに答えてから
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)